引き潮のとき (第1巻)

  • 早川書房 (1988年3月4日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (408ページ) / ISBN・EAN: 9784152033444

感想・レビュー・書評

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  • 日本のSF作家の中で誰が一番好きか?と聞かれたら、私は迷わず彼の名前をあげます。
    中学の頃、少ない小遣いで、毎月一冊づつ集めたグリーンの背表紙が、本棚の1列を埋めていくのを見るのは、本当にワクワクしました。

    当時読んだ本がすでに無くなっているので、新しく出たらしいものを探して、続き物は1巻目だけの登録にしていますが、多分眉村さんの作品は9割は読んでいるはず。

    この作品は彼の代表作にあたる作品だと思っていますが、司政官シリーズの中でもかなり読み応えのある作品です。
    宇宙に飛び出した人類の活劇は世界にたくさんありますが、活劇ばかりが宇宙への進出じゃない。それをこういう風に書くのが日本のSFなんだよと、語ってしまったことがあります。
    今でもその気持ちはあまり変化がありません。
    こういう書き方は、日本人の気質にあってると思います。

  • 司政官シリーズの中でも最大作。「華竜の宴」を読んでこのシリーズが思い起こされ、古本屋から探し出してとっておいた本作に遂に着手。

    様々な植民惑星に派遣された司政官達が遭遇する困難にどのように立ち向かっていくかを描くシリーズです。植民されたばかりの星での原住民とのトラブルに対処したり、超新星化する恒星を廻る惑星から数億の住人を退避させるなか、理解を得るために板挟みにあって苦労する、いわば役人SFなのです。部下の官僚は全員ロボットという実に合理化が進んだ組織の孤独な存在。

    今回はさらに厳しいシチュエーション。なんと自分の出身惑星に赴任させられ、内紛を起こさせて疲弊させ連邦への反抗をおさえこもうというミッション。もうこちらが飲まずにはいられないです。
    こんなやり切れない仕事をこなしていく姿を地味にみっちりと描いていくのですが、その長さが苦にならないのはなぜ?

    またまだ先は長いぞ、ガンバレ、キタ司政官!

  • 眉村卓さんの司政官シリーズ最大の大作です。
    司政制度が衰退してきた時代、キタ・PPK4・カノ=ビアは、出身惑星タトラデンの司政官に任命されました。
    異例の抜擢の理由は、将来連邦の脅威となりかねないタトラデンを中心とした星系のブロック化を阻止するためでした。
    そのためタトラデンを知るキタが選ばれたのです。
    本来、植民惑星を統治する司政官が、そこに混乱をもたらすために派遣されるという設定が面白いです。そのため司政官の一番の協力者であるロボット官僚のSQ1さえも、全面的な味方ではないところも面白いですね。

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著者プロフィール

1934 - 2019。SF作家。1979年に『消滅の光輪』で泉鏡花文学賞および星雲賞を受賞。また1987年に『夕焼けの回転木馬』で日本文芸大賞を受賞。代表作にジュブナイルSFの名作といわれる『なぞの転校生』『ねらわれた学園』などがある。

「2023年 『不思議の国の猫たち』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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