モルグ館の客人 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 早川書房 (2024年7月3日発売)
3.35
  • (3)
  • (19)
  • (26)
  • (6)
  • (0)
本棚登録 : 498
感想 : 25
サイトに貼り付ける

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

本 ・本 (544ページ) / ISBN・EAN: 9784151856525

作品紹介・あらすじ

完全犯罪を成し遂げた者が集うパーティが開かれる館。新聞記者ジェイコブと名探偵レイチェルは謎の女にパーティへ招かれるが……

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • ★5 法で裁かれなかった犯罪者たち、背後にうごめく俗悪な企みをレイチェルが裁く… #モルグ館の客人

    ■きっと読みたくなるレビュー
    おもろいわー、また★5をつけちゃう。

    個人的には前作より躍動感があって好きですね。その分ミステリアスでスリラー要素は少なくなったと思うけど、怪しげなキャラが新たに出てきて、不穏な雰囲気は相変わらずです。

    今回の物語は、犯罪の容疑をかけられ、からくも死刑を免れた人たちの背景をレイチェルが追っていく。一方、女性の犯罪学者レオノーラも同じ事件を調べており、とある関係性からレイチェルにも近づいていくという筋だて。館が舞台になるのは終盤で、もちろんそこからひと波乱あったりします。

    ただタイトルに館の名前が入っていますが、密室殺人やクローズドサークルを期待してはいけません。安心してください、ちゃんと別の意図があります。

    まず本シリーズの推しポイントは、Coolさですよね~。始まりがいきなりエピソードからですよ、プロローグではありません。第一章の第一文から惹きつけられるし、場面も葬儀列車で雰囲気がカッコイイのよ。レイチェルが吐き出すセリフがいちいち謎めているし、このキャラの引力には毎回ヤラれます。

    例によって何が起こっているのかよくわからない。犯罪学者レオノーラも敵なのか味方なのかよくわからんし。ただ間違いなく背後にうごめいているものはあって、怪しい人が誰なのかも明確にわかる。この緊張感と戸惑いがたまらなく読み手をソワソワさせるんすよね。

    あと大好きなのは主人公レイチェルと記者のジェイコブのコンビぶり。二人とも同じ正義感を持っているのに、価値観や犯罪へのアプローチがまったく違うんですよ。レイチェルは狡猾、扇動するのが上手。その一方レイチェルの生真面目で素直なんです。なんか姉弟のように微笑ましく見えてくるんすよね。ま、かなり歪な関係性ではあるんだけど。

    終盤、一連の物語の謎が明かされるんですが、とても直視できない真相でして… 自分都合で考える人間たちに吐き気がしました。そして終わりには、すっかりレイチェルに魅了されてしまうのです。

    ■ぜっさん推しポイント
    仕事や人間関係など、世の中には様々な問題がある。我々は幸せで正しい人生を歩むために、日々どういう判断をしているのでしょうか。

    時には誤った判断をしてしまい、他人に迷惑をかけることもあるかもしれません。でもそうならないために、世の中には法律やルールというものがある。

    ただ法律と正義、価値観と秩序は違うもので、人それぞれに微妙な隙間があるんです。その隙間を多少なりとも正しく埋めるのが倫理観というやつなんですが… その難しさや不条理さをつぶさに描いたのが本作なんだと思いました。

    • 松子さん
      かしこかしこまりですっ( ̄^ ̄)ゞ

      あっ、あとakiさん、エッセイ進んでますか?
      完成したら読んでみたいですよ♪
      かしこかしこまりですっ( ̄^ ̄)ゞ

      あっ、あとakiさん、エッセイ進んでますか?
      完成したら読んでみたいですよ♪
      2024/08/09
    • autumn522akiさん
      どきっ!
      ま、まだなの(夏休みの宿題みたい

      でもそんなこといっていただけるなんて、ありがたいですmm
      頑張ります~
      どきっ!
      ま、まだなの(夏休みの宿題みたい

      でもそんなこといっていただけるなんて、ありがたいですmm
      頑張ります~
      2024/08/09
    • 松子さん
      夏休みの宿題!笑
      大人の夏休みの宿題、いいですねぇ〜
      楽しみにしてます(^^)
      夏休みの宿題!笑
      大人の夏休みの宿題、いいですねぇ〜
      楽しみにしてます(^^)
      2024/08/09
  • 結構遠くの図書館まで行ってきたのにな〜
    そして結構なボリューム読み終えたのにな〜

    う〜ん

    まず名探偵レイチェルとか言っちゃった時点でかなり詰んでる

    もう名探偵が過ぎて全くついて行けない
    この真相にほぼノーヒントで辿り着くって探偵の域超えてるもん

    しかもやで、ご丁寧に最後にこの部分がヒントになってましたよ集が付いてくる

    これがね、もう、いやいやいやこんなん薄すぎてわからんよ!ってのがほとんどなんよ
    まぁいいですよ
    所詮こちとらぼんくらですからね
    ボンカレーですから
    なんならボンカレーゴールドですから
    はい、ぜんぜん気付きせんでしたー
    もともと気付こうともしてませんでしたけどねー

    でもね、名探偵レイチェル、読者と同じもの見てないのよ
    読者は気付かなかったけど名探偵はちゃんと気付いてました!ってならまだわかるやん?それが名探偵たるゆえんだからね
    でも見てないのよ?見てないでなんで分かんねん!って言うね

    で、もう分かった!ぐだぐだ言わない
    全部裏で調べ付いてたんよね
    名探偵だもんね
    と、全て飲み込んだところで、話の筋自体が大したことないっていう

    はぁ〜
    これ返却するのにまた遠くまで行くのめんどうだな〜

    • ひまわりめろんさん
      みんみん

      愛知県民しか知らんわ!
      みんみん

      愛知県民しか知らんわ!
      2024/11/17
    • yukimisakeさん
      よこすか海軍カレーorゴールデンカレー(バナナを煮込み入れ)の二択です。
      普段行かない図書館ですか?
      よこすか海軍カレーorゴールデンカレー(バナナを煮込み入れ)の二択です。
      普段行かない図書館ですか?
      2024/11/18
    • ひまわりめろんさん
      ユッキー

      以前から何度も言うてますが、結局一番美味いカレーは娘の作ったカレーです

      図書館はとなり街の図書館です
      ユッキー

      以前から何度も言うてますが、結局一番美味いカレーは娘の作ったカレーです

      図書館はとなり街の図書館です
      2024/11/18
  • マーティン・エドワーズのレイチェル・サヴァナクシリーズ第二弾。前作の致命的なネタバレはないけど、やっぱり順番に読んだ方がいいかも。

    理由は不明ながら命を狙われている男を助けようとするレイチェル。一方、絶対に有罪と思われた人物が、高名な軍人の証言により無罪となる判決を直で見たジェイコブ。一見関係のない二人の行動は、秘密のクラブが関係しそうで…

    うーーーーん、面白いのだけど、前作同様、微妙に肌に合わない気がする。。。
    いわゆる黄金期風のスリラー作品。前作はこの前提も伏せられており、ミステリを期待して読んだら呆気にとられ、なんか違うという気分に。
    今作も通称モルグ館に行くのは終盤で、中弛みも激しく。キャラは立ってるから、色々惜しい作品。

  • レイチェル・サヴァナクシリーズ第2作。
    今回も前作同様1930年代イギリスが舞台。やっぱりこの時代の雰囲気に浸れるというのがシリーズの大きな魅力の一つだと思う。

    今作は前作に登場する謎の探偵レイチェル・サヴァナクと新聞記者のジェイコブの他に、新たな謎の女性犯罪学者レオノーラ・ドーベルが登場。殺人事件もたくさん起こるが、自分はいま何を読んでいるのか、どこに着地するつもりなのか分からないモヤモヤしたまま読み進める。

    物語ラスト、名探偵レイチェルが関係者を一堂に集めてご開陳される推理が凄すぎて、若干ついていけなくなったのが残念……。
    本編の終わりには「手がかり探し」と呼ばれる、推理を行ううえでキーとなるセンテンスを著書自ら提示する一覧があり、あくまでフェアであることは示されている。が、これを読み解くのはなかなか難しい。まあ言われればそんなこと書いてあったね、もあるので軽い気持ちで楽しめばよいか。
    サヴァナク家に仕えるメイド マーサとレイチェルとのジェイコブを巡る恋模様?が気になる。今後も刊行されるであろうシリーズは追っていきたい。

  • 登場人物も沢山、内容も複雑に絡み合って、これで果たして解決するのかとドキドキしながら読んだが、杞憂に終わった。レイチェル・サヴァナクと言う女性が探偵ぶりを発揮するイギリスを舞台にしたミステリー。人物のキャラもしっかりしてて、特にレイチェルに使えるトルーマン家の3人と私も友達になりたい程。

  • ヨークシャー北部の古い村、モートメインの岬の突端にあるモルグ館と呼ばれる館。名探偵レイチェル・サヴァナクと新聞記者のジェイコブは、館の主人にして犯罪学者のレオノーラから館で催されるパーティに招待される。殺人を犯しながらも、法で裁かれなかった者たちが集うパーティの真の目的を探るうち、レイチェルが直面する意外な殺人事件とは?

    シリーズ第2作。後半、怒涛の展開にびっくり。

  • 今回も、もつれにもつれた展開。退廃的な雰囲気も相まって読み応えあったのですが、前作のインパクト超えられず、、。普通の話になっちゃった感じです。ラスト、何でこんなこと考えつくかな、とレイチェルの洞察に舌を巻きました。あっぱれではあり、この時代性考えたらこういうことはあるのだと思いますが、モヤっと感は残りますね。巻末に手掛かり探し、なんていう親切設計があり、伏線見落とし民に実に親切。これからも読んでいきますよ!

  • 名探偵(?)レイチェル・サヴァナクのシリーズ第2弾。
    モルグ館で行われるパーティにレイチェルが招待されるが、他の招待客は「殺人事件の容疑者だったが無罪放免になった人」だった、というストーリーだが、モルグ館でのパーティは物語終盤で、それまでは過去の殺人事件の状況説明。
    前作と同様、レイチェルの推理が一足飛びな印象。

  • モートメイン岬の突端にある館に招かれた客人たち。彼らはすべて、殺人を犯したとされながらも法の下では無罪だった人物だった。招待者の犯罪学者・レオノーラはレイチェル・サヴァナクも含め、彼らの全員が完全犯罪を成し遂げたのだと確信していたが、そこでさらなる事件が起こることになる。「処刑台広場の女」に続くミステリです。
    メインあらすじに入る前にもさまざまな事件が描かれます。だけどそれらがどう繋がるのか、というかその裏で何が動いているのかもなかなか分からず、全容が掴めません。そして事件に巻き込まれ首を突っ込むジェイコブの危うさったら! 不気味でスリリングな読み心地でした。
    巻末の「手がかり探し」に舌を巻きます。どこが伏線だったのかがきちんと解説されているのだけれど、半分も気づかなかったかも、これ。

  • 死刑判決をすんでのところで回避した3人の「容疑者」を自らの館に招き、完全犯罪の話をしようと持ちかける犯罪学者や、警察も手を出せない怪しげなクラブの存在など、好奇心唆られる物語が繰り広げられてて楽しかった

    ただ、メインのパーティの描写がマジで終盤だから、あらすじ見て気になった人は焦らされた感じになるかも
    前の部分がメインじゃないとはいえ、「チェーホフの銃」のメタファーの通り不要な部分では全然ないしちゃんと面白いから、そっちも読むべし

全25件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

Martin Edwards (1955~ )イギリスのミステリ作家・評論家。約20冊の長編、50編以上の短編を発表、英国推理作家協会(CWA)の最優秀短編賞を受賞した。多数のアンソロジーを編纂し、英国国立図書館の〈古典ミステリ〉シリーズの監修など、精力的に活動している。現在、ディテクション・クラブ会長および英国推理作家協会会長。

「2018年 『探偵小説の黄金時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

マーティン・エドワーズの作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×