調教部屋 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2015年9月17日発売)
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本 ・本 (496ページ) / ISBN・EAN: 9784151813511

作品紹介・あらすじ

拉致して監禁して男好みの女に変貌させる。「いい女」にならなければ女の運命は……

感想・レビュー・書評

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  • ヘッケンバーグ部長刑事シリーズ第1作。

    カバーデザインとタイトルから正直に言えばもっとグロさを期待していましたが、グロさという意味では☆2つかな。

    まぁ、それなりに痛いシーンは出てくるんですが、もしかすると訳し方の問題かもしれません。

    ただし、訳者である対馬さんを批判する訳ではなく、主人公であるヘッケンバーグ部長刑事(ヘック)の人物像はいい味が出ていたと思います。

    そんな本作ですが、著者の作品も初読み、もちろん本書がシリーズ化(本国イギリスではシリーズ第6作まで既刊だそうです)されていることも知らず、ジャケットとタイトルに惹かれ購入、結果的には満足のいく作品でした。

    出だしはワクワクしたんですよ、タイトスカートにハイヒール、体にぴったりした襟ぐりの深いブラウスを着た上級秘書、いかにもって感じの美女が拉致され、監禁され、辱めを受け、レイプされたうえに殺害される。

    しかもイギリス全土で同様に若い女性の不可解な失踪が38件...

    いやいや、暗黒好きにはこの後の展開、期待しちゃいますよねー

    そんな事件を追うのが本作の主人公ヘック。

    たった1人で捜査を続けてきたが、上司から3ヶ月もの長期休暇取得を言い渡される。

    その後も事件を追うヘックの前に現れたのが本作の助演女優・ローレン。

    軍隊あがりのローレンは実の姉が突如失踪しており、ヘックと真相を暴く為に行動を共にします。

    最初はギスギスした関係なんですが、徐々に互いの距離と犯人との距離を詰めていくヘックとローレン。

    結果的にローレンは命を落としてしまうのですが、彼女の存在無しに本作はここまで盛り上がることは無かったでしょう。

    そして、何よりヘックがちょっと薄めではあるもののいい味を出しているんです。

    かっこいいヒーロー!ではなく、どこかどんくさいというか、人間味があるというか...

    まさに命をかけた邪悪な組織との戦い。

    最後まで読み切った読者にはラストの終わり方が気になりますよねぇ~

    でも、シリーズ続編は日本ではまだ発売されていない感じで...

    困ったもんです。




    拉致して監禁して男好みの女に変貌させる。「いい女」にならなければ女の運命は……

    内容(「BOOK」データベースより)

    タイトスカートにハイヒール、体にぴったりした襟ぐりの深いブラウスを着た上級秘書―彼女はそれが男性を惹きつけ、同時に会社で高い地位に引きあげてもらえることも確信していた。が、それが破滅を招く―拉致され、監禁され、言葉につくせぬ行為を強要されるとは…イギリス全土で起きた若す女性の不可解な失踪。その数は38件にものぼっていた。国家犯罪局のヘックは果敢に捜査を行い、淫らで下劣な悪と対峙する。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    フィンチ,ポール
    イングランドのランカシャー州ウィガン生まれ。警官、ジャーナリストを経て作家になる

    対馬/妙
    1960年生、日本獣医畜産大学卒、英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • スコットランド・ヤードのマーク・ヘッケンバーグ部長刑事(ヘック)が主人公。彼は38人の女性の失踪に何らかの関連があるとにらんで、連続犯罪捜査班として捜査を続けてきたが、上司に捜査の打ち切りと長期休暇の取得を告げられる。休暇を取る振りをして、単独で捜査を続行、何度も危険な目に会いながら、おぞましい犯罪集団を暴き出すというストーリー。結構手に汗握る活劇だし、最後に警察の中で裏切り者が誰なのかわからない余韻を残す終わり方で、良かった。

  • 若い女性が次々と失踪していく。それぞれに関連があるかもはっきりしないこれらの事件を追う刑事ヘックだが、とうとう捜査の打ちきりを命じられる。諦めきれない彼は、被害者の身内である元兵士ローレンと共に捜査を続ける。
    被害者が誘拐されるシーンはおぞましさがリアルに伝わってくる。暴力的な犯人とヘックたちの戦いは血みどろで、ヘックが一匹オオカミのせいか、警察小説というより冒険小説のよう。人物にもう少し厚みを持たせてほしかったけど、充分面白かった。

  • 邦題からは連想し難い真っ当な警察小説。
    そういうの望んだ人は拍子抜け。

  • ヘッケンバーグ部長刑事シリーズの第1作。煽情的なタイトルの割りには過激な描写は少なく、一般的なミステリー・サスペンスといった作品。この作品はタイトルで非常に損をしていると思う。

    また、プロットは粗く、前半は苛々する展開が続くのだが、後半は別人が書いたのではと思うようなスリリングな展開に変わる。

    イギリス全土で起きる38件もの若い女性の連続拉致監禁事件。事件を調査するのは国家犯罪局連続犯罪捜査班のはみ出し刑事のヘッケンバーグただ一人。次第に見えて来る巨悪の姿…

    タイトルが良くないのと、シリーズ第1作ということからか、主人公の人物像と作品のスタイルを理解するのに時間が掛かる。それが前半の苛々の原因か。ヘッケンバーグ部長刑事の物語として最初から読んでいれば面白い作品だと思う。

    歯切れの悪い結末はシリーズ第2作への前振りなのだろうか…

  • 選書のために手に取った。なんてセンセーショナルな邦題!でも原題って、“Stalkers”だよね、これ?

    ある女性からの訴えをきっかけに、猟奇的な連続女性誘拐事件がうっすらと浮かび上がる。それを業務を越えて追う部長刑事(懐かしのテレビドラマ風の名称)。

    煽情的な表紙と邦題なので、読むのも勇気がいるのかと思うような先入観に反して、実際は捜査線上で振るう暴力的なアクションシーンが目立つ小説だと思う。部長の相棒となるアフガン帰りの女性が、ナイフ使いに長けたランボー調でなかなかかっこいい。と同時に、労働者の町・リーズでは出世よりドロップアウトのほうが易しく、ダーティーな経歴をリセットするには、彼女のように軍隊に入るのが早道だというのはリアルでかなり哀しい。

    うーん、でも、肉弾戦(アクション的な意味で)がどっかんどっかん繰り広げられているわりには、各シーンの印象がすごく薄くて、さくさくと読んでしまう。この小説は500ページ弱と、結構長いんだけど、ページターナーってわけではなくて、そもそも薄味なんだと思う。女性たちがどういう目に会ったのかは克明に描くとえげつないのは理解するけど、ここまでさらっとやると、いろいろ見えにくくなる感じだし、ルールから外れた変人の部長刑事(近頃の警察小説あるある)にはちょっと食傷気味かも。

    内容が薄味だから、あれだけどぎつい邦題に盛って目を引こうという趣向だったのかな、とちょっと勘繰ったりした。

  • 人前で読むにはブックカバーが必要なタイトルには困ったものだ。

    タイトルを完全に裏切る中味はスリリングな犯罪追跡のストーリー。
    主人公のキャラクターはハリー・ボッシュに近いか。

    シリーズ化されているので次作の邦訳に期待。
    但し、タイトルは良く考えた方がいい(と思う)。

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