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Amazon.co.jp ・本 (304ページ) / ISBN・EAN: 9784151811517
作品紹介・あらすじ
毎週金曜ディナーの席でママは警察が抱える難事件を解決に導く。傑作短篇集が初文庫化
感想・レビュー・書評
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安楽椅子探偵物短編集。はじめママの親馬鹿ぶりや嫁姑の対立を笑えず差別的発言が気になったが、ママの生い立ちを知ると合点がいった。『ママは祈る』と『ママと呪いのミンク・コート』『ママは憶えている』がいい味出してる。
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「家政婦は見た」を思い出させるお話でした。
市原悦子さんは実際起きた出来事を見たり、体験したりして事件を解決しているけど…
このママのすごいところは!息子から聞いた話しと何個かの質問だけですんなり解決してしまう!
おそるべきママの人生経験。
さくさくお話も進むのでさっぱり読みやすい1冊です。
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面白かった!いわゆる安楽椅子探偵もので、刑事の息子が語る事件を、いくつかの質問だけで軽やかに解決するママの話。ちなみにママは、最後まで名前が出てこない。
ママはずっとブロンクスで生まれ育ったユダヤ系アメリカ人。ママはいつもおしゃべりが過ぎて、話は脱線しがち、また息子の妻であるシャーリーのインテリ気質を当てこすったり(大学で心理学をおさめたらしい)、息子の仕事を(医者や弁護士になって欲しかったらしい)からかい気味にけなす。
最初はちょっと苦手かな〜と思ったが、だんだんと情の厚い、ママの人となりが分かってきて、彼女の事が好きになった。ママの人生観と重なって、被害者やその周囲の人たちに対し寄り添うところは、温かな気持ちになる。読み応えがありました。特にミンクの毛皮の話が好き。 -
安楽椅子探偵ものが好物なので面白かった✨
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安楽椅子探偵のママ。刑事の息子君と意見する嫁を前に推理が冴えてる。少し年代は古いけれど面白かった。
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アメリカ・ニューヨーク・ブロンクス。
刑事のデイビッドは毎週金曜日になると、妻のシャーリイと実家を訪れ
ママのディナーのご相伴にあずかる。
まずおきまりのワインから始まって、それからママご自慢の
これもお決まりのローストチキンの食卓を囲む。
そしてママは必ずこう訊く──
「で、お仕事のほうはどう、ディビイ?」
ママが聞きたがるのは捜査中の殺人事件の話。
話すつもりもないのにママの巧みな誘導についついのせられて
未解決の難事件や、進行中の捜査についてポロリと漏らすと
ママは簡単な質問をいくつかするだけで、何週間も警察を悩ませている事件でも
たやすく解決してしまう...。
刑事デイビッドのママは安楽椅子探偵。
8編のショートストーリーのなかで、どんな事件も次々みごとに解決します。
かなには警察がすでに解決させてしまっている事件でさえも
誤認をみつけて真犯人をあげてしまうほど。
それはもう見事です。
このショートストーリー、1編ごとに1事件の解決ですが
連作して話が進むにつれて、ママの親戚・知人たちがちらりほらりと表れたり(?)
ママの普段の生活ぶりなんかも少しずつ垣間見えてきて、気が付くと
いつの間にかママの一物語にもなって進行している楽しいお話。
1977年に日本で刊行された少し古いお話のようですが、なんのなんの...
とてもユーモラスなコージー・ミステリでした。
ママの恋の行方...その後が気になるなぁ...。 -
面白かった!
安楽椅子探偵もの。
刑事の息子と、その嫁から殺人事件の話を聞くだけで真相を暴いてしまうママ。
嫁のシャーリーとやりあう感じとか、息子のデイビッドに皮肉をいう感じとか、その言い方ややりとりが海外ものって感じがで、面白く読んだ。
ママ、かっこよすぎる。 -
連作短編8つ。
人生経験豊富なママが、息子の刑事から殺人事件の話を聞いて3つ4つ質問をしただけで事件を解決してしまう。
時々口をはさむ嫁とママの棘のある会話も楽しい。
奇抜なトリックではないのも良い。穏やかな気持ちで全編を読める。
ちょっと口が悪いママの人生が一編一編に書き込まれ、だんだんいとおしくなる。 -
息子で刑事のデイビッドが話す捜査中の殺人事件を、ママがディナーの席でスッキリ解決させる安楽椅子探偵もの。1950年代、1960年代に書かれた作品なので当時のアメリカの風潮や生活が垣間見れます。特にママが手作りする食事が美味しそうで印象に残ります。それからなんといっても謎解きの間にバトルされるシャーリィとママの嫁姑の会話や、その間に挟まれてヒヤヒヤしているデイビッドの様子に笑わせてもらいました。今も昔も変わらないものですね。そうなのです。60年以上前の作品なのに、ママが解決する殺人事件の謎解きもあっと驚くほど面白くて、全然色褪せてないんです。すごい作品ですね!
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本当に、ママは何でも知っている!
面白いミステリーは?と問われたらまず挙げる1冊になった。
語り口も読み手を引き込むし、深刻になり過ぎない嫁姑関係もいいスパイス。
ママの質問に翻弄され、質問の答えと明かされる真相の心地よさにページをめくる手が止まらなかった。 -
毎週金曜の夜、刑事のデイビッドは妻を連れ、ブロンクスの実家へママを訪れる。
安楽椅子探偵の傑作らしいと聞いて初読み。外国の作家について、ミステリーの歴史については全く詳しくないので初対面の作家だった。なるほど確かに安楽椅子探偵の最たるものって感じ。刑事の息子の話を聞いて二、三質問するだけで答えを導く“ママ”。とにかく昔話だったり近所の噂話だったり余計な話も多いけど、余分な話はしないママ。皮肉屋で、料理が上手くて、口うるさいママ。短編でおなかいっぱいになる会話量に慣れるまではちょっと読みづらさもあったけど、慣れるとその会話劇の巧みさが楽しい。息子は話すのが上手すぎるし妻はちょっかいレベルがいつまでも上達しなくてちょうどいいし、ママの質問は読者に最適のヒントになる。うーんなるほど、上手い。好きなのは『ママが泣いた』と『ママと呪いのミンクのコート』かな。 -
短編集がいいなという時がある。
暑い、気圧、などなどで、長いのや重いのが無理な時、色々な作家の作品を集めたものではなく、シリーズにどっぷりはまりたい時、だが絶対に面白くないといやな時、私は強くこれを勧めよう。
タイトルくらい聞いたことがあるのではないか?
「安楽椅子探偵」の名作として有名なシリーズである。
「安楽椅子探偵ってなに?」
うむ、もっともな質問だ。
事件現場に行くことなく、居合わせることなく、話を聞くだけで、誰がやったか、なぜやったか、解いてみせる探偵のことである。
そういった探偵が出てくるミステリを、「安楽椅子探偵」「安楽椅子探偵もの」と呼ぶ。
その名作がママだ。
語り手デイビッドは殺人課の刑事である。
週に一度、妻と一緒にママの夕餉に呼ばれるのだが、その時、今扱っている事件について話す。
するとママは『警察を何週間もきりきりまいさせた事件を夕餉の卓であっさり解決してしまう』(11頁)のである。
バラバラの死体や、演出された死体――菊人形の上の首や、水面から足が生えているような死体――ハデな殺人は、ない。
といって、家の前で毎朝犬に糞をさせるのは誰か、メガネはどこに行ったのか、というような日常の謎でもない。
ちゃんと人が死ぬ。
登場人物が少ないので、肝心なところで、ええと、誰だっけ・・・・・・と、戸惑うことがない。
一話完結なので、どこから読んでもいい。
給仕がなぜ常連客を毒殺したのか?
5歳の少年が殺人を犯したのか?
音楽のためにこのオペラファンは殺人を犯したのか? ・・・・・・
8編の話がここにおさめられている。
通勤電車や、細かい空き時間に読むのにぴったりだ。
ロースト・チキン、ヌードル・スープ、牛肉の蒸し焼き、ネッセリローデパイ、・・・・・・
ママのつくる料理に酔いしれつつ、誰が犯人か頭を絞るのは、なかなかよい時間ではないか。 -
評価を星5にするかは迷ったが、間違いなく傑作と言える連作短編集。
安楽椅子探偵ものの1つの完成形。読みやすく違和感なくママと一緒に推理を楽しめる。
アメリカの情緒と爽快感を味わえる、古き良き作品。 -
読めば必ずママのファンになる。現場も見ない、犯罪のプロでもない、大学で心理学も学んでない(ママ的には最重要)。推理に必要なのは専門知識ではなく、多種多様な人間関係と人を見る目。ユーモアも軽妙だし、その上ローストチキンは絶品。殺人課の刑事がいつまで経っても「ちっちゃなデイヴィー」でしかないところも最強ポイント。
今まで読んだ安楽椅子探偵の中で最高。めちゃくちゃ面白いのにシリーズ続刊がないなんて…。あとシャーリィはそろそろ敗北を認めた方がいい。 -
安楽椅子探偵小説の古典的名作。
1970年代に日本で翻訳刊行された作品集の復刊だが、内容に古さを感じさせない。
ニューヨーク警察殺人課の刑事である息子から、事件のあらましを聞き出したママが、幾つか質問をし、電光石火で謎を解き明かすという、基本スタイルが貫かれている。
食卓での会話文が中心に構成されており、ユーモラスな遣り取りと、小気味の良い推理展開で、気軽に楽しめる傑作短篇集。
ミステリでありながら、ラストの《ママは憶えている》に象徴されるように、家族小説の一面もあり、それが作品の奥行きをより深めている。 -
現場におもむくこともなく、食事の席でのおしゃべりだけで、真相を見抜いてしまう。
ママの推理が冴えわたる、痛快で小気味いい安楽椅子探偵もの。
ただ見抜くだけでなく、ママの身近な類似エピソードを盛り込んでいくのも、コミカル。
大人の警察官なのに、ママの前ではいつまでも子ども扱いという、わたしの葛藤とか。
大学卒インテリ嫁との、冷たいバトルで垣間見える、ママの表ではない顔とか。
3人のパワーバランスがたのしい。
ミルナー警部が途中参戦すると、その関係はますますおもしろく。
ブロンクスのママシリーズの短編集。 -
安楽椅子ものの最高峰ということで復刊を機に読んでみました。
読んでなるほど。どのお話でも、ママが幾つか質問をするだけで事件が解体、再構築されていき、あっと驚く真相が用意されています。
その過程で披露されるロジックは素晴らしいの一言。とくに冒頭の表題作は口紅の違和感から怒涛の推理が展開され、全く予想外のところに着地する短編のお手本のような傑作です。
また、嫁姑問題に息子離れ出来ない母というミステリ以外の要素も大変面白く、退屈することはありませんでした。 -
中高の部活でやった反復練習みたい。ひたすら会話というシンプルな形式で謎解きをノックのように打ちまくっている。
Theミステリーに登場する探偵役というのは、毎回現実離れした頭脳を持っているように感じるけれども、この本に出てくるママはそれ以上だ。出来事を整理する事で無数に伸びる可能性が徐々に潰れ、最後にそれしかありえない道が開いた途端、探偵は事実を知る。これが王道のミステリーだと思う。このママは可能性がまだ無数に開かれている段で薄い事実にたどり着く。そんな訳ないでしょ。このプロットが強引すぎて白けてしまった。
しかし本筋と外れた所がおもしろい。アメリカの保守的な家庭を彷彿させる毒舌や、とにかく誤認逮捕ばかりするポンコツなニューヨーク市警とか、白けながらも読むには飽きなかった。
小尾芙佐の作品
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感想 :

このシリーズ、アンソロジーで『ママは賭ける』というのだけ読みました。一編読んだだけでは、おっしゃる通り(義)親子や夫婦関係につ...
このシリーズ、アンソロジーで『ママは賭ける』というのだけ読みました。一編読んだだけでは、おっしゃる通り(義)親子や夫婦関係について「笑えない」止まりだったのですが、シリーズをまとめて読むと「合点がいく」ところまで行ける(かもしれない)のですね。
表紙は可愛いですね♪よく見ると怖いけど…
そう、私もアンソロジーで『ママは祈る』読んだ時、特に嫁姑間のギスギスが気になってあんまり楽しめなかったのです。どなたか作家さん...
そう、私もアンソロジーで『ママは祈る』読んだ時、特に嫁姑間のギスギスが気になってあんまり楽しめなかったのです。どなたか作家さんのおすすめだったので読んでみました。
今回最終手前の『ママと呪いのミンク・コート』と最終話『ママは憶えている』まで読んでやっと「ママ苦労したのね」と理解できるようになりました。ただ毒舌の人の話を楽しめるようになった感じで、ホッコリとかは絶対しませんけどね。
表紙見てなかったけど‥怖っ!まさにこのシリーズの雰囲気に合ってます(笑)
111108さんの温度感を参考に、「いま気になるかも」という機会があったら読んでみようと思います!
111108さんの温度感を参考に、「いま気になるかも」という機会があったら読んでみようと思います!