弁護士ダニエル・ローリンズ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

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  • 早川書房 (2020年4月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (464ページ) / ISBN・EAN: 9784151840517

作品紹介・あらすじ

飲んだくれのバツイチ美人弁護士ダニエルは薬物売買で告発された知的障害を持つ少年の弁護を引き受けるが、背後には公権力の影が

感想・レビュー・書評

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  • MWA賞(エドガー賞)最優秀長篇賞の最終候補作品。

    バツイチで大酒飲み、別れた夫に未練のある弁護士のダニエル・ローリンズ。
    ダニエル(ダニ)は重度の知的障害のあるテディ、17歳(もうすぐ誕生日)が麻薬の取引をして逮捕された事件の弁護をテディの里親に依頼されます。
    ダニは、テディは全くの無実で幼なじみのケヴィンたちに、嵌められたとして調査を始めます。

    ダニも里親を転々とした身の上で、今は弁護士として働いていますが、テディをほっておけず、ダニは自分でテディの保釈金まで支払います。

    そして、ダニはある日テディがホームレスたちのシェルターで暴力を受けているのを発見します。
    テディの家に行ってみると、両親は、ユタ州では18歳以上の子どもの養育の義務はないと言われ、テディを自分の家に連れて帰ります。

    テディは身体は大人でも中身は子供のままでした。
    ダニは周りからテディを守ろうと必死になります。

    テディの純真無垢さには心を打たれました。
    表紙の絵や主人公ダニのキャラクターなどから、最初はコミカルな印象をうけましたが、大きな社会問題(人種差別)をリアルに描いた作品でした。
    社会派のリーガル小説です。
    最後は事件にもダニの恋愛にも大きなどんでん返しがあります。
    ただ、事件の問題解決の理由が、最初に提示された社会問題とかなり異なっていることに違和感を覚えたので、星の数は減らします。


    ★このレビュー、最初に間違えて電子書籍で登録してしまったので、2度目です。
    いいね!してくださったフォロワーの皆さまごめんなさい。あちらは削除させていただきました(__)

    • まことさん
      地球っこさん♪

      地球っこさんも、買われたのですね(*^^*)
      私は、難しいと思ってしまいましたが、夕べあとがきを読んだら、『三体2』...
      地球っこさん♪

      地球っこさんも、買われたのですね(*^^*)
      私は、難しいと思ってしまいましたが、夕べあとがきを読んだら、『三体2』はシリーズ中一番、面白いそうです。
      先を読むのが楽しみです。

      私も最初、Kazzu008さんのレビューで読みたくなったけれど、無理と思って、次に地球っこさんが、読めますとレビューしてくださったので、読みました。
      おかげさまで、今『三体2』を読んでいます(*^^*)
      2020/06/20
    • moboyokohamaさん
      外国の作品にどうしても手が出ません。
      なんとかならないだろうかと思います。
      外国の作品にどうしても手が出ません。
      なんとかならないだろうかと思います。
      2020/06/20
    • まことさん
      moboyokohamaかわぞえさん♪こんにちは。

      ガイドブックなどに載っている有名な作品や、年末のランキングで上位になったものから読...
      moboyokohamaかわぞえさん♪こんにちは。

      ガイドブックなどに載っている有名な作品や、年末のランキングで上位になったものから読んでみられるのはいかがでしょうか?
      2020/06/20
  • 「コロナによる自粛」のために「対策」として買った2冊の単行本は、読むタイミングを逃し。
    そのままズルズルと文庫本を読み漁る日々に戻る。
    で、読んでみるとこれが「人種差別」を扱うタイムリーな話だった。
    (2020年07月)

    麻薬取引の容疑で少年が逮捕される。少年に不利な証拠が多く、まともな証人もいない。少年は知的障害を持ち、厳重な売人とのコネや、計画的な犯行が不可能なのだが…
    弁護士のダニエルは、調査員ウィルの手を借りながら奮闘する。

    司法制度や、人種差別についてはカバーの見た目からの印象よりだいぶ重たいテーマを真面目に扱っています。
    根の深い問題、巨大な敵に主人公がどのように立ち向かうのか!?で読ませます。

    そしてなんといっても主人公をはじめとした登場人物が魅力的

    ダニエル・ローリンズ
    本書の主人公、モテ女、連日二日酔い、ボロボロのスニーカー、
    元夫のステファンが、めっちゃ好き

    ステファン
    ダニエルの元夫、ペイトンと婚約中

    ペイトン
    ステファンの恋人、狩猟が趣味

    ウィル
    ダニエルの調査員、イケメン、実業家
    ダニエルのこと、めっちゃ好き

    テディ
    ダニエルの依頼人の少年
    スポンジ・ボブがめっちゃ好き

    (他にも妙な奴が色々出てきますがひとまず)
    ダニエルの悪態のつき方やセンスが好き。(嫌いなペイトンにつけるあだ名が毎回変わるのも面白かった)
    ウィルは男でも惚れるくらいの快男児

    ダニエルは、結構感情で突っ走るタイプ、「駄目だ」と言われてもやるし
    「無理だ、やめといた方が」と言われてもタックルをかますヤツ。
    最後まで諦めない姿が、帯通り
    読み終えてスカッとした。

    2冊連続だけど、続編や
    この著者の作品をもっと読みたいので
    星五つ

  • リーガル小説で、アメリカの司法、裁判制度についての知識が得られる。
    それと共に黒人差別の深刻な根深さも知る事が出来る。
    そんな結構なバックグラウンドなのに主人公は、飲んだくれの女性弁護士で、
    自身の浮気の所為で家庭を壊しておきながら離婚した夫に未練が有るという。
    でも周囲の登場人物から言わせると美人らしい。ふうん。
    調査員で金持ちで、若くして(32歳?)フィジーでリタイア生活をしようとしているウィルはダニエルにぞっこん(へ~え)
    話しは深刻な筈なのにコミカルな場面が続くという、もう何か凄い設定。
    主人公の弁護活動もハチャメチャな感じで、法廷で検事や判事をコケにしたり、
    刑務官に暴力を振るうとか、おいおい懲戒制度って無いのか?と

    知的障害者である黒人少年が麻薬取引をしたということで逮捕されるが、
    それを利用して少年法を変えようとする検察や、それに協力する判事の陰謀を阻止すべく、孤軍奮闘するダニエル。
    形勢は不利ながら最後は勝利するんだが、ご都合主義すぎるだろ?と。

    破天荒リーガル小説ってジャンルになるのかな?

    内容(「BOOK」データベースより)
    ソルトレイク・シティの刑事弁護士ダニエルは、元夫の再婚が決まり、連日二日酔い出廷中。
    そんなある日、麻薬密売容疑をかけられた知的障害のある黒人少年の弁護依頼が。
    未成年なので簡単に不起訴処分に持ち込めるかに思えた。
    だが、いざ調査を進めてみると、少年は誰かに利用されたとしか思えないのに、何故か検察も判事も実刑判決にする気満々で…酔いどれバツイチのお人好しモテ美人弁護士が社会の闇を吹き飛ばす!

    著者について
    アフガニスタン、カブール生まれ。
    ユタ大学法学部卒。検察官を経て、刑事弁護護士に。
    《ユタ・ビジネス》誌において「マウンテン・ウェスト地区でもっとも名誉ある弁護士」のひとりに選ばれる。
    2011年『The Extinct』で小説家デビュー。
    2019年に本書でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞にノミネートされる。
    その他50冊以上の小説の著書がある。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)
    メソス,ヴィクター
    アフガニスタン・カブール生まれ。
    ユタ大学法学部卒。検察官を経て、刑事弁護士に。
    “ユタ・ビジネス”誌において「マウンテン・ウェスト地区でもっとも名誉ある弁護士」のひとりに選ばれる。
    2011年The Extinctで小説家デビュー。
    2019年に『弁護士ダニエル・ローリンズ』でアメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長篇賞にノミネートされる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)

  • 傷心の酔いどれ女、ダニエル・ローリンズ(ダニ)は、もっぱら有罪の依頼人の案件を受任して不起訴や減刑を勝ち取ることを生業とする人道派の刑事弁護士。社会からはみ出し犯罪に走らざるを得ない弱者の見方。被告の減刑のためには手段を選ばないダーティーさを持ち、人一倍正義感が強く、感傷的で切れやすいという厄介な人物。

    親友のウィルは、ダニのことを「きみには本物の思いやりがある。たいていの弁護士には依頼人の尻に火がついていたって、わざわざ通りを渡って水をかけてやったりはしない。それなのにきみはいつだって真摯に向きあい、一匹狼として、不遇にある人々を思いやりつづけている」、と言ってる。そしてダニの嘆き節「その結果がこれよ。わたしはいつも孤独。そして毎日のように判事に怒鳴りつけられ、検察官には見下されている。せっかく不起訴になっても、なんでもっと早くやらないんだと依頼人から罵声を浴びせられ、感謝すらされない。世間からは犯罪者の味方をするろくでなしと思われている」が、ダニの弁護士としての信条や仕事振りを端的にを表している。

    依頼を受けて、麻薬取引容疑で逮捕された知的障害者の黒人青年テディ(犯罪発生時未成年)の弁護を担当することとなったダニ。簡単に不起訴に持ち込めるはずが、いつの間にか裁判所と検察局によって周到に仕組まれた計画に巻き込まれていることを気づくのだった。テディのために必死に防戦するダニだが、当局の壁は厚く、悔し涙に呑んだくれる日々が続く。

    当局の狙いは、重犯罪少年法を廃止し、黒人やヒスパニックの犯罪少年達を成年として起訴、服役させ社会から隔離することか。むしろその狙いは、犯罪防止より黒人達に選挙権を与えないようにすることか(麻薬所持・使用を含む重罪で服役中の受刑者には18歳になっても選挙権が与えられない)?

    それにしても、平気で法をねじ曲げる尊大でデタラメな判事や検事の存在にはムカムカした(まあ、ルール無視、法廷秩序無視という点ではダニもどっこいどっこいではあるのだが)。テディには責任能力がなく罪に問えないことが明らかなのに、人権に一切配慮せず逮捕・勾留した上、彼らのストーリー通りに証人の証言を固めて、強引に罪に陥れようとする非情さ、読んでいて気が滅入った。

    ただ、判事や検事の心に強い人種差別・偏見があるとしても、彼らには同時に、「重犯罪少年法」によって厚く護られ、凶悪犯罪を犯した少年達に適正な裁きを受けさせられないことへの強い問題意識があることも事実。また、ラストにどんでん返しがあって、ダニの思い込みが間違っていたことが分かるのだが、そうしてみると、検察や裁判所もダニが罵り倒したほどには極悪非道でなかったし、各証人は偽証したわけではなかったので、ダニに罵られた共犯者3人はちょっと気の毒だった。

    また、知的障害者の養育に疲れ果てたテディの養父母の心情にも理解できる面がある.さすがにダニの罵り方はキツすぎ。人道主義一辺倒のダニの言葉には、所々に行き過ぎ感も感じた。

    という訳で本作品は、リーガル・ミステリ―という形を取りながら、荒んだ国アメリカの犯罪の温床となっている黒人やヒスパニックへの差別・偏見、家族愛の欠如、麻薬の蔓延等々を描いた力作だった。

    いかにもアメリカ的な、法廷の弛い雰囲気や個性的な判事、検事、弁護士については、法廷ドラマ「アリー・マイ・ラブ」を思い出してイメージを膨らませながら読んだ。

    読み応えあり。

  • 読み終えて思わず、ヒュー!と口笛が出たよ。

    気の利いたジョークで進んでいく軽い読み物のつもりで読んでいたのだけれど…ラスト60ページほどが読ませます。スピーディで手際いい語り口ながら、重い現実も盛り込んで、ぐいぐい来ます。

    ミステリとしての弱さは少々あるけれど、シメも見事で、楽しかった。

  •  なんて素敵な小説なんだ? これは読み終わったときの感想でもあり、読んでいる途中の感覚でもある。そう、ミステリーのプロットのみならず、読んでいる時間が充実している小説なのだ。

     軽妙な一人称文体による、ぱっとしない女性刑事弁護士の日常を活写しながら、重厚で手強いテーマへのチャレンジング精神豊かな、骨のある小説なのである。弁護士ヒロインの名前を邦題タイトルにしているので地味な印象を受けるが、映画されても素敵だろうなと思うくらい、ヒロイン以外にも忘れ難く味のある個性派キャラクターが脇を固める。

     騒がしいダニエルの生活基盤に入り込んで来るのは、捨て子で黒人で知的障害を抱える、まさに三重苦の少年テディ。この少年の描写が良い。この少年が生きて読者の傍らにいるんじゃないかと思うくらいに、優れていて、そんな彼の苦境に、きっと母性もあるのだろうな、女性主人公のダニエルは任侠道みたいな救済欲望を激しく感じてしまうのだ。

     ダニエルの境遇は活き活きと描かれる。行きつけのバーの女店主ミッシェル、70代の隣人ベス、秘書のケリー、調査員のウィル。癖がありながらも優しさに包まれた境遇はきっとヒロイン自身の人柄の反映であるのかもしれない。

     しかし、そんなダニエルは孤独にも苛まれる。ふとした浮気が元で離婚され、元夫ステファンは全米ライフル協会を代表するような狩猟マニアのタフ・レディとの再婚を待つばかり。一人息子のジャックともどもハッピーかつゴージャスな生活を送っている。そのジャックはなぜかダニエルに対して以上に優しく大人びて見える。ダニエルは完全な人格どころかアル中一歩手前の破滅的な生活で危ういバランスを取りつつ日々を送っているのだ。

     そのダニエルと事件の渦中にある少年との出会いが本書のすべてである。彼女自身も捨て子という過去から、自分を投影するが、テディはさらに黒人で知的障害である。そして彼はコカイン取引の首謀者として逮捕される。証人は四名。警察も検察も判事もすべてが敵という四面楚歌。

     作品世界はユタ州ソルトレイク。架空の町フーヴァー郡は、かつて犯罪者どもを隔離した町とのことで、州法も及ばないくらい警察や法廷の力が強い。さらに人種、人権などでの差別化を広げようと画策する権力者たちの動きが事件の背後に見えてくるにつれ、本書はリアリティと重さを増す。

     本書の作者は実際にユタ州で刑事弁護士を務め、日々権力と闘い、弱者たちを救うことに命を賭けている当事者であるそうだ。道理でリアリティのあるアメリカの法解釈の病的な問題ににかくも鋭いメスを入れてきたわけだ。

     ダニエルやテディのどこまでも魅力的な人柄と、まっすぐな正義を求める浪花節的プロット、巨悪に立ち向かう心意気。人間と人間が激しく情動を闘わせつつスリリングな展開に終始する熱い一気読み作品。

     最近お気に入りのロバート・ベイリーと言い、今やアメリカン・ミステリ独自の売りどころは、<胸アツ小説>と言って良いのではなかろうか。

  • 比較的前に読んで、印象的だったので、備忘録として登録。
    印象的と思ってるのに結構忘れてる泣
    海外小説ならではのテンポの良さと明るい会話で構成されながら、扱っているのは人種差別だったり、社会的な問題提起があったりして、面白かったのを覚えている。
    こういった感じの本にまた出会いたいなと思っている。

  • 知的障害のある黒人少年が麻薬密売の容疑で逮捕。弁護することになったダニエルは疑問を抱く。正しいことが通らないなかダニエルの真っ直ぐさと不器用さがもどかしいほどで、でもその人柄がとても魅力的。少年ソーンの造形もよく二人の交流も読みどころで楽しい。ソーンが関わった出来事の裏にあるものや、差別、偏見を利用しようとする人たちの怖さを感じる。ダニエルのプライベートも色々あったりと読み応えがあってシリーズ化にしてほしいくらいの面白さ。

  • 引くぐらい面白かった。星10つけたいぐらい。
    物語の展開は当然のことながら、テーマ、メッセージ性、登場人物の魅力、文体、翻訳、カタルシス度などなど、すべてが完璧。
    面白い本は数あれど、こんなに自分にピタリとハマる本はなかなかない。
    社会の不条理や人間の非情さに怒り、悲しみ、それでも立ち向かう一部の善良な人に心揺さぶられ続けた。感情が動き過ぎてしんどくなるぐらいだった。
    なんといっても主人公がいい。最初は、大丈夫かこいつ、浮気するとか最低だし、と思っていたのに、いつのまにかダニを応援していて、読み終わった後には、万が一自分が事件に巻き込まれたら、絶対ダニに弁護してもらいたいと思うまでになっていた。

    ヴィクター・メソス氏、初めて知ったのだが、邦訳されてるのはまさかのこれ一冊。信じられん。
    シリーズ物もたくさん執筆されているそうなので、ハヤカワでも東京創元でもどこでもいいから、一刻も早く出版してほしい。本当にお願いします。

    ちなみに、本作は2019年のエドガー賞を逃したらしく、これに勝つ本ってどんなんよ!?と逆に気になって調べたのだが、ブクログでの評価はあまりよくないしハードボイルドだし、いまのところ読む気にはならなそう。

  • リーガルサスペンスというより、キャラクタードラマとしてシンプルに楽しむ。

    作者は弁護士でも結構活躍した人と、作者紹介にあった。
    同じような作家ではフェルデナンド・フォン・シーラッハの『犯罪』を読んだことがある。
    そこでは同じ主人公目線でも「対象者(登場人物)を客観的に観察」していたのに対して、こちらは法廷弁護士自身の「お仕事」ドラマといったところ。

    弁護士は「依頼者の味方、それも報酬分」は現実で、一部の企業弁護士等を除きけっこうな数の案件を同時進行していかないと、なかなか思った収入を得ることはできず、そんなに楽な仕事ではない。その描写は十分に伝わる。

    それでも、テーマで取り上げている「少年犯罪」「人種差別」「障害者の自立」「裁判制度の矛盾」の描き方が、どこか「ステレオタイプ」に見えてしまう。
    また、主人公を周辺とした「正義の味方」の白人の美男美女が、リベラルを振りかざしているところも、ちょっと……ネ。

    そうはいっても終盤の裁判シーンはなかなかで、テレビの2時間ドラマのように盛り上がる。
    読みやすく分りやすいので、(文句が多い割に)大いに楽しんだ。

  • ストーリーはよくある2.5流のリーガルもので、痛快リベラル弁護士大奮戦!というところか。映画でいえばブレーク前のジュリア・ロバーツ主演かな。
    今流行りのBLMにもうまく乗っかれてるし文章も平易で勢いがあるので、各方面にも受けが良いと思われる、のだが…
    ちょいちょい現れるリベラル仕草というかなんというか、「我々こそ絶対正義」ハンマーが鬱陶しくてたまらなかった。特に、裁判シーンでの陪審員たちに対する上から目線(ほぼ見た目だけの印象からの)はまさに、「disgusting=吐き気がする」だ。この態度こそが、今の米国の分断を引き起こしているのではないか、そういうとこやぞ!

  • 素晴らしい。
    リーダビリティが高いの一言。
    ライトな語り口ながら背景には重みがある。
    もっと楽しい本かと思ったけど良い意味で裏切られた。

  • 人種問題が浮き彫りになってる今だから一層リアルに感じた。しかも容疑者は孤児で知的障害を持っている。主人公のダニエルに私は最初、良いイメージがなかったが、熱くて真っ直ぐ、何より自分に正直な点に好感が持てた。ミステリーとしてのミスリードも良かった。

  • おもしろかった〜!麻薬密売で逮捕されたのは知的障害のある黒人の少年。明らかにおかしいのに検察も判事も警察も彼を成年として裁き、有罪にしたがっている。権力持った人たちに目の敵にされると個人なんてひとたまりもないな… そんな中で身も心もボロボロになりながら、法廷で闘うダニエルに涙。カッコいいヒロインのさらなる活躍に期待してます!

  • 主人公は、女性の刑事弁護士ダニエル。
    元夫の再婚話に落ち込み、毎日二日酔い。そんな弱い面を持ちながら、知的障害のある黒人少年の弁護依頼に、全身全霊で取り組む。

    法を自分たちの良い様に解釈する司法の姿は、リアルなアメリカの司法の姿なのでよしょうか?

    弁護士の思い込みにより、最後になるまで真実への道をたどらせないが、そんなところも、経験に基づいて展開されているのだろうかと思っていまう。

    主人公とその周囲の人は魅力的なので、シリーズ化してもらいたい。

  • 面白かったぁ!著者が作り上げた架空の郡の法制度にヤキモキさせられる舞台で、自分が浮気したくせに元ダンナに未練タラタラで深酒しまくる主人公が、嵌められた知的障害のある少年を助けるために立ち上がる!とにかくダニエルの軽口が気持ちいい!これは読んで良かった!

  • ソルトレイク・シティの刑事弁護士ダニエルは、元夫の再婚が決まり、連日二日酔い出廷中。そんなある日、麻薬密売容疑をかけられた知的障害のある黒人少年の弁護依頼が。未成年なので簡単に不起訴処分に持ち込めるかに思えた。だが、いざ調査を進めてみると、少年は誰かに利用されたとしか思えないのに、何故か検察も判事も実刑判決にする気満々で…酔いどれバツイチのお人好しモテ美人弁護士が社会の闇を吹き飛ばす!

    日本では初登場の作家らしいが、本国ではかなりの多作らしい。痛快な本作だけでなく、他の作品も翻訳を希望する。

  • はなはだ残念な一冊だった。
    読後感を表すならば「がっかり」の一言に尽きる。

    前半は素晴しかった。

    ダニエル・ローリンズ、刑事弁護士、この女主人公がとにかく魅力的なのだ。
    バツイチで、元夫に未練タラタラ、飲んだくれ。
    二日酔いを構わず法廷に出て、判事にそれを指摘されても、軽口を叩いてしらばくれる。
    堪えない。タフ。へこたれない。そして常にユーモアを忘れない。
    敗北の怒りを燃やす検事には、笑顔でぽんと肩を叩く。
    『「あなたはもっと楽しく生きないとだめよ、ボブ。こんな件を深刻にとらえることないって」』(167頁)
    依頼人のためには裁判所で暴れることも厭わず、監置場に入れられたことも1度や2度ではない。

    やさぐれエピソードに事欠かない気っ風のいい姐さんである。
    弁護士としてのスタイル、矜持が感じられて、読んでいてとても気持ちがいい。

    それが、しかし、後半には変化してしまう。
    作者の政治傾向(イデオロギー)が見え見えになってくるのだ。

    政治傾向!

    これほど作品の質を落とし、読者を興醒めさせるものはない。

    ある物事について、賛成派と反対派がいるとしよう。
    日常のただの意見の相違なら、(例 目玉焼きにはなにをつけるか。コーヒーはどの店が好きか。あるいは紅茶なのか等)
    「あいつはああいう奴」「この人はこんな人」程度に収まる。

    けれども、事、政治についてとなると、人は冷静ではいられない。

    「こんな常識も知らない、理解していない奴だ」と、
    賛成派は反対派を底抜けのバカだと思い、
    反対派は賛成派を底なしのバカだと思う。
    相手のおつむの程度を侮り、いずれ、自分と同じ人間だと思えなくなってしまう。

    作者がある政治傾向を持っている場合、その作品の主人公は、当然、自分と同じ側として描く。
    悪党は、当然、自分と違う側に置く。
    すると、どうなるか。

    話の後半、主人公ダニエルは"巨悪"と戦うことになるのだが、この"巨悪"の造形が、まったく頭の悪い、ペラペラ人間なのだ。
    安いドラマに出てくるようなお定まりの見た目をして、どこかからとってきたようなお定まりのことしかしない、言わない。

    ダニエルがこの"巨悪"と対峙するきっかけとなったのは、ある少年の裁判なのだが、作者は、わずかでも、この"巨悪"側で考えてみたことがあるのだろうか?

    私がこの側だったとしよう。
    計画の肝心要のところに、この裁判は、絶対に選択しない。
    被告となった少年が、自分の望むテーマに対して、まったく不適格だからである。
    ユタ州リチャードソンが、描かれたような場所ならば、もっと適切な人物がやらかした、もっと適切な事件が、他にいくらでもあっただろうに。

    なぜ、この"巨悪"グループは、こんな不適格な裁判に総力を挙げているのか?

    答え、彼らはバカだからである。

    ペラペラ"巨悪"の考えた壮大な計略は、あるひとつのきっかけで、あっという間に崩れ落ちる。
    さながら紙人形に火をつけたように。

    繰り返すが、前半はとても素晴しかった。
    ダニエルの、いつもユーモアを忘れない、なににも怯まない生き方が素敵だった。
    彼女のへこたれないスタイルは、見習うべきとさえ思った。

    けれども後半、作者の政治傾向が、それを台無しにした。
    主人公は萎縮してしまい、なんとも精彩を欠いている。
    かと思えば、唐突に似合わぬ説教を吐いたりする。
    話は作者のイデオロギー上をただただなぞるだけになる。

    結末から話を振り返ってみれば、テーマのブレさえ見えてくる。
    人種差別を描きたかったのか、福祉問題を描きたかったのか、法律問題を指摘したかったのか、政治主張を述べたかったのか、どれを描きたかったにせよ、少年の人物像がそれにそぐわない。

    さらに少年の両親だ。
    あれこれ事情があるならば、弁護士なんか依頼せず、国選弁護人にやらせればいいではないか。
    ブレどころか、もうバラバラだ。すべてに一貫性がない。

    執筆中の作者の頭がすっかり政治一色になって、思考が作品にまで及ばなくなってしまったとしか思えない。

    極めて残念だ。
    繰り返すが、作者の弁護士としての実体験から描かれた前半は面白いのだ。
    主人公をはじめとする、魅力的な人物たちだけで構成された、生き生きとして、気っ風のいい、前半のままの物語を読みたかった。

  • 最高に面白い

  • ダニエルのキャラクターが映える作品。決してスーパー・パーソンではなく弱音を吐きまくるが、あきらめない、めげない。落ち込んだ時に読みたい作品といっていた人がいたが、その気持ちは良くわかる。内容的には、人種差別の激しいアメリカならではの作品。ただ、人種差別が激しいにもかかわらずこういう作品が発表されていくのもアメリカらしい。民主主義の理念に対してはそれなりのリスペクトがあるということだろう。物語の枠組みも犯人も比較的早い段階で想像がつく。それでも最後まで読者の気持ちをつないでおけるのは、メソスの筆力とダニエルのキャラクターのおかげだろう。続篇を読みたいものだ。

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