特捜部Q ―檻の中の女― 〔ハヤカワ・ミステリ文庫〕

制作 : 吉田奈保子 
  • 早川書房
4.10
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  • (2)
  • (2)
本棚登録 : 616
レビュー : 101
  • Amazon.co.jp ・本 (578ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151794513

作品紹介・あらすじ

捜査への情熱をすっかり失っていたコペンハーゲン警察のはみ出し刑事カール・マークは新設部署の統率を命じられた。とはいってもオフィスは窓もない地下室、部下はシリア系の変人アサドの一人だけだったが。未解決の重大事件を専門に扱う「特捜部Q」は、こうして誕生した。まずは自殺と片付けられていた女性議員失踪事件の再調査に着手したが、次々と驚きの新事実が明らかに!デンマーク発の警察小説シリーズ第一弾。

感想・レビュー・書評

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  • 2019.03.13読了
    北欧ミステリーはミレニアム以来久しぶり。
    ちょっとした残酷さがミレニアムを彷彿とさせる。これが北欧ミステリーの特徴か?
    ミレニアムに見られたこの男と女の絡みは要るの?と言う場面もなく、私にはこちらの方が好み。
    国内ミステリーで最近面白い作品に出会えないので、このシリーズは読破しようと今から楽しみだ!

  •  週刊ブック・レビューに参加していた中江有里が、児玉清『ひたすら面白い小説が読みたくて』の紹介をしている番組を、先週見た。紹介された本は児玉清の文庫解説を集めて編纂した本なのだが、中江有里は、本は解説から読むという。解説を読んで買ったり読んだりするかどうかを決めることは多い、と言っていた。ぼくも実は同じ傾向があり、決め打ちの作家は別として、書店で手にとった本の巻末解説などには必ずと言っていいほど眼をやり、それによって読む本を選択することは多い。こんなことを書いているのも、実は本文庫化された特捜部Qシリーズの一作目についてだが、池上冬樹氏の解説が素晴らしいのである。こんな解説を書かれたら、矢も盾もたまらずに読みたくなってしまう人は多いのじゃないか?

     特に警察小説としては、87分署に比肩するほどオススメしたくなるシリーズらしいと書かれてしまえば、かの87分署読破者のぼくとしては、また警察小説と聞いただけで喉から手が出るほど欲しくなるぼくとしては、もうそれらは殺し文句に近いのである。こんな解説ずるい、よな。

     さて、果たして、本書は、解説の池上氏のおっしゃっている通り、素晴らしい警察シリーズであることを予感させる、記念すべき第一冊であった。こんな小説は誰も書かないというのが、何しろぼくの第一印象である。デンマークの警察署を舞台にしているからとか、この国の慣習や法律に馴染みのない部分があるからとかそういうことではなく、この作者によるオリジナルな奇想の部分がこの印象の大半なのである。

     例えば、この作品は、陰と陽によって構成されている。陰の方は事件の核心部に関する描写である。身動きのできない場所で監禁されてしまった上院議員ミレーデの身に起こった恐ろしく不当で最悪の犯罪。冷酷な監禁犯たちは密閉された監禁室の気圧を少しずつ上げてゆき、殺さずに何年も何年もの時を待つ。暗闇から解放したり、また暗闇に戻したり。食事を出したり、止めたり。犯人たちの思惑がわからない分、ミレーデも読者も不安であり、状況は絶望的である。

     さて、陽の部分は、特捜部Qの創設される状況、そこにあてがわれる部下はゼロ。責任者であり捜査官であるカール・マークは、とんだサボり親父でありながら、ある銃撃事件を境に殉職したり全身付随になった仲間たちへの負い目を抱え、生きている。事件以来仲間たちから疎まれ、警察組織に関しても斜に構えた見方しかできなくなったカールのもとへ助手として現れたのは謎のシリア人アサド。未解決事件を追跡してゆく特捜班Qは、刑事一名、素人助手一名の弱小窓際部署であり、彼らの部屋は地下室の隙間でしかなかったのである。

     三階にある殺人捜査課と、全身不随のハーディの待つ病室と、地下室の特捜部Q即ちカール・マーク独りと、せいぜいモップを抱えたアサドという変な助手。それらのどれもが事件捜査に少しずつ関わり、殺人捜査課以外が目立った活躍や確信に迫るヒントの想像場所でもあったりするところが、やわな警察権力の構造に反旗を翻した立ち位置を作家視点として伺わせるあたりが、魅力的であり、ダメ判定されたキャラクターたちこそが活躍するというエンターテインメント構造としては王道をゆく辺りが読者の喝采を招くのも当然の結果であると言える。

     そして陰の方は、さらに深い過去、上院議員ミレーデの家族に起こった不幸な交通事故というところまで遡る。それぞれの時制での状況活写が実に上手く、乗せられてしまうこの奇妙なリズムは、本シリーズの成功を約束する構成要素の一部と言ってもいいだろう。奇跡的なぎりぎりの大団円をこの連中は迎えることができるのか? 手に汗握る圧巻の警察小説の未来に幸いあれ!

  • バディものですぐに浮かんだのがデンマーク発の警察ミステリシリーズ第一弾のこの作品。仲間の死傷で捜査への情熱を失った刑事カールは捜査の第一線から外され未解決の重大事件を扱う新設部署を任される。オフィスは窓もない地下室。部下はシリア系の運転がめちゃくちゃで天才的頭脳を持っているかに見えて常にどこかズレている変人アサドのみ。たった二人のチームが『特捜部Q』。この二人の妙にずれて、どこか噛み合うやり取りで進む捜査と監禁された檻の中で生への渇望と戦う女性の2つの視点が交互に語られクライマックスまで一気に突き進むこの作品。読めばいつしかアサドが淹れる異常に濃いコーヒーや怪しいお茶が飲みたくなる!この後も数々の未解決事件を解決することとなるなぜか一部女子人気(?)も高いこの相棒(コンビ)。バディ要素にモヤモヤしながら徐々に明らかになってくるお互いの過去とシンクロする現在を是非追いかけてみてください

  • デンマーク産警察ミステリ
    イギリス以外も紹介されるようになってきたのは結構なこと
    『クリスマスのフロスト』シリーズのような
    無理に前向きでも卑屈に後ろ向きでもない主人公の活躍が素直に気持ちよい
    日本だと「組織のせい」に終始するが
    こくみせいだしねしかたないね

  • ネットで見かけて。

    ドキドキ、ハラハラした。

    5年も監禁されていた女性議員が無事助かるかどうかではなく、
    予算目当てで新設されたQ特捜部の行く末でもなく、
    仲間の刑事を死亡させ、もうひとりを重傷にしたのは自分だと思っている刑事が立ち直るかどうかでもなく、
    頭が良く、推理力もあり、仕事の手際の良いシリア系の助手が事件に巻き込まれて死んでしまうのではないだろうか、
    と心配だった。

    変人、変人と何度も書かれているが、全然そう見えないのは、
    読者が彼に好意を持つよう描かれているからだろうか。
    もしくはデンマークの「常識」が自分には無いからだろうか。
    次作でも彼が活躍してくれることを願う。

    監禁事件の方は、
    全く脈絡なく昔の自動車事故が動機だとぼんやり気が付いたところから、
    興味を失ってしまった。

    でも本来の主人公、カール刑事の型破りぶりな感じや心に悲しみを宿した感じが、
    フロスト警部を彷彿とさせたのもあって、作品としては面白かった。

  • 分厚さに気圧されながらも丸一日かけて読了。有能だが厄介者扱いのカールと謎多き相棒アサドから成るコールドケース専門部署【特捜部Q】が事件を解決するバディもの。5年前の女性議員失踪事件を洗い直す本作はカール視点で現在を、議員視点で過去を描き徐々に時間軸が統合されるドラマチックな展開。日本の警察にも通ずる地味で地道な捜査だが、集めた情報が一本の線に繋がるのはやはり警察小説の醍醐味。シリーズ第一弾なので諸設定や各々のキャラクター説明に随分尺を割いた印象はある。そしてやはり海外モノは登場人物の名前が覚えられない…。

  • 初読。
    デンマークミステリ

    かの有名な特捜部Q、満を持してw挑戦。
    文章との相性なのか、なっかなか入りにくくてやや苦戦。

    が、
    なるほどー。よく出来てる。
    未解決の難事件を捜査する部署「特捜部Q」、
    そこに据えられるカールの経歴、
    アサドというキャラクター。この辺の設定と
    現在と過去が交互に描かれラスト向かっての重なり、
    加圧という(私は読んだ事ない)トリックというか
    必然性のある設定。

    単純に「うわー、面白い!」とならなかったのは
    ひとえに相性だと思う。
    けれど、暫くは読みますこのシリーズ。

  • 長いあいだ読みたいと思っていて、手をつけなかったものをやっと読めた。北欧ミステリーは割と相性がいい。登場人物が個性的過ぎてちょっとついていけなかったが、だんだん慣れてきた。最近は男性の恋人が女性とはかぎらないし、女性のパートナーが男性とは限らないので、ときどき混乱してしまう。主人公の相棒アサドがわけありっぽくて興味がわく。それにしてもミレーネの意志の強さはみごと。ラストは涙を誘い、とてもよかった。シリーズはやはり順番に読んだ方がいいのだろうか?

  • 書店で薦められ期待して読んだのだが、期待値を遥かに超えるスーパーK点超え。もう何ていうか骨太過ぎる。これがシリーズ物ってのも嬉しい。この濃密な時間をまだまだ味わうことが出来る。ワクワクが止まらない。

  • 10月-8。4.0点。
    事件で撃たれ、同僚一人死亡、一人下半身麻痺の主人公。
    未解決事件捜査班特捜部Qを新規立ち上げ。
    謎のシリア人が相棒。掲示では無く事務担当。

    面白い。すごい。
    現代と、檻に囚われた女性のシーンが交互に。
    地道な捜査で段々と真相へ。
    結末も非常に良い。

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