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本 ・本 (592ページ) / ISBN・EAN: 9784151848018
作品紹介・あらすじ
1939年、灯火管制下のベルリンで元女優が殺害されているのが見つかる。事件は捜査を進めていくうちに混迷を極めていき……。
感想・レビュー・書評
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「ベルリンは晴れているか」繋がりでベルリンの本を探して買った本です。サイモン・スカロウはこの本以外なかなかないみたいですが、よく手にしたなと自分に感心しています。
ナチスドイツ当時の歴史を逸脱せずミステリーを描いている。
とてもおもしろい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
全体的には重苦しい雰囲気やけど、主役がなかなかの好漢の上に各々のキャラの描写は好印象。かなりいい線いってると思う。
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1939年のドイツ、ナチス政権下での殺人事件を追う警部補シェンケが主人公。実在のハイドリヒやヒムラーの名も出て、否が応でも密告や陰謀渦巻くドイツの状況を想像してハラハラした。ミステリ的な感じはあまりしなかったが、サクッと楽しめた。
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ハラルト・ギルバースと同じく戦時下の殺人事件が描かれる
陰鬱な雰囲気の中まともな価値観を維持しているため危険な立場に置かれる刑事の苦闘が手に汗握る
大物カナリス、ハイドリッヒが絡むが神学部卒アスペっぽいゲシュタポの続きが読みたい -
時代背景や主人公に興味を持って読んでいましたが、友人を紹介したあたりで、展開へのお膳立てと主人公への好感度が下がって、そのまま気持ちが萎えたまま読み終わってしまった印象です。
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第二次世界大戦前のベルリンを舞台にした刑事物語。面白そうなんだけど、まどろっこしい展開。416/571pにて挫折。パッセンジャーに乗り換え。
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1930年代のドイツにはそれほど詳しくない私にとっては、ナチスの支配に対する市民の心の葛藤がよく描かれてるのではないかと感じた。
ユダヤ人のルートが出てきたあたりからは読まされる感じで、ついつい他のことをそっちのけで一気に読んでしまった。
最後にシェンケが犯人と思わしき人を追い詰めるクライマックスでは、脇腹みろよ!と私も突っ込んでしまったように拙速さがらしくなかったもなのの、身内を殺された落胆と憔悴からの犯人がわかったという高揚でこうなったのかと独り合点した。
シェンケと年代が近いこともあり、少し共感もあり読めたこともありますが、面白い小説でした。 -
面白かった!シェンケの「犯罪者どもが動かしている国で刑事である価値はなんだろう?」という一言がとても響いた。当時の空気感を伝えつつ、緊張感を持って読むことができた。
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第二次大戦開戦直後のクリスマスシーズン。
ポーランドはまだ降伏しておらず、
英仏とは『奇妙な戦争』状態にあるドイツで、
ベルリンを舞台にしたサスペンス。
舞台が独特な雰囲気をもったものですが、
連続殺人事件を捜査する刑事の物語の面が強く描かれています。
政治サスペンス要素が強いのかと思っていましたが、
政治サスペンス要素は、ある時期のソ連・東欧・南米・アフリカ・もしかするとアメリカ、
などといった地域に舞台を変えてもよさそうな程度でした。
主人公の警部補は、元カーレーサーで、事故で引退したという過去がありますが、
その設定がイマイチ生かしきれておらず、カーレーサーに関わる描写は、
ちょっと浮いてしまっているかなと感じました。 -
ワイマール期からナチス期にかけてを時代背景とした推理小説は数多いが、やはり印象に残っているのはフィリップ・カーによるベルリン三部作だった。この本の作者も、やはりイギリス人。ちょっと期待して、頑張って最後まで読んだが、頑張って書いている漢字はあるものの、時代の空気感はうまく伝わって来ないところがある。それに、訳文で登場人物の喋り部分の語調が不揃いでしっくりこないところが散見されるのが残念。
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申し訳ない、私にはこの本を評価することができない。
ハキとしたものを述べられないのを、お許しいただきたい。
1939年クリスマスを間近にひかえたベルリン。
かつて女優だった美女が、夜の道で無残に殺された。
捜査を任せられたのは、パンコウ管区クリポ(刑事警察)班長、ホルスト・シェンケである。
本来なら、彼が任されることはないはずだが、女優の背景が政治的であることから、どの党派にも属さないシェンケに白羽の矢がたてられたのだ。
ナチス政権下の殺人事件――!
センセーショナルで、興味深い、素晴らしいテーマだ。
だが、しかし、――
読んでいて、なにやら釈然としない。
なんだか、ドイツっぽくないのである。
どこがと問われると、答えにくい。たとえば、
『「わざと寒い朝を選んで私を呼びつけたな、巡査部長」』(28頁)
ドイツ人らしからぬ軽口だという印象をもった――そんなところだ。
私は、ドイツやドイツ人に詳しいわけではない。
せいぜい、ドイツで書かれたミステリーを何冊か読んだくらいである。
その中に描かれたドイツ人と、ここに出てくるドイツ人が、別の者に思えるのだ。
『「私と姪が食事をともにする予定だった男だね?」冷ややかな顔で詰問した。
「はい。ホルスト・シェンケです」』(125頁)
やりとりが、まるで『クリフトン年代記』(英)である。
作者サイモン・スカロウは、ドイツ人ではなく、イギリス人だ。
歴史好きが高じて、歴史の教師を勤め、今や歴史小説作家という人物だけあって、「1939年ナチス政権下のベルリン」については、非常に詳しく調べていると思う。
けれども、ドイツ人の気性、性分などについては、色々及んでいないのではないか。
特に私が疑問に思うのは、シェンケの恋人、カリンだ。
『美人で洗練された女』『知性もある』(143頁)
シェンケ君はそう言うが、私にはそうとは思えない。
すぐそばに党の制服を着た男たちがいるのに、冗談にも、総統閣下への批判を口にするとは、不用意が過ぎる。
およそ知性を持っているとは思えない。
物怖じせずものを言う女性、ナチスを批判する女性は、ドイツと対峙していた当時のイギリスにはいたかもしれない。
しかし、戦時下のアーリア人女性として、これは浮つきすぎではなかろうか?
殺人事件があり、それを捜査する警部補がいる。彼のチームがある。
舞台とそこに生きる人々にちぐはぐなものを感じてしまう人には、これは薦められない。
けれども、それが気にならない人、いっそ面白く思えるだろう人には、
「まあ、それでしたら、どうぞ」なのである。 -
1939年灯火管制のなか元女優で幹部の妻が殺害され捜査にあたる元レーシングドライバーのシェンケ警部補。ナチス政権と戦争の中にあるドイツの不穏な空気。ユダヤ人への差別。色々なところから圧力がかかりながら捜査を進めようとするシェンケだけれど進展しない。終盤に突然動き出すのが少し違和感があったけれどそれ以外は重厚でドイツの暗く、濃密な空気感が出ていて読み応えがある。