二壜の調味料 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房
3.21
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本棚登録 : 128
レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (441ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784151824012

作品紹介・あらすじ

数々の怪事件、異様な後味。ブラックユーモアとツイストたっぷりの短篇集が文庫で登場

感想・レビュー・書評

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  • 「奇妙な味」は表題作だけなんだね。

  • すごーく面白かった。さらりと上品に書いてあるけど、結構猟奇的事件の話多いです。奇妙で怖い話が26編も入っているので、大変お買い得。

  • ロード・ダンセイニといえば、ハヤカワ文庫FT最初期の一冊に、原書のイラストとともに文庫として出された『ペガーナの神々』の印象があまりにも強い。
    皮肉っぽく、幻想的なその作風には、いっぺんで魅了されてしまった。
    そのロード・ダンセイニが書いたミステリ! そんなものがあったとは……。
    手に取ってみると、まさにこれは上質のミステリであり、名探偵ものであるリンリーとスメザーズものの数編、引退した老刑事リプリーが語る数編、それ以外の短篇から成る。
    ミステリ、スパイもの、ハードボイルドまで含まれる豊かな短篇集だけれど、ひとつ共通しているのは、いかにもイギリス紳士らしいたしなみが感じられること。
    たとえば、凄惨な事件であっても、それを克明に描写する事はしない。
    怖ろしい状況を匂わせるに留め、読者の想像にまかせることで、余計にぞっとする効果を醸し出している。
    そういう意味では、ミステリというだけでなく、ホラーともとれるものもある。
    また、興味深いのは、西欧人の倫理観(または宗教観)からして、人間として許すべからざる犯罪が幾つか含まれていること。
    西欧のミステリ全体を見ても、これをとりあげているものはそれほどないように思う。
    それは何かといえば、ずばり、カニバリズムである。
    つまり、ロード・ダンセイニにとって、最も恐るべき犯罪とは、血まみれのスプラッタでもなければ、シリアルキラーでもなく、「人倫にもとるもの」だったのではないだろうか。そしてそれこそが、イギリス紳士というものなのだろうか。

  • 表題作はラスト一行で「えっあ、そういう感じ??」ってなった。
    そういえば、モルグ街の殺人を読んだ時もこれと同じ様な反応をした気がする。
    ただ真相が分かってから読み直すと、なるほどねーと納得できる。
    なぜ男は木を斬り倒し積み上げる作業をそれぞれ1週間続けたのか。
    その理由がある意味衝撃的。
    全26篇収録されており、全体的に真相を明示しないところが奇妙な味っぽくていい。
    あとはもうナムヌモが気になって気になって仕方ないな。

  • 探偵リンリーのシリーズと、その他短編からなる作品集。冒頭の表題作はエラリー・クイーンや江戸川乱歩が絶賛したそうです。
    解決への糸口となる些細なきっかけや、ラストの一言による奇妙な余韻。確かに表題作はユーモアとグロテスクさに高揚を感じました。けれど他の作品では、文章のくどさや指示語の多用などによる読みにくさが先に立ち、十分に楽しめなかったというのが本当のところ。中にはどこにオチがあるのか分からないまま終わってしまい、何だったんだろう?とモヤモヤする作品もありました。かなりの作品中で繰り返し「証拠がないから犯人は捕まっていない」と書かれるのも、ミステリに懲罰求めてないから、と白けてしまいます。それよりせっかくのバカミスっぽいアイディアを存分に読ませてほしかった。

  • 二十六編中、表題作の『二壜の調味料』とあわせて九編は探偵役のリンリーと語り部役のスメザーズのシリーズもの。
    スメザーズの、ですます口調とナムヌモの訪問販売員という肩書がなかなか個性的で探偵より印象に残る。
    表題作はまぁたぶんこう殺されたんだろうとはわかるものの、木についてのことはわからなかったので最後にゾッとしつつニヤリとできて面白かった。
    全体的にミステリとしてはトリックが甘い感じはしたけど楽しめた。

    リンリーシリーズ以外のはあまり楽しめなくて結局全体の半分くらいしか読めなかった…。
    またいつか機会があれば挑戦したいな。

  • 「唯一無二のミステリ」と帯に書かれていたからミステリー要素に期待して読んだが、思わず首をかしげてしまう話が多かった。

    探偵役が「犯人はあいつで、手口はこうだ」と一人で言っているだけでその推理が正しいのかわからなかったり、ある程度まで推理できていたにもかかわらずむざむざ犯行を許したり……。

    私は伏線を回収したときの爽快感や疑問が全て一つにつながった時のすっきりした感じをミステリーに求めているが、この作品は何か別の土台があって、そこにミステリー要素を加えたような印象を受けた。

    実際、ちらりと目を通した解説に、著者であるロード・ダンセイニは幻想小説を主として手掛けているようなことが書かれていた。

    料理では、和風フレンチだったりカリフォルニアロールだったり、他国の料理を自国民の口に合うようにアレンジされることがある。

    そんな感じで、この作品も幻想小説畑の人がミステリーを幻想小説風にアレンジされたものなのかもしれない。

    私はミステリーを読むことのほうが多いからこの作品をミステリーに分類するのは不思議に感じるが、幻想小説を読む人(というか、この著者の作品をよく読む人)にとっては、十分ミステリーと呼べる作品だったりするかもしれない。

  • 2017/01/04読了

  • 毎日寝る前に1編読む方式でじっくり楽しみました。どれもイギリスらしい(アイルランド人ですが)、ブラックなユーモアというかシニカルな視線といいますか、読み終わった後に反芻してるとジワジワ来る黒い余韻を楽しめるのが良かったです。

    やはりタイトルにもなった『二壜の調味料』は展開を予想できつつも、まさかのええぇそういうことぉ?!みたいなアレがあって流石でしたね。あとは手塚治虫のSF漫画みたいな味わいがあった『新しい名人』が好みでした。

  • ファンタジー・幻想小説で知られるダンセイニ唯一のミステリ短編集。
    個人的にはミステリの方が好きなのだが、遺されたのはこれ1冊のみ……というのが寂しい。
    ポケミス版で読んだ時も面白くて一気読みだったが、文庫版も相変わらず一気読み。きっとこれがナムヌモの味なんだ……。

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著者プロフィール

本名はエドワード・ジョン・モートン・ドラックス・プランケット(1878‐1957)で、第十八代ダンセイニ城主であることを表すダンセイニ卿の名で幻想小説、戯曲、詩、評論など多くの著作を発表した。軍人、旅行家、狩猟家、チェスの名手という多才なアイルランド貴族だった。『ペガーナの神々』をはじめとする数々の著作により、その後のファンタジイ作家たちに多大な影響を与えた。

「2015年 『ウィスキー&ジョーキンズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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