熊と踊れ(上)(ハヤカワ・ミステリ文庫)

制作 : ヘレンハルメ 美穂  羽根 由 
  • 早川書房
3.74
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本棚登録 : 736
レビュー : 73
  • Amazon.co.jp ・本 (561ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151821516

作品紹介・あらすじ

軍倉庫から銃を盗み出した青年レオは、弟たちとともに、恐るべき連続銀行襲撃を計画する。果たして彼らを待ち受けるものとは……

感想・レビュー・書評

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  • まずは上巻へのコメント
    ミレニアムしかり、やはり北欧ミステリーはおもしろい。
    徐々に引き込まれて、中盤から一気読み。過去のトラウマから抜け出せない登場人物の心理描写が下巻でどう影響するか。。。

  • 過剰な暴力がテーマだが特に痛々しい描写もなく軽く読めた。上下巻ある割には台詞のみ追っていけば内容が汲める文章というか、乱暴に言ってしまえばラノベっぽいので読みやすい。
    強盗の描写も、刑事が暴力的だと着目するほどの異常さは感じず、強盗といったらこんなもんだろうくらいの程。描写と受ける印象とのギャップに戸惑った。
    刑事がレオとヴィンセントの親密な一瞬の映像を見てすぐ兄弟と決めつけたのも推理というよりエスパーっぽくて腑に落ちない。
    そもそもこの刑事パートのラブコメ、いったいなんの意味があるのか?刑事のキャラが退屈で苦痛だった。

    能力はあるのに頑張る方向を間違えてしまった人達の物語。
    父親もレオも健気で哀れ。男らしさ・マチズモというプレッシャーで自縄自縛に陥った犠牲者でもあるのではないか。

  • やっと読了。
    レビューは「下」を読んでから。
    ただ、「上」を読んだ限りで言えるのは、めちゃめちゃ面白いということ。

  • 日本ではスウェーデンのもつイメージは、デザインと高度な文化をもつ洗練された国。同時に最近よく見かける北欧ミステリーの供給地でもある。描かれる社会は極東から伺い知られる印象とは違い、社会格差と暴力とが根底に流れる複雑な現代の矛盾を多く抱えた複雑な世界だ。この作品も移民の流れを汲む家族の物語である。家族であるが故の結束や葛藤、愛情と憎しみなど普遍性を持つが故に圧倒的な分量をよみ進めさせる圧力をもつのだろう。人間は暴力で体を支配し、心を支配していく。その仕組みを表す「熊と踊れ」。言葉の印象とは裏腹に畏怖の念を持つ。
    現金輸送車の襲撃、銀行強盗など犯行そのものの描写は大変淡白だと感じたが、その用意周到さをの表現は大変しつこい。特に、個々の登場人物の機微が。そのしつこさがないとこの作品を書く目的だったことを訳者あとがきをもって知った。

  • スウェーデンのミステリ。三兄弟の長兄レオを主人公に描かれる。

    父の暴力から母を守れなかったと後悔しているレオ。父から離れて、二人の弟と建設業で生計を立てている。

    きっかけは触れられていないが、備蓄倉庫から軍の武器を大量に盗むことに成功した三兄弟。この武器を使って強盗を働き、金を手に入れる計画をレオが練る。

    初めの現金輸送車襲撃は、完璧に遂行。次の銀行強盗では、兄弟では無いヤスベルに対して不安が表面化、そして三兄弟の父が兄のレオに陰を落とす。二つの犯罪に繋がりを見出した警部のヨン・ブロンクスの兄は、家族を殺害して刑務所に入っている。そんな中で開始された二つ目の銀行強盗。

    熊と踊れはレオが父親から教わったケンカのやり方。レオは、これを一連の犯罪でも実践している。

    三兄弟の父は、何年も家を追われていたが、母を傷つけるため?に家に戻る。扉を開けてしまったのはレオ?三兄弟は、母を失い、それぞれに罪を感じている。

  • 過去と現在から語られる家族の物語
    本筋は現代編の犯罪計画よりも過去編の親子の確執?葛藤?にぐいぐい。圧倒的に迷惑でしかない親父と三兄弟。しかしどうしようもなく親子なわけで。主人公は息子なのにどうしても迷惑な親父にシンパシー。セリフがかっちょいーから抜き出してPOPに。圧倒的な厚さのゲラの上に「頭の打ちどころが悪かった熊の話」の熊が。主人公レオも父親もそれぞれの「レディベア」を探していたのかもしれません。
    犯罪計画を追う刑事が捜査の過程で父親の下へ行った際の描写「拳の関節のうち、人差し指と中指の付け根が陥没して平らになっている。頻繁に人を殴る人間の手だ。」に震えた
    圧倒的ボリューム
    抑圧的父権支配
    父親は剥き出しの暴力で、妻を、息子を、家族を支配し、不器用に愛した。
    少年は大人になり兄弟を護る為に銀行強盗を計画し暴力で夢を叶えようとする。
    快調なクライムアクションの現在編と交差する息詰まる過去編がページの分厚さを感じさせない!

    「これはな...熊のダンスだ。ちゃんとステップを踏んで、ちゃんとパンチを命中させれば、お前は熊にだって勝てる!」

    弟たちにはわからない父親との愛憎渦巻く濃厚な関係。どうしても父親側の視点に寄りガチなのがもどかしい。父親に手を出したあの時のショックを受けた顔と今の寝たきりになった父親の顔も重ね合わせて古傷がグジグジする。

    付箋の数だけ名シーンとセリフが押し寄せて鼻の奥をぶち抜かれて鉄の味がする!
    圧倒的オススメです!
    (※本編には熊は出てきませんw)

  • 題名:熊と踊れ (上・下)
    原題:Bjorndansen (2014)
    著者:アンデシュ・ルースルンド&ステファン・トゥンベリ Anders Roslund & Stefan Thunberg
    訳者:ヘレンハルメ美穂・羽根由
    発行:ハヤカワ文庫HM 2016.9.15 初版 2016.11.26 4刷
    価格:各¥1,800

     『このミステリーが凄い』2016年の圧倒的一位を獲得した年、ぼくはこの作品を不覚にも未読で、翌年、これを読んで歯噛みしたものだった。どうみてもこれは圧倒的な作品だったからだ。分厚いだけではなく、スリルとアクションが親子・兄弟の人間ドラマと表裏一体となって驀進する大型重戦車の出来であったのだ。

     山中にある謎の施設が実は軍の武器庫であったと知ったときから、ドゥヴニヤック家三兄弟の犯罪は始まる。武器庫襲撃、そして次々と間髪をおかずに、警察の包囲網を嘲笑うかのような手法による現金輸送車や金庫の襲撃が始まる。一度ではなく、同時に連続して何か所もという複数犯罪も一つの特徴である。

     作戦参謀が天才なのである。長兄のレオ。そして以上は現在。彼らの犯罪のモチーフとは何であったのかを語るのが、過去。そう。本書は犯罪ファミリーの現在と、なぜ彼らがそうなったのかに至る家族の悲劇を描いているのだ。凄まじいほどのDV。壊され傷つけられる幼い人格。最早、望んでいた普通の家族生活に手に届かなくなった時に、犯罪モンスターとして世界に対峙する存在となってゆく彼らのドラマが生まれてゆく。

     実はこの凄玉犯罪プロットは、スウェーデンをかつて震撼させた実際の事件を元にしている。この兄弟では描かれなかったもう一人の兄弟は実在している。アンデシュ・ルースルンドの共著者であるステファン・トゥンベリがその一人である。彼は父親による嵐のような家庭内暴力を実際に体験した一人なのだ。犯罪に手を染めてゆく兄弟に加わらなかった一人として本書の執筆に手を貸している。現実と創作の境界がどこにあるのかは、この本からはわからない。

     しかし現実の凄みこそが、この作品のリアリティを圧倒的に高めているのは確かである。人はどうやって怪物的で天才的な犯罪者に育ってゆくのか? そしてその心のうちは? 兄弟たちの葛藤は? 父と母と彼らとそれぞれは運命の中でどのように愛や憎悪や赦しを交わし、あるいは離反してゆくのか? 様々な運命の矛盾は現実を土台にしか生まれ得ないと思われる。この小説の持つ行間に溢れる切迫感、スピード感は、そうした負のエネルギーを動的内燃機関経由で爆発させた結果生まれたものに違いない。

     20年に一度の傑作がここにある。この本を契機にアンデシュ・ルースルンド関連の作品はすべて手に取るようになったが、どれも共通して言えるのが、現実に材を取った少なからず社会的小説と呼べるものばかりだ。本作品は二作構造となっており、昨年『兄弟の血 熊と踊れII』が邦訳された。そちらは現実をもとにした本書の、創作された続編であるが、セットでお読みいただくことを強くお勧めする。

  • 父親の暴力に対し、結束した絆は銀行強盗を生み出した。きっと、また父親が絡んでくるのだろう。

  •  わけのわからないタイトルだが、作者はあの三秒間の死角のルースルンドということで、これも警察小説というよりは犯罪小説か。レオ、フェリックス、ヴィンセントの三兄弟が友人のヤスペルと組んで軍の銃器強奪と一連の銀行強盗を引き起こす。兄弟それぞれの生い立ちにまつわる人間描写がうまく、決定的な人格形成に影響を与えた厳格凶暴な父親とのエピソードもあいまって、家族小説のような色合いも漂わせる。いや、強盗事件は単なる舞台装置で、父と子の葛藤こそが主題といったほうがいいかもしれない。それがあったればこそ最後の襲撃は自滅に終ってしまったのが、あれだけ沈着冷徹だったレオの悲劇というか限界だったのだから。一方、事件を捜査するヨン・ブロンクスもいかにもという北欧警察小説的魅力ある警部なのだが、事件解決という点ではほとんど何もしていないに等しいのがちょっと残念。

  • お父さんの説得力、ある意味すごい。守るためには必要なことかもしれません。それを刻み込んだレオがリーダーになり、圧倒的な結束を築いていくのには深く頷けました。

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