- Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
- / ISBN・EAN: 9784151807015
作品紹介・あらすじ
その孤児院には秘密があった……〈ミレニアム〉〈特捜部Q〉読者必読の北欧サスペンス
感想・レビュー・書評
-
「エーリク・ヴァレア」の長篇ミステリー作品『7人目の子(原題:Det syvende barn)』を読みました。
北欧ミステリは7月に読んだ「エルスベツ・イーホルム」の『赤ん坊は川を流れる』以来ですね… 「エルスベツ・イーホルム」と同じデンマーク作家の作品です。
-----story-------------
その孤児院には秘密があった……〈ミレニアム〉〈特捜部Q〉読者必読の北欧サスペンス
〈上〉
誰かぼくたちをもらってくれますか?
―児童養護院の一室で撮られた7人の幼子の写真。
それが載った古い記事とベビーソックスの入った封筒が、デンマーク国務省に届く。
中に養子縁組申請書も同封されていた。
項目欄には「ヨーン・ビエルグストラン」という名前。
この子は誰の養子になり、なぜこれがここに?
国務省の局長はおそれを抱く
彼は養護院の秘密を隠しており… 北欧最高のミステリ賞“ガラスの鍵”賞受賞。
〈下〉
砂浜に横たわる“不可解な”女性の死体。
周りには、ロープ、木の枝、難解なSF小説、首が折れたカナリアの死骸―事件は解明されず捜査は打ち切られた。
だが数年後、重大な見落としが発覚する。
女性のポケット内の写真にうつっていたのはデンマークで最も権威のある児童養護院だったのだ… 施設をめぐり大人が隠してきた秘密、幼子を翻弄してきた秘密が明らかに。
著者自身の経験をもとにしたデンマークのベストセラー。
-----------------------
上下巻で約900ページの大作でしたが、新たな謎が提示され、飽きずに最後まで読める展開で、長篇なのに最後まで飽きずに読めました、、、
でも、『ミレニアム』シリーズや『特捜部Q』シリーズに比べると物足りなかったですね。
■著者まえがき マリーの家
■プロローグ 浜辺の女
■第一部 始まり
・1 捨て子
■第二部 追跡
・2 手紙
・3 コングスロン
・4 ゾウのへや
・5 マウナ
・6 マウダレーネ
・7 オアラ
・8 恐れ
・9 テレビ局
・10 ペーター
・11 国務大臣
・12 セウ゛ェリン
・13 青い象
・14 守護天使
・15 秘密
■第三部 エウ゛ァ
・16 王のスコスボー
・17 プロフェッサー
・18 記念祭
・19 死
・20 葬儀
・21 過去からの手紙
・22 コングスロン運営記録(プロトコル)
・23 スサンネ
・24 ニルス
・25 アスガー
・26 盲目の少女
・27 コングスロンの子供たち
■第四部 闇
・28 逃亡
・29 未解決問題
・30 崩壊
・31 最後の試み
・32 脅威
・33 アンドロメダ
・34 新首相
・35 別れ
・36 悪意
・37 暗殺事件
・38 復活
・39 ネメシス
・40 王の間
■エピローグ マリーの歌
■訳者あとがき 長谷川圭
2001年9月11日、児童養護施設「コングスロン」近傍の海岸で身元不明の女性死体が発見される… その死体は片目に大きな傷があり、転倒による事故死とも思えたが、天文学者が書いた難解なSFの本、古い菩提樹の枝、処刑に使うような太いロープ、首を折られたカナリア等、説明のつかないモノが残されており、担当した老刑事は、これが殺人事件なら犯人は精神を病んでいるに違いないと想定し、FBIにも協力を求めるが、同日に発生したアメリカ同時多発テロ事件の喧騒により、世間から注目されないまま忘れ去られてしまった、、、
それから6年以上が経過した2008年5月、「コングスロン事件」としてデンマーク中の関心を呼ぶことになる事件が勃発する… 発端は国務省参謀管理局長「オアラ・ピル・ベルントセン」宛に届いた匿名の手紙だった。
同封されていたのは児童養護施設「コングスロン」に関する古い雑誌(児童養護院の一室で撮られた7人の幼子の写真)のコピーとベビーソックス、「ヨーン・ビエルグストラン」という名前の書かれた養子縁組申請書のコピー… 1961年から1962年にかけて「コングスロン」で保護された子どもたちに関する秘密を暴こうという意図が感じられる内容だった、、、
そしてその手紙は、写真に写っていた7人の幼子のうち、養子として引き取られた5人の人物と、「コングスロン」出身では無いが不幸な生立ちを持つ新聞記者「クヌーズ・トーシン」にも届いていた… 手紙で示唆されているのは次期首相と目される国務大臣の「オーレ・アルミン=エネヴォル」の不義の子が闇のうちに「コングスロン」に引き取られたということ。
「クヌーズ」はスクープを狙い、同僚のカメラマン「ニルス・フィゴ・イェンセン」とともに独自に取材を始める… 「クヌーズ」等の取材と7人の幼子のうち「コングスロン」の元院長「マルタ・ラーデゴール」の里子となり現在も「コングスロン」に住む「マリー・ラーデゴール」の語りから、写真に写っていた7人の幼子の現在や養子として引き取られた後の人生が明らかになります、、、
テレビ曲《チャンネルDK》の人気司会者「ペーター・トレスト・イェルゲンセン」、国務大臣の参謀局長「オアラ・ピル・ベルントセン」、人権派弁護士「セーレン・セヴェリン・ニールセン」、天文学者「アスガー・ダン・クリストファーセン」、現コングスロン院長「スサンネ・インゲマン(マウナ)」、そしてカメラマンの「ニルス・フィゴ・イェンセン」… 彼等は皆、生い立ちにおいて暗い過去を持っていた。
「マリー」の策略により、50年近い時間を隔て再び邂逅を果たす7人… 誰が「ヨーン・ビエルグストラン」なのか、「ヨーン・ビエルグストラン」の父親は誰なのか、、、
そんな中、事件の真相を知ると思われる「マウナ」や「ドーラ・ラウアセン」が謎の死を遂げる… 二人の死は事故死なのか?それとも殺されたのか?殺されたのであれば犯人は?7年前に海岸で殺された女性と同一犯なのか?
事件の真相が徐々に明らかになっていきますが、ひとつの謎が解けると、また新たな謎が提示されて という展開で、さらに終盤付近で、ほとんどの謎が解けたと思わせておいて、その先で、新たな真実が判明… という仕掛けまであり、エンディングまで興味を持って読むことができました、、、
ちょっと回りくどい感じはしましたけどね… まっ、愉しめたからイイでしょう。
「ヨーン・ビエルグストラン」という名前… 女性だったら「ヨナ」、男性だったら「ヨーン」と名付けられる予定だったこと、、、
「コングスロン」に預けられる際に、性別を入れ替えて実の両親にわからないようにしようとしてことがわからなかったので、最後までミスリードさせられましたね。
でも、『訳者あとがき』にあった、『著者まえがき マリーの家』と『エピローグ マリーの歌』をもう一度読むとひとつの謎が解ける… という意味がわかりませんでした… うーん、理解不足かな、、、
あと、障害を持った「マリー」の容姿(「マリー」は醜いと自己評価しているが、「マウナ」や「アスガー」は美しいと言う)と、「マリー」の住む王の間にある不気味の鏡(「マリー」には姿が写って見えて、「マリー」に話しかけるが、「マウナ」には割れた鏡として見えている)、そして「マリー」と「マウダレーネ」の関係は真実なのか妄想なのかということが謎のままでしたね… 作品中に示唆されているのかもしれませんが、私にはわかりませんでした。
ぜひ、映像化してもらって、解りにくい部分を明らかにして欲しいなぁ。
以下、主な登場人物です。
「マリー・ラーデゴール」
本書の語り手。マルタ・ラーデゴール(マウナ)の里子
「マルタ・ラーデゴール」
児童養護施設の元院長。通称マウナ
「スサンネ・インゲマン」
マウナ・ラーデゴールの後を継いだ現院長
「マウダレーネ」
児童養護施設に隣接する屋敷に住む女性。
全身麻痺で車椅子生活を送る
「オアラ・ピル・ベルントセン」
国務省参謀管理局長
「セーレン・セヴェリン・ニールセン」
弁護士
「アスガー・ダン・クリストファーセン」
天文学者
「ニルス・フィゴ・イェンセン」
報道カメラマン
「ペーター・トレスト・イェルゲンセン」
《チャンネルDK》の司会者
「ヨーン・ビエルグストラン」
養子縁組申請者に名前が書かれていた人物
「エヴァ・ビエルグストラン」
ヨーン・ビエルグストランの母と目される人物
「オーレ・アルミン=エネヴォル」
国務大臣。首相側近
「カール・マレ」
元コペンハーゲン警察次官。国務大臣のセキュリティ顧問
「クヌーズ・トーシン」
《フリー・ヴイーケンド》紙の記者詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
天童荒太の永遠の仔を思い出した。スッゴクいらいらした。何が言いたいのか知りたくて何とか読みきった。作者本人の経験も入って
るらしい。あー疲れた。 -
国民幸福度一位に輝いた事のあるデンマークも
終戦直後から端を発した物語は 暗くて重い。
物語は時代、シーンが行ったり来たりで読みにくいけど
読み応えはあった。 -
幸福と感じる人が世界一の福祉国家デンマーク、それでも終戦直後の暗い世代から現代に続くこの物語・・・時代も語り部も点々と変わるので 分かりにくい話。でも面白かった。
-
★3.5
レビューは下巻にて。 -
とにかく重く、すべてが伏線なのかもしれないが話の脈絡がはっきりしない。下巻へ。
-
デンマークの孤児院で、同じ時期居た7人の赤ちゃんの出生の謎を追う話。同時に国務省大臣の秘密があきらかになっていく。。。北欧ミステリー賞のガラスの鍵賞受賞とのことだが、最初から最後まではまることなく読了。予想外におもしろくなくがっかりした。
-
罪科憂いを過ぎ去り給う
ある児童養護施設。
名を「コングスロン」という。
そこを中心に結びつく三つの事件。
一人の捨て子。
散乱した遺留品の中で見つかった女性。
国務省に届いた一通の匿名の手紙。
三つが結びついた時、「その子」は知る。
誰が、「私」なのかを。
北欧デンマークは日本からは遠く、近隣諸国に比べれば身近な国とは言い難い。
今でこそ北欧流行りだが。
本書はアンデルセンの物語を下敷きにしている。
萩尾望都の描いた『パンを踏んだ少女』は怖く悲しく、好きな物語ではなかった。
しかし本書を読むのなら是非この『パンを踏んだ少女』の一読をお勧めする。
分冊になっていて長い物語だ。
読むのに少々時間がかかった。
長さは読書家と自負している私にとっては大した問題ではないが、なにぶん馴染みのない地域の物語、特に名前に苦労した。
名前がとても重要なキーワードになってくるのだが、男だか女だか、誰が誰なのか途中でわからなくなってしまう。
それに加えて幻想的な部分(何が現実だかわからない)、過去と現在が行き来する構成。
下巻は慣れに加え、物語の謎解きが始まっていくので比較的読みやすく感じたが、上巻でギブアップしてしまう読者も中にはいるに違いない。
望まれて生まれる子ばかりではない。
そんな子供たちにもどうか幸せが訪れますように。
死んで孤独や悲しみから解放されるのではなく。 -
話がどこへ進んでいくのか、なんとなく分かりつつの上巻
-
読み終わるのに5日もかかってしまった。
雑然と集められたスクラップ記事を読んでいるような感じ。
下巻でこのモザイクが消えるのだろうか?