その雪と血を (ハヤカワ文庫HM)

  • 早川書房 (2018年11月20日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (208ページ) / ISBN・EAN: 9784151837012

作品紹介・あらすじ

標的であるボスの妻に恋をした瞬間、殺し屋の運命の歯車は狂い始めた……クリスマス前夜のオスロを舞台に描かれる、愛と血の物語

感想・レビュー・書評

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  • ちょっと前から北欧の小説が流行りっぽい感じで、色々読んでみた。
    これも、その一つ。
    まあすぐ読み終えることができた。それだけかな。

    Amazonの紹介より-------------------
    標的であるボスの妻に恋をした瞬間、殺し屋の運命の歯車は狂い始めた……世界中で4000万部を売り上げる北欧ミステリの旗手がクリスマス前夜のオスロを舞台に描く、愛と血の物語

  • クライム小説だからしんどくなるかと覚悟していたけど全く予期していなかった美しさに今頭がボーッとしている。
    美しさって、タイトルにも見られるような色彩のコントラストもそうだけど、人間の心情やオーラヴが無意識に話を彩っている詩的で繊細な表現まで全部。

    主人公(ちなみに殺し屋)がカッコいい…じゃなくて、ここまで惹きつけられたのも結構久しぶりな気がする。
    それでいて、孤独。
    最初は孤高の印象が強かったけど、後半にかけて孤独な魂がオスロの街を彷徨っているように見えてきた。
    話自体もどんでん返しの連続で主人公はどう巻き返すのかと都度想像するのが楽しい。

    思い起こせば数多くのコントラストを作中で見た。純朴なマリアに艶やかなコリナ。雪に閉ざされた街に一見不釣り合いな派手な派手な殺しのシーン。墓地とクリスマス仕様に身を包んだ街。虚無へと突き進む一方で、孤独な魂には愛が宿っていく。

    「雪だるまは(中略)石の口でうつろに笑い、小枝の腕でこの腐った世界とそこで起こるろくでもないできごとをことごとく抱きしめたがっているように見えた」

    そして「これで良かったのかも」とこれまた久しぶりに納得できるラストがそっと手を広げて待っている。

  • 暴力的でありながらセンチメンタルな語りが特徴的で、どうやらこの孤独感と愛憎劇が織り成す物語をもってして”パルプ・ノワール”と言うそう。殺し屋の男がターゲットの女性に一目ぼれしていく話の流れは一見するとラブストーリーの様だが、主人公であるオーラヴの独白にはやや非現実的な面があり、もしかしたらこれは彼が死ぬ間際に見た美しい走馬灯だったのかもしれないという思いが捨てきれない。あまりに甘く、あまりに切なく、不思議なほどに美しくて。

  • 北欧ノルウェーの作家、ジョー・ネスポのノワール。とても面白かったです。

    殺し屋のオーラブ、美しき毒婦コリナ、聾唖で足の悪い売春婦マリアの織りなす物語。
    舞台は1977年のオスロ。麻薬を扱うホフマンの始末屋として過ごしてきたオーラブ。彼はある日、ホフマンより命令を受ける。ホフマンの妻コリナを殺せと。オーラブはコリナの近辺に探りをいれるが、一眼見ただけで恋に落ちる。そして日常的にコリナをレイプしていた男を殺してしまう。それはホフマンの息子ベンヤミンであった。
    ホフマンより追われる立場となるオーラブ。コリナを攫った彼は、ホフマンの敵対組織の長である“漁師”を味方につけることに成功する。また、コリナと結ばれて彼女に尽くすようになる。
    策を練り、ベンヤミンの遺体が安置されている教会で、ホフマンを襲撃し、ホフマンを撃つことに成功するオーラブ。
    しかし、その帰路に漁師の部下のデンマーク人に撃たれてしまう。漁師は一度裏切った人間をゆるさ。また、コリナの裏切りにより、漁師にその所在がばれてしまう。コリナは度重なる男性からの扱いにより、その愛を信じられなくなっていた。

    …傷ついた身体で車を運転するオーラブ。
    彼はマリアの働く店に車を走らせていた。彼の傷に気づくマリア。ずっと前に書き、渡せていなかった手紙をマリアに渡すオーラブ。
    しかしそれさえも夢だった。オーラブは既に息絶えており、遺骸を翌朝見つけるマリア。彼からの手紙を拾う。彼女はそれが落ちていた場所を見つめる。
    その雪と血を。

    男女が全てを捨てて得ようとした愛は手に入らない。必ず美しも悲劇的な終わりを迎える。雪に血が落ちるように、儚く脆く消えていく。
    ノワールながらロマンチックな一作です。

  • 初のジョー・ネスボ。
    ハリー・ホーレシリーズで有名だけど、初期作がほとんど手に入らないため未読。
    本作はハヤカワ・ミステリ文庫で200ページ弱と中編くらいの厚さ。ノンシリーズのためネスボ入門編ということで。

    ストーリーはボスの妻に惚れてしまった殺し屋の逃避行。ノワールものなのだが、主人公で殺し屋のオーラヴが色々な矛盾を抱えているため、そこまで真っ黒な感じはせず。憎めないキャラというか。道を踏み外しここまで堕ちたけど、踏み外したそもそもの理由は優しさからのような。

    雪の白さと血の赤さ、王の名を冠する暗殺者、ボスの妻とスーパーマーケットで働く女。
    題名もそうだが、色々なものが対比されることによりそれぞれが際立っているのと、冬のオスロに深々と降る雪の音までもが聞こえるような静謐さが、ストーリー全体に漂い、深い余韻を与えてくれた。

    最後に余談だが、この作者、イケオジは良いとしてボーカリストでもあり、サッカー選手でもあったとのこと。とんでもない人だ笑

  • ノルウェーの作家ジョー・ネスボの長篇ミステリ作品『その雪と血を(原題:Blod pa sno、英題:Blood On Snow)』を読みました。
    ヨナス・ヨナソンの『天国に行きたかったヒットマン』に続き北欧ミステリです……ジョー・ネスボの作品は5年前に読んだ『贖い主 顔なき暗殺者』以来なので久しぶりですね。

    -----story-------------
    ノルウェー発・翻訳ミステリー大賞受賞作!

    1977年のクリスマス前夜。
    殺し屋のオーラヴは麻薬組織のボスから仕事を依頼され、準備に取りかかっている、いつも通りに始末するつもりだった。
    標的である、ボスの妻をひと目見るまでは……愛に翻弄された彼の選択は、敵対する組織をも巻き込んでオスロの裏社会を大きく揺るがすこととなる。
    ノルウェーを代表するサスペンス作家がみずからの故郷を舞台に描く、美しくも凄惨なパルプ・ノワール。 
    解説/川出正樹
    -----------------------

    2015年(平成27年)に発表されたオーラヴ・ヨハンセン・シリーズの第1作です。

    車の運転と恐喝が下手で、惚れっぽいうえに意志薄弱、文学の知識は豊富だが、計算が苦手……そんな男、オーラヴ・ヨハンセンは殺し屋だ、、、

    麻薬組織のボス、ホフマンの指令を受けて標的を暗殺してきた……クリスマス休暇前最後の任務としてオーラヴが請け負ったのは、浮気をしているらしいホフマンの妻コリナの始末だった。

    いつも通り、淡々と準備を進めるオーラヴ……暗殺のタイミングを見極めるため、ホフマンの家の向かいに陣取って偵察をはじめる、、、

    しかし、コリナが視界に現れた瞬間、彼の運命の歯車は大きく狂いだす……標的の女に一目ぼれしてしまったオーラヴのさまよう銃口は誰に向けられるのか。

    敵対する麻薬組織〈漁師〉をも巻き込みながら、彼は破滅に向かって突き進む……雪降りしきる70年代の冬のノルウェー・オスロで繰り広げられる、美しく凄惨なパルプ・ノワール。

    殺し屋を主人公とした物語って、ローレンス・ブロックの殺し屋ケラーシリーズや伊坂幸太郎の各作品、石持浅海の殺し屋探偵シリーズが大好き……映画だと『レオン』ですかねー 実生活との間にギャップがある人物の方が好みなんですよね、、、

    そういう意味では、オーラヴ・ヨハンセンは思い切り好みのキャラクターでしたね……車の運転と恐喝が下手、惚れっぽい、意志薄弱、文学の知識は豊富だが計算が苦手 ですからね、感情移入しながら読んじゃいました。

    標的の女性に惚れてしまったところからオーラヴの人生は狂い始めます……ボスを裏切り、商売敵に近付くが利用されて裏切られ、そして女にも、、、

    美しい世界と容赦ない殺し合いの交錯……純白の雪と深紅の血に収斂するラスト・シーン、読後に深く息をついてしまうエンディング、どれも良かったですねー 本シリーズは続篇があるようなので、ぜひぜひ読んでみたいですね。

  • 短いということもあり、息つく間もなく物語が進む。
    お母さんとの思い出を軸に、主人公が一目惚れしたふたりの女性とのやり取りで進んでいく。
    なんというか、一回読んだだけではその味がわからないような、そんな物語だった。

    洋の東西を問わず、女性って聖女か悪女かなんだなあ。

    雪の街の凍える、そして暗い光景が見えてくるお話でした。

  • 主人公が、識字障害の文学青年ただし殺し屋ってのがなんともロマンチック。
    クリスマスストーリーかっていわれたら、その感はイマイチかも。登場人物誰一人報われないから。

  • 私の好みにはハマらなかったけど、ページ数も少なくて読みやすかった。
    ディカプリオ主演で映画になるって話はどうなったのだろう。
    でもディカプリオよりはブラピの方がしっくりくるけどなぁ。

  • 中学、高校時代に読んでいたらもっとドハマリして大好きになった作品だろうなと思った。
    クリスマスを感じたくて冬の作品をと読んでみたけど、自分の中にあるクリスマス感とは真逆の、でもクリスマスの季節の寒さ寂しさを感じさせてくれる本だった。
    自分の願望によって作られた話と実際の話、また別の人の願望の話、色んな視点から書かれていたけど実際この主人公は本当に色んなことを考えて賢い人間なんだと、それをそういう風に書けるのがすごいと思った。
    「信用できないことほど孤独なことがあるだろうか」
    「この物語はもうこれ以上素晴らしくできない」

  • 非常に切ない物語。
    「暴力」から逃げたくて、父親を反面教師に生きてきたけれど、破壊しか才のない主人公は結局暴力に1番近いところで過去にがんじがらめにされ空回りして生きている。暴力を憎む彼自身が本人も無自覚な暴力の服従者である事実を愛する人に暴露され、長い間苦しんできた憎悪や決意などがその一言でガラガラと崩壊する様は読んでいて苦しくて息が詰まった。
    彼の本心を知って読み返すとコリナを好きになった理由もまた違って見える気がする。惚れっぽい彼がコリナの美貌に一目惚れしたのも事実だろうが、彼の奥底で燻る暴力への欲求が「暴力を振るわれる」彼女を求めたのではないか。これはマリアの場合も同様だと思う。
    暴力を受ける彼女らに母親を重ね、暴力に憤る一方で、父親の殺生与奪の権を握った高揚感や、善意を当事者から否定される痛みは彼の心に焼き付き忘れる事などできず、彼自身の意思がどうであるかは関係なく暴力は彼を構成するいち要素なのだ。

    父親との血の繋がりを自覚した事も、初めての殺しも、母親の言葉も、合格通知書を破り裂いた時の絶望も、自分という存在に対する諦念も、積み重なった小さな出来事が長い年月をかけ彼の心をすり減らして彼はもうボロボロだったのだと思う。マリアへの想いに向き合えていたならば、そこが人生の分岐点になったのだろうがその覚悟と勇気を振り絞るには彼は傷つきすぎていた。
    オーラヴの最期が幸せだった事がせめてもの救いだが、彼の空想であると気付いていることがまた切ない。空想上でも救済されて良かったという気持ちと、救いない現実への遣る瀬なさが一層際立つ。
    決してハッピーな作品ではないけれど、悲劇ともバッドエンドとも言い難く、雪の白と静寂が非常に美しい作品だった。”blood on snow”を「その雪と血を」と訳すセンスよ……。

  • なんか最後がよく分からなかった。登場人物が多くてどれが誰のセリフなのかいまいちうーんって感じ。読んでから時間が経ったからはっきりとは覚えてないけど、最終的に誰も幸せにならなかった気がする。

  • この作品は、内容的にはノワールといったところで、殺し屋の物語。

    オーラヴ・ヨハンセンという殺し屋の一人称で語られる物語であるのだが、正直なところ、初っ端で彼が殺し屋をしている理由について、「おれにはできないことが四つある」と語りだしたことにはうんざりさせられた。
    そんなことグチグチ言われてもと。

    ただ、話が進むにつれ、意外な展開を見せ、それなりに飽きさせずに惹きつける物語となっていることに気づく。
    読み通してみると、それなりに読み応えのある作品であったと。

    何やら、妄想癖が強い主人公であったという感じであるが、その妄想が、物語上大きな役割を占めていることに感嘆させられる。

    例えどのような人間であれ、個人的に妄想に浸ることは自由ではないかと。
    そんな感想を抱かされる作品であった。

  • 2023-10-03
    大変映画的。一人称の語りも効果的だし、映像的な美しさ、どうにも出来ない切実さ、文章でしかありえない仕掛けが相まって、なんとも言えない読後感が残る。
    映画化されていないのが不思議と思う一方、これを映画化するには大きな困難が伴うとも感じた。
    いいものを読んだ。紹介してくれたNo6PUMPさんに感謝。

  • 中編だけど、映画1本観終わったような余韻に浸れる。

  • ジョー・ネスボを知った最初の一冊。
    オーラヴのアンバランスな人物像と、世界観にぐっと惹き込まれる。
    文章が美しく、最後はぼうっとするような余韻に包まれた。

  • 翻訳がすばらしいと聞いて。すばらしかった。

  • ハリー・ホーレとは違った感じ。映画になりそう。

  • めっちゃいいな、余韻も素晴らしい。

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