- 本 ・本 (400ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151786549
作品紹介・あらすじ
平凡な調査が思わぬ事件に! 過去の自分と向き合うスペンサーの苦悩を描く渾身の傑作
感想・レビュー・書評
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2009年1月31日~31日。
三十五作目のスペンサー物。
翻訳されたものはすべて読んでいる。
気の利いたセリフ、魅力的な登場人物、心地よいスピード感、とどれを取っても今まで通り。
「水戸黄門的」とでも言えるので、とりたてて新しい側面は見えないのだが、それが気持ちいいともいえる。
あえて言えば、スーザンから「結婚」という単語が出てきたことだろうか。
いつもの通り、面白かった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
えー、どうして?そうなの?とずっと違和感。浮気調査から始まる物語は、スペンサーの過去と絡み合いながら意外な展開をしていく、というストーリーはともかく、スペンサーもスーザンもホークも、この事件がかつてのスーザンの浮気騒動と重ね合わされている、と断じる(スペンサーは態度を曖昧にしているけど)。でも、そうか?とずっと疑問だった。当時スーザンがスペンサーとよ関係に混乱して逃避したことと、今回の事件にはほとんど共通点が見られない。タフガイである夫が愛する女性を、その女性を愛していない漢に盗られる、的な側から見たらそうなのかもしれないが、妻の中に起きていることは当時のスーザンとは全然違う。スペンサーがあくまで夫の敵討ち的にのめり込んでいくのもいつもの事で、自分なりの事の終わらせ方がうまくいかなくてムキになってるといういつもの構図なだけだと思うんだけど。
うーむ。
#スペンサーシリーズ全部読む -
アメリカの作家「ロバート・B・パーカー」のハードボイルド小説『昔日(原題:Now and Then)』を読みました。
『初秋』、『ドリームガール』、『灰色の嵐』に続き、「ロバート・B・パーカー」作品です。
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「大学教授をつとめる妻の言動がおかしい、調べてくれないか」そう依頼してきた男は妻への疑いと愛情のはざまで苦悩していた。
その姿に過去の自分を重ねた「スペンサー」は、日頃は引き受けない浮気調査に取り組む。
やはり妻は同僚の教授と浮気をしていた。
だが、その調査は意外な事実を掘り当てていた。
妻の浮気相手は、ただならぬ背景を持つ危険人物だったのだ。
そして犠牲者が…許し難い敵に「スペンサー」の怒りが炸裂する。
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私立探偵「スペンサー」を主人公とするシリーズ全39作品のうちの第35作にあたり、2007年(平成19年)に発表された作品です、、、
単なる浮気調査のはずが、FBIを巻き込んだ事件に発展する事態に… その事件に、仲間の協力を得ながら、自ら首を突っ込んでいく展開が「スペンサー」らしい物語でしたね。
その依頼人の何かが、「スペンサー」のどこかに触れたのか… 妻「ジョーダン・リッチモンド」の不倫を疑い、素行調査を依頼してきた男「デニス・ドハティ」に、かつて「スーザン」との別れに苦悩した自らの日々を重ねた「スペンサー」は、日頃はさほど力を入れない浮気調査に力を注ぐ、、、
「ホーク」の手まで借りた調査の結果、大学教授をつとめる妻は、やはり同僚と浮気をしていたことが判明したが、動かぬ証拠をつかもうと盗聴器まで使った「スペンサー」の調査は、意外な事実を掘り当ててしまった… 浮気相手の教授「ペリー・オルダースン」に、ただならぬ背景があるようなのだ。
そのことは伏せ、調査結果のみを「ドハティ」に伝えはしたが… やがて、当の妻「ジョーダン」が射殺される事件が起き、「ドハティ」も死体となって発見され、「ドハティ」はFBI捜査官だったことも明らかになる、、、
思わぬ展開に、警戒を強める「スペンサー」は、助っ人のガンマン「ヴィニイ・モリス」や「チョヨ」を呼び集める… 「スペンサー」の弱点でもある「スーザン」の護衛を彼等に任せつつ、「スペンサー」は「ペリー・オルダースン」の正体や、FBIやCIAも絡むテロ組織の全貌を掴むために調査を進める。
浮気調査が、謎の人物「ペリー・オルダースン」の調査やテロ組織捜査に切り替わってからのサスペンスフルでスピーディーな展開が愉しめる作品でした、、、
事件解決だけでなく、過去の自分や、「スーザン」との関係と向かい合う「スペンサー」の苦悩をも描かれているし、電話一本で駆けつける「スペンサー」ファミリーも健在で、シリーズらしさ満載の作品でしたね。
以下、主な登場人物です。
「スペンサー」
私立探偵
「スーザン・シルヴァマン」
スペンサーの恋人
「ホーク」
スペンサーの相棒
「デニス・ドハティ」
依頼人
「ジョーダン・リッチモンド」
ドハティの妻。コンコード・カレッジの教授
「ペリー・オルダースン」
リッチモンドの同僚
「ビッグ・レッド」
ペリー・オルダースンの友人
「エプスタイン」
FBIボストン支局長
「アイヴズ」
情報局員
「ヴィニイ・モリス」
ガンマン
「チョヨ」
ガンマン
「マーティン・クワーク」
ボストン市警の警部
「フランク・ベルソン」
ボストン市警の部長刑事 -
1○誇りとともに:And proud of it.スペンサーはアイルランド系で、『Irish and Proud of It 』という映画のタイトルと掛けたのかも知れない。
○完全に問題が終わるには、時間がかかるが:It's never over till it's over.MLBのプロ野球選手(捕手)ヨギ・ベラの名言・迷言のひとつ。7月の時点で、首位から9.5ゲーム差にあり、記者から質問された時の答え。Wikipediaでは「(試合は)終わるまで終わりじゃない」と訳されている。
○Smith College:マサチューセッツ州ノーサンプトンに本部を置く米国最大の女子大学。USニューズ&ワールド・レポートの2019年ランキングでは全米のリベラル・アーツ・カレッジ中11位タイの評価を受けた。Wikipedia。
2○Gewürztraminer:ぶどうの品種。作られるワインはすべて白。
○Chillingsworth:フランス料理店。四つ星。2449 Main St, Brewster, MA。"Chillingsworth is regarded as the best restaurant on Cape Cod."— The New York Times.
○英雄的行為には難点もある:Heroism has its downside. Simon Williamsの『Wagner and the Romantic Hero』(2004年初版)に同じ文が見える。
3○Sara Teasdale:1884年~1933年。米国の詩人。
○Boston Marriott Cambridge:50 Broadway, Cambridge, MA。
○garrison colonial:二階建てで、正面は二階部分が張り出している。
4○P.F. Chang's :正式名称はP. F. Chang's China Bistro。アリゾナ州フェニックスに本拠を置く中華料理専門のレストラン・チェーン。Park Squareの近くの店は、たぶん、8 Park Plaza Spc D-6, Boston, MA。
○ポークの甘酢あんかけ:sweet-and-sour pork。酢豚。
5○Anadama bread:ニューイングランドの伝統的な酵母パンで、小麦粉・コーンミール・糖蜜で作る。
○kendall Square:ケンブリッジにある。この地域にマリオット・ホテルがある。
○ボディランゲージ:原文body english。
6○Charles Hotel:四つ星。
○Near North:シカゴのコミュニティ・エリアの1つ。シカゴでは高層ビルが最も多く、人口が最も多い地区。
○Georgetown:ワシントンD.C.の北西部にある。商業・観光地。
7○Boston Blackie:Jack Boyle(1881~1928)が創作した人物。白人。方石泥棒、金庫破り。その後映画とラジオ番組では探偵に翻案された。
10○Tote bag:通常持ち手が2本あり、多用途で用いられる、手持ち鞄。「トート(tote)」は、アメリカの俗語(African Americans)で「運ぶ(carry)」、「背負う」を意味する。ハンドバッグの一種。無駄を削った機能性を最大の特徴とする。Wikipedia。
11○tuchis=A person's buttocks or anus.informal North American。=ass。
12○きみの黄色の瞳に乾杯:Here's looking at you,yellow eyes.映画『カサブランカ』、リック(ハンフリー・ボガート)のセリフのから。
○ものごとはいま見ているとおりで、それ以外のものじゃない:『海馬を馴らす』Taming A Sea-Horseでも言っているようだ。
○おれはマーガレットを悼んでいるのか:It is Margaret you mourn for./Gerard Manley Hopkins(1844~1889年)の『Spring and Fall』から。『拡がる環』13でも、別の部分が引用されている。
13○Cornwall's: 654 Beacon St, Boston。→644 Beacon(2019年8月)?
○Bear Bryant:1913~1983年。米国のアメリカンフットボール指導者。カレッジフットボール史上最高のヘッドコーチの1人として知られている。Wikipedia。
14○Bill Haley & His Comets:原文は「Bill Haley and the Comets」。1952年に結成され、Haleyが1981年に亡くなるまでつづいたロックンロールバンド。Rock Around the Clock(1955)が有名。
○Polar fleece:ポリエステル製の柔らかい起毛断熱布。フリース。
○Greek Fisherman's Cap:船員帽、skipper cap。Mao cap=人民帽(人民解放軍の帽子)の形。つばが短い。上部が平坦。
18○La Perla:ドイツ人が所有するイタリアの高級下着ブランド。
21○歌も踊りもできないからだ:Sylvester Stallone『Rocky』1976。Rocky Balboaが「Why do you wanna fight?」と聞かれたときの答え。
21○UMass Boston(University of Massachusetts Boston):100 William T, Morrissey Blvd, Bostonにある。
23○Galahad:アーサー王伝説や聖杯伝説に登場する円卓の騎士の1人。ランスロット卿とペレス王の娘エレインの子供。Tennysonの詩『Sir Galahad』に「My strength is as the strength of ten, / Because my heart is pure.」とある。 Wikipedia。
24○歯の妖精(Tooth fairy):抜けた乳歯を枕の下に入れて寝ると、翌朝それをコインあるいはプレゼントに交換してくれる妖精。
○Flora:190 Massachusetts Ave, Arlington。2016年6月末に閉店。
○gnocchi:団子状のパスタの一種で、ジャガイモと小麦粉との組合せで作られるイタリア料理。Wikipedia。
26○Alley Oop:V. T. Hamlinが描いた新聞連載まんが。1932年から40年続いた。
○馬のケツ:horse's ass。ジゴロ。不快なやつ。愚か者。
30○Boyle Heights:Los Angeles川の東部地域。10万人の住民の95%はラテン系。
30○Francesco Scavullo:1921~2004年。『コスモポリタン』の表紙や有名人の肖像で知られた米国のファッション写真家。
○Kent州立大学:オハイオ州にある。ベトナム戦争中に米国軍がカンボジア侵攻したことに抗議する運動をしていた学生に州兵が発砲し、4人が死亡した。1970年5月4日。
○Weathermen:由来は、ボブ・ディランの曲「サブタレニアン・ホームシック・ブルース」の若者文化のスローガンとなった一節「You don't need a weather man to know which way the wind blows(風向きを知るのに予報官は要らない)」から付けられた。Wikipedia。
33○大統領:本書の出版は2007年。当時の大統領はGeorge W. Bush。その英語誤用はBushismと言われ、それに関する書籍は多数出版され、日本語訳も出ている。例:『警告!絶対にマネをしてはいけない「ブッシュ君」英語集―正しい英語例つき』。
○Harvest:レストラン。44 Brattle Street, Cambridge, MA。
34○Zaftigs:Zaftigs Delicatessen。335 Harvard St, Brookline。ユダヤ料理店。
○William Randolph Hearst:1863年~1951年。新聞発行人。新聞王と呼ばれた。購読者数を増加させるために、真実を伝えるものよりも市民感情を煽るショッキングなものが多かった。捏造記事やでっち上げ記事で民意をコントロールし、スペインとの戦争(米西戦争)までを引き起こした。
○リバティ・バランスを射った男:The Man Who Shot Liberty Valanceは、1962年製作のアメリカ映画。ジョン・フォード監督作品。
35○Taft University:架空の大学。『Love and Glory』『Playmates』にも使われている。スーザンが教壇に立っている。
○Bowling Green:オハイオ州にある州立大学。
38○ふたつの音楽があるだけだ。いいのと、悪いのと:原文:Only two kinds of music: good and bad.//Where Is Jazz Going? Music Journal (1962) Reproduced in The Duke Ellington Reader。「There are simply two kinds of music, good music and the other kind ... 」
○Desi Arnaz: 1917年~1986年。米国で活躍したキューバ生まれの俳優、プロデューサー、ミュージシャン。 Babalúは、1946年の Desi Arnaz and His Orchestraに収録。Babalúは、キューバのアフリカ系の歌。1939年。
○カイオワ音楽:オクラホマのKiowa族の伝統的かつcontemporary音楽。
○bully stick:ドッグフードの一種。高タンパクの牛の(乾燥させて堅くなった)ペニス。
40○SDS:たぶんStudents for a Democratic Society。
○その他:原文は「Peter, Paul and Mary」。1960年代米国のフォークグループの一つ。60年代にベトナム反戦のメッセージを全世界に送り出した。
45○国の暗い平原:フィッツジェラルド『華麗なるギャツビー』の一番最後の部分の一節。He did not know that it was already behind him, somewhere back in that vast obscurity beyond the city, where the dark fields of the republic rolled on under the night.
○bell buoy:打鐘浮標。岩礁などの所在を知らせる。ブイ(浮標)の位置を知らせるために自動的に鐘を打つブイ(浮標)。
49○Toledo:オハイオ州北西部に位置する工業都市。ミシガン州との州境、エリー湖の西端ルーカス郡に位置する。
○Don Shula:1930年生まれ。ナショナルフットボールリーグ(NFL)史上最強のコーチと言われる。スーパーボウルで二度優勝。1951年のドラフトで、Cleveland Brownsに入団。
○Fred Schuler:未詳。ドイツの映画撮影者やドラマーなどが同名。あるいは、Fred(erick) Schule(1879~1962)のことか。オハイオ州出身で、ミシガン大学出身。1904年セントルイスオリンピックの金メダリスト。フットボールMichigan Wolverinesの選手でもあった。
51○Justice Center:クリーブランドのシビックセンター地区にある複合ビルで、警察本部・裁判所・矯正センター(刑務所)などで構成されている。
○Las Vegas:おそらく、米国のNBCで2003年から2008年まで放映されたテレビドラマの題名。ラスベガスのカジノホテル《モンテシート》を舞台に、カジノでの不正行為などを暴く監視チームをコミカルに描いた物語。
57○Howard Johnson's:ホテルとモーテルのチェーン店。現在、別会社の所有。また1960年代から1970年代にかけて米国で最大のレストランチェーンであり、1,000を超える会社所有およびフランチャイズ店があったが、2018年には1軒のみとなった。
58○Laurent-Perrier:2005年時点で世界で3番目のベストセラー・シャンパン。
○ John Keats:Ode on a Grecian Urn(ギリシャの壺によせるオード)の最後の一節 "Beauty is truth, truth beauty,—that is all / Ye know on earth, and all ye need to know."
61○ Minneapolis Millers:ミネソタ州ミネアポリスに1960年まであったマイナー・リーグのプロ野球チーム。カール・ヤストレムスキーもプレーした。
63○Locke-Ober:ボストンで三番目に古いレストラン。
○Gibson:カクテルの名。
○Pearl onion:原文は単に「onion」。カクテルに入っているので、このように訳したのだろう。小粒タマネギ。
64○Jersey Joe Walcott:1914~1994年。ボクシングヘビー級世界チャンピオン。
69○Galvin Contracting Services:Timothy Galvinが経営する住宅のリフォーム業者。103 King St, Groveland, MA。
69○ロマンスは”違いだ”:romance is different.出典未詳。 John Updike.
○子供は大人の父親なり:The child is father of the man.三つ子の魂百まで。 -
どうやら、読み損ねていたスペンサーシリーズ。
「これ、読んでない!」と気付いた時の嬉しさといったら…。
中身はいつものスペンサーだけど、スーザンとの関係に重きを置いたお話。
もっと歳とったら、ぜんぶ読み返したい。 -
家にあったので何度か読みかけて読んだような気がして暫く放置することを繰り返した末、ようやく読み終わりました。まあ安定のスペンサーシリーズ。読んだことがあるような気がするけどそれも含めて安定の展開なのかもしれません。
分かりやすい大衆娯楽小説なのでボストンの私立探偵ごときがちょっと聞きこみに行って露見する事実をFBIが掴んで無いとか過去の警察の捜査も杜撰すぎないかとか結局スペンサーは自分がむしゃくしゃするから殴りたかっただけじゃないのとかそんな殺さなくてもよかったのでは?等々色々言いたいことは有りますが。まあ安定のスペンサーです。それにしてもあの男は女タラシなだけでどうやって金をこさえていたのだろう?謎だ。
後書きの方じゃないですが私もスーザンはあまり好きではありません。(かと言ってスペンサーが好きな訳でもないのですが)彼女の優等生発言や行動が目に余るし行動や言動も矛盾する時が多いですし。まあでもそれは男性が書いてる「夢の女性」だから仕方ないのかなあなんて思うようになりました。スペンサーもそんな暴力的解決じゃなくても良いんじゃない?と思うこともたびたびだし。アメリカの分かりやすい男性のタフネスも鼻につきます。そういう意味では二人は良いカップルなのでしょうね。同じ犬種の犬を前の子が死ぬと新しい子を飼って同じ名前をつけて何代目かわからないとかウェットな日本人的感覚の自分にはちょっと薄情じゃないかと思いますが。小学校を銃で襲撃されてもマシンガンの所持規制に禁止とかやっぱり文化が違うなあと思うのです。 -
スペンサー・シリーズの第三十五作目。
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浮気調査の依頼者に自分の過去を重ねて勝手に苦悩するスペンサー。今回の相手はあまり強くなさそうなのに、わざと挑発して殺さざるをえない状況にもちこんでしまったのはハードボイルド的にどうなのかな。長いシリーズの中でも駄作な方だと思う。
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スペンサーシリーズ。オールスターメンバーでスーザンを守る。今回はスカッとする内容。
ロバート・B.パーカーの作品





