熊と踊れ(下)(ハヤカワ・ミステリ文庫) (ハヤカワ・ミステリ文庫 ル 6-2)

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (570ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151821523

感想・レビュー・書評

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  • 読み終わってしまった…
    割とあっけない幕切れ…
    と思ったが、史実に基づいているし、こういった終わり方の方がある意味リアルなのかも知れない。

    父も少年時代の周りの人も兵役も込みで、暴力というものに触れさせられ続けていると感覚が変わってしまうものなのか。
    個人的には最終手段として持つのは良いと思うが、ひけらかすとなると、、
    守りたいものがあったとしても考えてしまうものはある。

    そして誰がドアを開けたせいで母が殴られたのかに関して、それぞれ自分のせいと本心から思っているあたり、本当に家族のことを思っていたんだなと…

    ただ、父親は最後印象が少しはかわったものの、不器用がすぎてもはや同情できなかった(苦笑)

  • 本当に読み応えがあった。
    実在の事件をモチーフにした圧倒的迫力のクライムノベルの下巻。
    あとがきを読んで、あらためてこの強盗事件を起こした3兄弟(実際の事件を起こしたのは4兄弟で、そのうちの犯行に加わらなかった一人が本書の著者・ステファン・トゥンベリ)の視点や心情がリアルに描かれていることに驚愕した。それほどまで、犯人グループの心情に寄り添ってこの事件が描かれているのだ。

    次々と成功する銀行強盗、犯人グループに翻弄されまくる警察。

    もはやこの『軍人ギャング』と名付けられた犯行グループの犯行を誰も止めることはできないのか。

    しかし、どんなに完璧な犯行も、回数を重ねていくごとに、不安が募り、グループ内での関係に変化が生じてくる。

    これまでは完璧なリーダーとして君臨していた長男のレオに対して、弟たちは違和感を覚えていく。
    「暴力に支配されてしまった兄」
    これこそ弟達が感じてしまった違和感だ。
    どんなことであっても、物事は『中毒』になり得る。

    『銀行強盗中毒』になってしまった兄レオは、さらに大きな銀行、さらに高額な金額を求めて強盗計画を作って行く。
    そして、犯行に破綻がやってくる。そう破綻はいつも内部から始まるのだ。

    三兄弟の心情が『現在』と父親達から虐待を受けていた『過去』の二つに分けられ交互に描写され、読者は三兄弟の心情に深く深くのめり込んでいく。

    重厚な物語の結末は、驚くべきずさんな犯行により幕を閉じる。
    読者の誰もが「そんな計画で、そんなメンバーでは成功するはずがない」と分かっているのだが、レオは突き進んでいく。

    本書を読み終わった後、長い沈黙が僕の胸に訪れた。
    圧倒的な暴力は人の人格を変える。
    それは子供のころから育まれる。
    人生とは、もう既に始まった時から終わり方は決まっているのかもしれない・・・。

    • くるたんさん
      こんにちは♪
      楽しまれたみたいで良かったです。

      そうそう、意外なグループ内の変化がありましたね。そして過去の記憶に縛られているのがつらかっ...
      こんにちは♪
      楽しまれたみたいで良かったです。

      そうそう、意外なグループ内の変化がありましたね。そして過去の記憶に縛られているのがつらかったですよね。

      2019/11/06
    • kazzu008さん
      くるたんさん。こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      くるたんさん、おすすめの本書。重厚で非常に楽しめました。
      そうなんです...
      くるたんさん。こんにちは。
      コメントありがとうございます。

      くるたんさん、おすすめの本書。重厚で非常に楽しめました。
      そうなんですよね。犯罪小説というだけでない、兄弟の絆や親子の絆など家族について考えさせられました。ブロンクス刑事の兄弟愛にもなんかぐっときました。続編の『兄弟の血』もぜひ読もうと思います!
      2019/11/06
  • <上下二巻、併せての評です>

    過去と現在の出来事が、交互に語られる。親子の物語であり、家族の物語であり、類い稀な犯罪小説でもある。人はなぜ理に合わない犯罪に走るのか。やむにやまれぬ強迫観念に突き動かされた行為の裏に隠された過去が、記憶の鍵をこじ開け、じわりじわりと顔をのぞかせる。子ども時代からこだわり続ける抜け落ちた記憶。本当は誰がしたのか。物語が進むにつれ、次第に明らかになる真実。

    冒頭、四年ぶりに家族のもとに父が帰ってくる。ドアが開くなり、父は母親の顔を殴り、腹を蹴り、髪をつかんで引きずり倒し、なおも蹴り続ける。二人の間に体を入れ、止めようとする長男。その長男に「あとは頼んだぞ、レオナルド(略)わかるな? おれはもう、ここにはいられない。これからはおまえが束(たば)ね役だ」と言って立ち去る父。のっけから凄まじい暴力シーンではじまる、波乱の幕開けだ。

    第一部。成人したレオは弟のフェリックス、ヴィンセント、それに幼なじみで軍隊仲間のヤスペルと組んで、軍の武器庫に収蔵された銃器を強奪しようとしている。大胆かつ細心な計画はレオが立てた。レオが営む工務店を隠れ蓑に、四人で盗んだ銃器を使って現金輸送車を襲う計画だ。後に「軍人ギャング」と呼ばれることになる強盗グループの初仕事である。この作品は、そのグループの胸のすくような仕事ぶりを描くと同時に、追う側と追われる側、双方が抱える過去との確執を描く。

    こうした大掛かりで計画的な犯罪が起きた場合、警察はまず過去の事件を洗い、よく似た犯罪を起こした者を探す。しかし、今回はそれが全く役に立たない。なにしろ、犯人たちはまだ二十代で、前科などないからだ。顔には覆面、指紋は残さない。犯罪に使用した着衣その他は焼却し、銃器は分解してコンクリート詰めにし、水中に沈めるという徹底ぶり。練りに練った計画、それを完璧に行うための訓練、盗んだ大量の武器弾薬の隠し場所、それらを手配し、仲間を率いて実行に移してゆくレオの采配が光る。

    しかし、そのレオもはじめから優れたリーダーだったわけではない。子どもの頃、年上の悪ガキに目をつけられ、痛い目に合わされた。それを父親に見つかり、やられたらやり返せ、と毎日喧嘩の練習をさせられた過去を持つ。父のイヴァンは半分セルビア人で、半分はクロアチア人。国が自分たちを守ってなどくれはしないことを骨身にしみて知っている。家族(クラン)の結束が何よりも大事だ、と信じ切っている。

    練習の甲斐あって、レオは自分より大きくて力もある相手の顔面を殴りつけ、鼻骨を折る。まず、鼻をねらえ、というのが父の教えだった。相手が自分より強くても、鼻を殴られれば一瞬怯む。涙で目が見えにくくなり、動きが止まる。次は顎に一発。そうして相手の周りを動き続け、隙を見ては殴る。それを続けていれば相手の闘争心は鈍り、勝機をつかめる。題名(原題は『熊のダンス』)はその戦法を指している。

    自分のあとを継ぐ長男には、家族を守る力がいる。自分の始末は自分でつけるしかない。そう考える父に対し、スウェーデン人の母は話し合いで解決するべきだという。妻は夫の過剰な暴力に耐えられず、家を出る。イヴァンは実家に帰った妻を無理矢理連れ帰ろうとし、家に火をつけ、駆けつけた警察に逮捕される。レオと違って年端のいかない弟たちは母に乱暴した父を許すことができない。冒頭の一幕は、四年の刑を終えて戻ってきた父と母の再会の場面だったのだ。

    犯人を追う立場である刑事のヨンにも過剰な暴力の覚えがある。兄のサムは、母に暴力を振るう父をナイフで刺し殺し、今も獄中にいる。人はなぜ過剰な暴力を振るわずにいられないのか。ヨンは夜毎、警察に泊まり込んでは過去の暴力事件のファイルを読むのが日課になっている。そんなある夜、現金輸送車襲撃の一報が舞い込む。事件の担当を命じられたヨンは早速現場に向かう。

    犯行は計画的で緻密、人目につかない場所を逃走経路に選んでいるところから、ヨンは犯人には土地勘があると見る。その後もグループの犯行は続き、次第にエスカレートする。そしてついにはストックホルム駅構内のロッカーが爆破される。もともとは陽動作戦で、警官たちを爆破予告した場所に引きつけておき、その隙に離れた場所の銀行を襲う計画だった。爆発は想定外。レオが作った爆弾をロッカーに仕掛けたのはヤスペルだ。まだ十七歳のヴィンセントは、この事態に動揺する。フェリックスはヤスペルに詰め寄るが、レオはヤスペルをかばう。兄弟間にひびが入り始める。

    弟二人がグループから離脱を考えはじめるのをよそに、レオは新たな犯行計画を披露する。それを最後に、強盗を引退するという言葉を信じ、渋々参加した弟二人だが、思っていたような戦果が得られず、レオは更なる襲撃を口にする。そんな兄に対して、フェリックスは自分の思いをぶつける。兄貴のやってることは、異論を力で封じ込め、相手を自分の思い通りに動かそうとする、かつての父親と同じだと。

    人はなぜ暴力に訴えるのか。そこには理由があるはず。実際に起きた事件をその内部からながめることで、ことの本質に迫ろうとする、フィクションではあるが、限りなく事実に近い位置に身を置いて描かれた小説である。なんと、作者の一人は実行犯の兄弟の一人で、強盗には加わらなかったため作中には登場しないが、計画は知っていたという。それだけにあれだけ強かった兄弟の絆が、一度ひびが入ってから見る見る脆くなってゆく様が手に取るように分かる。そして、悲劇が待っていた。犯人の側にこんなに身につまされる小説を読んだことがない。上下二分冊。どちらもかなりの厚さだが、読ませる。

  • スウェーデンで実際に発生した連続銀行強盗事件を題材にした犯罪小説。連鎖する暴力と、癒えない傷、家族の「絆」というよりは「逃れられない業の深さ」とでもいうべきものの重さに胸が傷んだ。

    17〜25歳とまだ若い三兄弟の長男レオナルド(愛称レオ)、次男フェリックス、三男ヴィンセント。そして、幼馴染みのヤスペル。
    彼らは、恐ろしい程に冷静沈着なリーダーであるレオの綿密な計画のもと、幾つもの銀行強盗を実施し、ことごとく成功させた。
    いつしか彼らは、完璧に統率された無駄のない動きと証拠を残さない見事な逃走劇から世間から「軍人ギャング」と呼ばれるようになる。

    そして、そんな彼らを必死になって追う刑事のヨン。

    証拠を残さない犯罪者のレオと、それを追い続ける刑事のヨン。全く対照的と思われる二人に共通していたのは「暴力」。
    レオ達兄弟も、ヨンとその兄弟も、各々実の父から幼少期にひどい暴力を受けていたのだ。

    暴力の特性を身をもって知り尽くしている二人。
    レオは憎んだはずの暴力をコントロールして他者に暴力を振るって罪を犯す道を選び。
    対してヨンは、暴力を取り締まる道を選んだ。
    同時並行でながめる二人のそれぞれの過去と現在の姿には、明確に描れなかった分岐点に思いを馳せずにはいられない。

    ヨンの努力を嘲笑うかのように次々と完璧な犯罪を繰り返すレオ。
    けれど、その綻びは、彼が決別できなかった過去と、彼が従え、そして、守りたかった大事な弟たちによってもたらされ…。

    受けた暴力に傷つき、それでもいつしかそれをコントロールすることを覚えたと思ったら、ギャンブル中毒のように抜け出せなくなり、結果として破滅を招くレオの姿は、悲しく、つらい。そして、頭が切れるだけに怖い。

    衝撃的なのは、この小説を書いた共著者の一人であるステファン・トゥンベリが、モデルとなった事件の加害者三兄弟の実の兄弟であるということ。(小説では三兄弟だが、現実には犯罪に加担しなかったステファンを加えて四兄弟だった。)

    暴力を受けた人間はその体験を誰かに語ることで癒されることがあるというけれど。
    トゥンベリも、父親から受けた暴力、そして、直接的には関わらずとも兄弟達が他者に向けた暴力を眺め続けた痛み、そして、兄弟を止めることもできずかといって裏切ることもできなかった気持ちを、このような形にすることによって癒せたのだろうか。

    訳者あとがきで書かれた、トゥンベリの小説を読んだ三兄弟が三者三様に述べた感想が、これまた印象に残った作品。

    • やまさん
      hotaruさん、こんにちは。
      お久しぶりです。
      hotaruさん、こんにちは。
      お久しぶりです。
      2019/11/06
  • 最初から、最後は破滅で終わるのだろうと思っていた。
    だってこれ、実話をもとにしているのだもの。
    怪盗ルパンや二十面相とは違う。
    犯罪者をヒーローにするわけにはいかない。

    だけど、彼らは本当に成功し続けた強盗だったのか?
    確かに警察に尻尾は掴ませなかったが、いつも目標を下回る金額しか奪うことができなかった。
    そのことについてレオは一度でも考えたことがあるのだろうか。

    そしてレオは、家族は一致団結するのが当然と考えていたけれど、レオと弟たちは団結していたが、最初から一致なんてしていなかった。
    レオにはそれが見えていなかった。
    フェリックスが言ったとおり、彼らを統率するのが父親から長兄に代わっただけだったのだ。
    どちらもフェリックスやヴィンセントの気持を考えるなんてことはなかった。
    ただ黙って俺について来ればいい。

    フェリックス21歳、ヴィンセント17歳。
    ようやく自分たちの気持をレオに伝えて、彼らは袂を分かつ。
    だけどレオはもう後戻りできなかった。
    強盗することで得られる成功体験の依存症になってしまったと言ってもいい。
    どう考えてもレベルの下がったチームで大仕事をやろうとしていたのだから、全く正気ではありえない。

    レオは暴力を振るわないことを自分に課し、仲間に課し、それが守られることで自分を正当化していたけれど、銃を突き付けられた人は、命の恐怖にさらされた人は、決して消えない傷を心のうちに負ってしまったことにレオは気づくことができなかった。
    なぜならレオにもその傷があり、その傷を見ないことでレオはかろうじて自分を支えてきたのだから。

    父のイヴァンが自分の気持ちのままに暴力を振るって家族を従えてきたことが、結局家族の心を壊してきたのだ。
    イヴァンがレオに「家族を頼んだ」ことが、レオの人生を狂わせてしまった。
    たった10歳の子どもがどうやって家族を守ることができるのか。
    父のとおりにふるまうしかないではないか。反面教師だとしても。

    作者の一人、ステファン・トゥンベリは強盗に参加しなかった彼らの実の兄弟だという。
    本当は4人兄弟だったのだそうだ。
    レオはこの本を読んで自分や周りの人たちをどんな狂気にさらしていたか、これで理解できた」と語った。
    自分を客観的に見ることができるようになったのなら幸いだと思う。

  • 『ミレニアム』シリーズ以来、北欧ミステリをちょこちょこ読んでいますが、なかなかおもしろいのが多いです。これも、ぐいぐい読ませる小説でした。
    本筋と直接は関係ないのですが、「どれだけ変装しても、身体の動きのパターン、パーツとパーツをつなぐ身体の動き方には個性が出る。新たな身分を得てちがう人間になりきろうとすれば、それを変えなければならない」というような言及に妙に納得させられました。いや、別に身分を偽りたいと考えているわけではないのですが。(2019年4月2日読了)

  • 9件の銀行強盗、1件の現金輸送車襲撃、軍の武器庫からの銃221挺の窃盗、ストックホルム中央駅での爆破事件―。
    史上稀にみる凶悪な犯罪でスウェーデン中を震撼させた〝実際の事件〟をモデルにした犯罪小説です。
    「軍人ギャング」(この犯罪集団の通称)たちが、次から次へと起こす犯罪にクラクラと眩暈がするような思いで読了しました。
    犯行の途中で何度か「危機」に陥るのですが、読み手の僕はあろうことか軍人ギャングに感情移入して、何とかこの「危機」を回避して欲しいと、祈るような気持ちで読み耽りました。
    こんな凶悪な犯罪集団に肩入れしてしまうのは、ほかでもない、そこに人間が描かれているから。
    本作は、犯罪小説であるとともに家族小説でもあるのです。
    それも最高度に濃密な。
    軍人ギャングはレオとフェリックス、ヴィンセント、そしてレオの幼馴染で軍人あがりというヤスペルの4人。
    レオとフェリックス、ヴィンセントは粗暴な父イヴァンの抑圧下で育ちました。
    不良に喧嘩で負けたレオに、殴り方をとことん教え込む父の姿は一種異様なものがあります(ちなみに本書のタイトルは、人を殴る際のステップの踏み方が由来です)。
    そんな夫に愛想を尽かして実家へ戻った母ブリット=マリーを追いつめ、実家に火炎瓶を放り込んで全焼させてしまうのですから、もうクレイジーと言っていいでしょう。
    刑期を終えて自宅に戻って来たイヴァンは、母を暴行して半死半生の目に遭わせます。
    本書では、この一件にまつわるエピソードが最後まで尾を引き、繰り返し言及されます。
    そして、ラストのカギとなります。
    もちろん、それは言わぬが花でしょう。
    声を大にして言いたいのは、本書は一見、派手な犯罪の方に目を奪われがちですが、この3兄弟と父との魂のぶつかり合いこそが肝だということ。
    表にこそ現れませんが、行間には彼ら4人の慟哭が通奏低音(常套句ですね、ごめん)のように響き渡っています。
    帯に深緑野分さんが「すさまじい傑作です!」と激賞していますが、うん、異論はありません。
    そうそう、何が驚いたって、本書の著者であるジャーナリスト出身のアンデシュ・ルースルンドの共著者、ステファン・トゥンベリという人物の経歴。
    実は、この作品の元になった事件を起こした犯罪集団とは、血のつながった兄弟なのです(!)。
    細部まで実に詳細に描き込まれているのは、そのせいもあるのでしょう。
    下巻の最後の訳者あとがきに、犯罪集団の3兄弟それぞれが本書を読んで語ったという感想が紹介されています。
    それを読んで、この作品は文字通り「リアル」なのだと再確認した次第。
    おススメですぞ。

  • 映像的な面白さは上巻だが,下巻になって暴力との依存関係やイヴァン言うところの氏族の重みがじわじわと浸透してきて,息苦しいまでの迫力で迫ってくる.それぞれの人物像がまた存在感がある.面白いしまた問題を提起する物語だった.

  • 下巻一気読みだった!
    あとがき読んで、驚きもあり。

    兄弟、家族……。北欧の閉ざされた寒さ、厳しさが
    生む濃度なのか。
    刑事側のエピソードは中途半端かな。

    面白かった。

  • 下巻。読み終えてみると、実は2つの家族の物語を背景とした深い深いミステリーであった。

    銀行強盗を繰り返すレオ、フェリックス、ヴィンセントの3兄弟と幼なじみのヤスペルだったが、その関係に亀裂が入り、レオの元を離れるフェリックス、ヴィンセント。長男のレオだけが、銀行強盗に固執するが…レオに迫るストックホルム市警警部のヨン・ブロンクス…やがて、父親の暴力という忌まわしい過去と自らの運命の呪縛から解放され、レオの長い旅が終わる。

    訳者あとがきによれば、1991年秋から1993年末にかけてスウェーデンで実際に起きた事件をモデルにした作品とのこと。そして、作者のアンデシュ・ルースルンドは1991年の大晦日の前日に起きたストックホルム中央駅の爆弾事件の現場で当時公営テレビ記者として事件を報道していたようだ。一方の共著者であるステファン・トゥンベリも事件現場近くにおり、実はトゥンベリの兄弟がこの事件の犯人だったという衝撃の事実が記載されている。つまり、トゥンベリの兄弟が起こした一連の事件をルースルンドが小説に仕立てたというのがこ作品の背景であるようだ。

    また、帯によるとハリウッドで映画化進行中とのこと。

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著者プロフィール

アンデシュ・ルースルンド 1961年生まれ。作家・ジャーナリスト。ヘルストレムとの共著『制裁』で最優秀北欧犯罪小説賞を受賞。

「2013年 『三秒間の死角 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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