交霊 〔上〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (412ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151788550

作品紹介・あらすじ

自立支援ホームで起きた少女殺害事件。事件解決のカギを握るのは自称霊媒の女なのか?

感想・レビュー・書評

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  • 少女の死体はベッドに横たわっていた。顔のほとんどがなくなっていて、ほとばしった血が部屋中を赤く染めている――問題を抱えた少女たちのための自立支援ホームで、収容されていた少女が惨殺される事件が発生した。やがて収容者の一人ヴィッキーが姿を消していることが判明し、捜査に加わったヨーナ・リンナ警部は、彼女の行方を追うが……。

    スウェーデン国家警察ヨーナ・リンド警部のシリーズ第三作。先日、6年ぶりに四作目が翻訳されたので、未読の三作目を手に取ってみた。どうしてこんなに陰惨な描写なんだろうと思いつつ、下巻へ。

  • ヨーナ・リンナ警部の第三作。

    北欧ミステリーを幾つも読んだせいか、
    主人公に感情移入できなかったせいか、
    前作、前々作がどんな話だったか、全然思い出せない…。

    それはともあれ、多少は面白かった。
    気がする。

    少女ばかりの自立支援の家で起こった殺人事件。
    犯人とされる少女は逃亡の途中で少年を誘拐する。
    二人は川でおぼれたと思われるが、
    インチキ霊媒師が本当に霊を感じ始める。

    (下巻へ)

  • スウェーデンの作家「ラーシュ・ケプレル」(純文学作家の「アレクサンデル・アンドリル」と「アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリル」夫妻の共有筆名)の長篇ミステリ作品『交霊(原題:Eldvittnet)』を読みました。

    「カミラ・レックバリ」、「ヴィヴェカ・ステン」に続きスウェーデンのミステリ作家の作品です… 「ラーシュ・ケプレル」作品は、一昨年の7月に読んだ『契約』以来、、、

    北欧ミステリ作品は、読みだすと、どんどん読みたくなる魅力がありますね。

    -----story-------------
    【世界的ベストセラー『催眠』を凌ぐスケールの 捜索! 追跡! 悪夢! 】

    〈上〉
    2010年に発表された『契約』に続いて執筆されたシリーズ第3作。
    主人公「ヨーナ・リンナ警部」のこれまで語られなかった背景も明らかにされるなど、読み逃せない作品である。

    少女の死体はベッドに横たわっていた。
    顔のほとんどがなくなっているようで、ほとばしった血が部屋中を赤く染めている―問題を抱えた少女たちのための自立支援ホームで、収容されていた少女が惨殺される事件が発生した。
    やがて収容者の一人「ヴィッキー」が姿を消していることが判明し、捜査に加わった「ヨーナ・リンナ警部」は、彼女の行方を追うが…ベストセラー『催眠』 『契約』に続き、スウェーデンで大ヒットを記録した超話題作

    〈下〉
    明らかに死んでいる少女が、彼女を見下ろして語りかけてくる―自称・霊媒の「フローラ」は、生まれて初めて見た本物の幽霊が、報道されている殺人の被害者であることに気づいた。
    警察には相手にされなかったが、「ヨーナ・リンナ警部」だけは彼女の通報に注目する。
    一方、逃走中の「ヴィッキー」の行方は、依然として不明のままだった…スリリングな追跡劇、不気味な怪現象、意表を衝く真相。
    全世界が注目する覆面作家が放つ大作。
    -----------------------

    2011年に発表された「ヨーナ・リンナ」シリーズ第3作です、、、

    相変わらず、独特の臨場感やスピード感があり、事件が解決したかと思えば、実は解決していなかった… という予測不可能な展開で、ずっと緊張感を保ちながら読めましたね。

    上下巻で約800ページという長篇作品ですが、これまでの2作品と同様にクライマックスシーンまで、飽きずに物語に引き込まれっぱなしの展開でした、、、

    これまた相変わらずの、残虐な殺害シーンだけは慣れることができないので、部分的に想像力を封印して読んでいます。

    あと、気になるのは、今回は終盤で「ヨーナ」の過去に携わった事件や、それをきっかけに妻子と別離することになったエピソードが織り込まれ、次作以降に娘が事件に巻き込まれそうな予感を漂わせるエンディングだったこと… 今後の展開が気になりますが、どうやら4作目以降は翻訳されていないようです、、、

    残念… 早期翻訳を期待しています!


    今回の事件は少女達が生活する自立支援ホームで起きた殺人事件… 被害者は収容者の一人である「ミランダ」と看護師の「エリサベト」の二人、、、

    「ミランダ」の顔は無残なほど滅多打ちにされ手を顔の前においた状態でベッドの上で死んでいた… 「ヨーナ」は前作『契約』での捜査における行動が問題で捜査担当者ではなくオブザーバとして捜査に加わるる。

    捜査が開始されてから看護師の「エリサベト」の死体が収容所の小屋で見つかる… 警察は自分の部屋に血痕や大量の血がついたシーツ、ハンマーを残した状態で収容所から姿を消した「ヴィッキー」を二人の殺害犯として捜査を開始する、、、

    その後、女性牧師「ピア・アブラハムソン」が、道路脇に車を止め息子「ダンテ」を残してほんの一瞬車から離れた隙に「ヴィッキー」と思われる少女に「ダンテ」をのせたままの車を盗まれる… 数日後、この車がダムの傍の川の中に沈んでいるのが見つかり、警察は殺人を犯した「ヴィッキー」が、「ダンテ」とともに死亡したと結論付けて捜査を打ち切ろうとするが、「ヨーナ」は状況証拠から「ヴィッキー」が怪しいとは思われるものの「ヴィッキー」の犯行とは思えず、独自に捜査を続ける、、、

    捜査を進めるうちに、「ヨーナ」は、交霊者として生計を立てている「フローラ」が、この事件に関して何度も警察に電話をしていることを知り、「フローラ」と会って話を聞く… 当初は「フローラ」の説明は虚言だと思っていた「ヨーナ」だが、何度か会って話を聞くうちに、「フローラ」が「ミランダ」の幽霊から聞いたと思い込んでいる事象は、「フローラ」が幼少時に体験した辛い記憶の一部であることに気付き、今回の事件の裏に隠された、過去の別な事件の存在が徐々に明らかになっていく。

    「ヨーナ」は人身売買グループの「トビアス」に監禁されていた「ヴィッキー」と「ダンテ」を発見し、人身売買グループとの激しい攻防の末に二人を救出… 「ヴィッキー」は収容された病院で検査官の尋問を受け、自分が「ミランダ」を殺した事を示唆する自供をして一件落着と思われたが、、、

    途中から、ソーシャルワーカーが怪しいなぁ… と思っていましたが、まさか、少年時代から残虐な殺人を犯しており、それを巧みに隠していたとはねぇ、「ダニエル」って想定以上に酷い人物でした、、、

    「ダニエル」が犯人と判明したとき、「ヴィッキー」は、元里親で「ヴィッキー」を更生させようとしていた「エリン」と「ダニエル」の三人で別荘に居た… 「ヨーナ」は直ぐに「エリン」に連絡するが、既に「ヴィッキー」に危険が迫っていた、、、

    「ヨーナ」は「エリン」と「ヴィッキー」を「ダニエル」の魔の手から救うことができるのか… 中盤以降は怒涛の展開で一気読みでした。

    推理だけでなく、派手なアクションも読み応えがあり愉しめましたね… 組織内の抑圧に屈せず、自分を信じて独自に捜査を進めて事件を解決する「ヨーナ」はカッコイイなぁ、、、

    でも、その「ヨーナ」が窮地に追い込まれそうな、そんな予感のする次作以降の展開… スウェーデンでは、5作目まで出版されているらしいので、早く読みたいです。



    以下、主な登場人物です。

    「エリサベト・グリム」
     ビルギッタゴーデンの看護師

    「ダニエル」
     ビルギッタゴーデンのソーシャルワーカー。エリサベトの夫

    「ミランダ・エリクスドッテル」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「デューラ・レーティ」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「ヴィッキー・ベネット」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「ニーナ・モランデル」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「アルミラ」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「カロリーン・フォッシュグレン」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「インディー」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「ルー・シュー」
     ビルギッタゴーデンの収容者

    「スーシー・ベネット」
     ヴィッキーの母親

    「エリン・フランク」
     ヴィッキーの元里親

    「ヨーナ・リンナ」
     スウェーデン国家警察の警部

    「カルロス・エリアソン」
     スウェーデン国家警察の長官

    「ミカエル・ボーゲ」
     スウェーデン国家警察内部調査室長

    「ヘレーン・フィオリーネ」
     スウェーデン国家警察内部調査室長秘書

    「オッレ・グンナション」
     ヴェステルノルランド県警の警部

    「ピア・アブラハムソン」
     牧師

    「ダンテ」
     ピアの息子

    「ニルス・オレン(ノーレン)」
     法医学者

    「スサン・エスト」
     検事

    「ナータン・ポロック」
     殺人捜査特別班のメンバー

    「ディーサ」
     ヨーナの恋人

    「フローラ・ハンセン」
     霊媒

  •  スウェーデン国家警察ヨーナ・リンナものの3作目。なんだかんだ文句を言いながらまた読んでしまった。ヨーナは相変わらずひょうひょうとして、武骨な昔の警官気質でありながら内面に弱さをかかえる、というありがちな警官小説タイプとはまったく異質だが、読み続けているとまあこんなものかと納得してしまう。少女たちの収容施設で起こった不可解な殺人事件。結論をいうと非常にありがちな犯人と結末で、ミステリとしては平凡だ。ただそこへ至るまでのヨーナの地道な単独捜査が見もの。ちょっとしたこともゆるがせにせず霊のお告げなどという情報まで吟味したところから驚くべき過去とのつながりに気づく。内部調査を受けて監察中の身でありながら、なんだかんだ自由に独自捜査を進めたり、思いつきがうまくあたったりと、ストーリー展開がご都合主義的ではあるが、逆にいえば安定の安心感ともいえるか。謎に包まれていたヨーナの家族の壮絶な事情が最後に明らかになって、今後のそちらの展開にも目が離せない。

  • ヨーナ・リンナ警部シリーズ3作目。
    前作を読んでから大分たちましたが、この度読んでみました。
    久しぶりに読むシリーズものはストーリー展開やら設定やらを忘れていて少し戸惑う事もありますが、本作もその例外ではなく。
    とは言え、左程でもなく十分楽しめました。

    #最も登場人物間の関係を覚えておいた方がもっと楽しめたかとは思いますが・・・

    さて、前置きはこの位にして以下にあら筋をご紹介。


    様々な問題を抱え、犯罪を犯した少女たちが集められた施設において2件の殺人事件が発生する。

    警察は犯行直後に施設から姿を消した一人の少女の行方を追うが、彼女は途中出くわした車を奪って逃走。

    その車には幼い男の子が取り残されており、警察は必死に彼らの行方を追う。
    しかし、その努力の甲斐なく二人は忽然と姿を消す。

    過激派に情報を漏らしたかどで内務調査の対象となっている主人公は無事男の子を救い出し、事件の真相を解き明かせるか?


    事件の真相や誘拐された子供の安全に、かつて容疑者の少女の里親であった美貌の大富豪の苦悩。
    そしてそればかりではなく、主人公が情報を漏らした容疑で内務調査の対象となっていたり、昔死んだ(はずの)彼の妻子に関する秘密がほのめかされていたりと結構盛りだくさんな内容となっています。

    主人公が抱える因縁等、次巻以降の展開が気になる終わり方となっていますが、本作そのものは収まる所に収まるべきものが収まっており、シリーズ前作の内容をほとんど覚えていない私でも十分に楽しめました。

    #最もこの点が余りにもハッピーエンド過ぎる様にお感じになられる方も居られるかも知れませんね。

    ちょっと甘めな所もありますが、楽しめる小説となっておりますので一読されてみては如何でしょうか?

  • 一章?が4~5ページずつで読みやすい。前の2作のストーリーは全く覚えてないがそれでも楽しめた。下巻がすぐ読みたくなった。

  • ヨーナ・リンナ警部シリーズ第三弾。スウェーデン北部、問題を抱える少女の自立支援施設でおきた、少女と看護師の殺人事件を主人公の警部が追う話。事件の直後施設にいた一人の少女が脱走して容疑者として行方を追われる。しかし事件はそんな単純なものではなく、執念深く主人公は謎を解明していく。上巻は少々ダラダラとした展開だったが、下巻は一気にテンポよく進み、楽しめた。前二作品よりも主人公の警部がより多くメインで登場し、過去も語られているため、やっとシリーズらしくなってきたと感じられた。

  • レビューは下巻にて。

  •  今回から訳者が変わったので少し心配していたけど、全く問題なく楽しめた。

     三作目も面白い。
     精神に問題を抱える少女たちが出て来る所為か、霊媒師が出て来る所為か、今までの二作よりも混沌とした印象。

  • スウェーデン・ミステリーは奥が深い。『催眠』『契約』に続く、ヨーナ・リンナ警部シリーズの第三弾。

    少女達の自立支援ホームで起きた凄惨な殺人事件。犯人は事件後に失踪した少女なのか…さらに殺人事件とは別の事件が発生。謎は深まるばかり。

    前作で警察内で窮地に立たされたヨーナ・リンナ警部が少しづつ事件の真相に迫る様は健気にも感じるが、次々と現れる得体の知れない登場人物が物語を混沌とさせている。

    スティーグ・ラーソンの『ミレニアム』で話題になったスウェーデン・ミステリーであるが、その面白さの正体を一言で言えば、連鎖だと思う。最初は登場人物同志が見えるか、見えないかくらいの細い糸でつながっているのだが、物語が展開するにつれ、細い糸が次第に太くなり、目に見えてくる。

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著者プロフィール

ラーシュ・ケプレル
アレクサンドラ・コエーリョ・アンドリルとアレクサンデル・アンドリルの作家夫婦が共作するときのペンネーム。国際的なベストセラーとなったヨーナ・リンナシリーズは、40以上の言語に翻訳され、1500万部以上も売れている。アンドリル夫妻は、ラーシュ・ケプレルのペンネームで執筆する以前も、それぞれが単独で書いた作品が出版され高い評価を受けている。3人の娘とスウェーデンのストックホルムに在住。

〈扶桑社ミステリーのラーシュ・ケプレル作品〉
『砂男』上下
『つけ狙う者』上下
『ウサギ狩り人』上下
『墓から蘇った男』上下

「2023年 『鏡の男 (下)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

ラーシュ・ケプレルの作品

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