- 早川書房 (2021年1月7日発売)
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感想 : 10件
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Amazon.co.jp ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784151844010
作品紹介・あらすじ
人種差別主義者と黒人少年が殺害された。心に傷を負った刑事、マーシュは二つの事件を追うことに。二転三転する捜査の行方は――?
感想・レビュー・書評
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刑事マーシュは知人に頼まれ、ある男を殴って警告した。翌朝、殺人の報を受けたマーシュは驚く。被害者は自分が殴った男だったのだ。死亡推定時刻は彼が訪ねた時間とも重なり、記憶も曖昧だ。そのうえ彼はもう一つの事件も追うことに。逮捕される可能性に怯えながらも自らの正義を貫こうとする男を描く刑事小説。
ハードボイルド寄りかと思ったら、そうでもなかった。まずまずの仕上がり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
アメリカ南部で2つの殺人事件の真相を追う刑事もの。妻子を亡くして酒に溺れた刑事が事件に巻き込まれる...というありがちな展開だが、呪術的な要素も絡んでくるところがこの小説の独特なところだ。古くから続く人種差別が大きな鍵になるところは黒人の多い南部地域を舞台にした小説ならではという感じ。硬派なミステリーとして面白く読んだ。続編も読みたい。
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筆者は最優秀新人賞を当作でゲット、脂がのりtきってのデビュー作だろうか。
意欲はビンビン伝わってくる展開だが、どうも粗削りして意欲がカラ滑りしている印象。
設定が「妻子を失い、酒乱の日々の中で自分を見つめなおしていく、そして巻き込まれた犯罪と対峙してアメリカが抱えている最重要問題の一つ―人種差別と対峙する」と思われるがなんか脆弱。酒浸りの日々でこうも捜査をサクサク賭して行けるだろうかとまず疑問。中盤過ぎるとヘイトスピーチ、ネオナチ、黒魔術とカルト色が強まって行き、些か『大丈夫、こんな混迷で❓』と危ぶんでしまった。
ラストに向けての盛り上がりは手に汗レベルでなかなか、洞窟の雰囲気は臨場感あった。
何度も繰り返される黒人少年の屍体描写~被害者に共通知るキーワード”同人種、同年齢、肘の骨折”から焦点が絞られて行くのはカルト色と相まっていかにも「今」のアメリカを体現する犯罪集団、人物の存在を思わせる・・蓋を開けるとハハァ~ン
原題”The Good Detective"を「刑事失格」と単純に結び付ける意図が面白くなかった。
舞台となったジョージア州は全米でも居人種間カップルが多いらしいだけにあちこちで火種が尽きぬと。それだけにこの問題に着手しやすいとの執筆動機は買える。 -
もともとは洋物ミステリ好きでそういうのばかり読んでいたのに最近ご無沙汰してるなということでちょっと手に取ってみた作品。かって「何も見逃さない男」とマスコミに讃えられたこともある刑事が主人公。不幸な事故で妻子を失ったことから酒浸りの日々を送っている時にたまたま知り合ったストリッパーから暴力を振るうボーイフレンドを懲らしめてほしいと頼まれ一発かますのだが翌日呼び出された殺人事件の被害者がその男。自分が殺したのかはたまた…と悩む主人公。同時に明らかにリンチ殺人と見られる事件が発生し、一方で自分が殺人に関与したのではと悩みつつもう一方で凄惨なリンチ殺人にも挑む羽目になる、という物語。殺されていた男がネオナチ、ランチ殺人の犠牲者が黒人、という設定で舞台が南部ということでいまどき感もあるのだけど…なんというか諸々残念なところが散見されて。まず酒びたりの設定が甘い。殺人現場にきちんと出動してちゃんと前夜に自分が殴った男と認識するとこからして不自然なのだけど二つ目の事件捜査の途中で家中の酒を唐突に捨てたり。そんな簡単なもんじゃないと思うしそんなに簡単にやめられるのなら単に自己憐憫に浸ってただけのようにも見える。ランチ殺人の方もカルト感が中途半端というか…ということで悪いところばっかり書いたけどこれがデビュー作ということで設定は悪くないし魅力的な登場人物も書けているので次に期待、という感じがしています。
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ハードボイルドな苦悩の刑事。
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“自分が容疑者を殺してしまったとしたらどうやって事件を解決すればいい?”という魅惑的な惹句に誘われ手に取ったのだが、色々詰め込み過ぎじゃないか?猪突猛進な主人公を始めとした凡庸な登場人物達に加え、筋運びは今ひとつ要領を得ない。作中の警察組織はザル過ぎるし、シャーマンに目覚めた老婆の登場を機にオカルト要素が混入してくる。容疑者候補の主人公に始まり、ついには黒魔術師や秘密結社が参入するトリッキーさ満載のプロット。序盤から黒人差別問題への警鐘を鳴らしている割に、奇を衒い過ぎて焦点がぼやけてしまった様な気がする。
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ノーサプライズ。色々と惜しい感じ。
恒川正志の作品
