アルジャーノンに花束を

制作 : 小尾 芙佐 
  • 早川書房
4.05
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本棚登録 : 4158
レビュー : 621
  • Amazon.co.jp ・本 (325ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152033932

作品紹介・あらすじ

32歳になっても、幼児の知能しかないチャーリイ・ゴードンの人生は、罵詈雑言と嘲笑に満ちていた。昼間はパン屋でこき使われ、夜は精薄者センターで頭の痛くなる勉強の毎日。そんなある日、彼に夢のような話が舞いこんだ。大学の偉い先生が、頭をよくしてくれるというのだ。願ってもないこの申し出に飛びついたチャーリイを待っていた連日の苛酷な検査。検査の競争相手は、アルジャーノンと呼ばれる白ネズミだ。脳外科手術で超知能をもつようになったアルジャーノンに、チャーリイは奇妙な親近感を抱きはじめる。やがて、脳外科手術を受けたチャーリイに新しい世界が開かれた。だが、その世界は、何も知らなかった以前の状態より決してすばらしいとは言えなかった。今や超知能をもつ天才に変貌したチャーリイにも解決しがたいさまざまな問題が待ちうけていたのだ。友情と愛情、悲しみと憎しみ、性、科学とヒューマニズム、人生の哀歓を、繊細な感性で描きだす感動の1966年度ネビュラ賞長篇部門受賞作。

感想・レビュー・書評

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  • 高校時代、友達から借りて、途中から涙が止まらなくなって
    ページにぽたぽた涙を落とすまいと、不自然な姿勢で読み続け
    腕が筋肉痛になった、忘れられない本。

    ひらがなばかりで、しかも誤字脱字だらけの文章が
    どんどん洗練された文体になっていく前半が
    目の前の霧がすうっと晴れるように、
    あらゆるものから知識を吸収していく喜びにあふれているだけに、
    驚異的に高まったIQで自分の脳が急激に退化していくことを知ってからの
    ぽつぽつと誤字が増え始め、難しい言い回しも減って
    たどたどしいひらがなの短文に戻っていく、その過程が哀しい。。。

    知能が高くなることが本当に人間にとって幸福なのか
    医学はどこまで人間の脳に踏み込んでも許されるのか
    泣きながら考えさせられた1冊です。

    • まろんさん
      おお!涙と鼻水の同志よ!(←今日2回目)

      中学の頃におこづかいで買って読破したなんてすごい!さすがだなぁ!

      私も、映画観ました。
      私の場...
      おお!涙と鼻水の同志よ!(←今日2回目)

      中学の頃におこづかいで買って読破したなんてすごい!さすがだなぁ!

      私も、映画観ました。
      私の場合は本が先で、それから映画だったので、観る前は
      「どうしてタイトルが『アルジャーノンに花束を』じゃないんだろ~?いいタイトルなのに!」とひとりでぷりぷりしてましたが
      映画は、チャーリイの心の成長と恋を軸に描かれてたので、観たあと、泣きながら
      「タイトルにケチつけてごめんなさい~」と、心の中で謝りました。

      今でも、「海外の作品でおすすめの本は?」と訊かれると、真っ先にこの本を薦めます!
      2012/05/14
  • 1年も経たない間のお話だけど、
    この主人公にとったらあまりにも短すぎる違った自分。
    あれで良かったのか、どうなのか・・・

    32歳になっても幼児の知能しかないチャーリーは、
    大学の研究の為に脳の手術を受ける。
    同じように手を加えられたネズミのアルジャーノンと一緒に、
    検査を受ける毎日。
    手術は成功してチャーリーは天才に変貌していく・・・
    急に難しい本でも理解出来るようになるし、
    いろんな国の言葉も理解出来るようになる。
    大学教授より優秀になっていってしまう・・・
    頭は良くなっても精神的なものはついて行けず、
    いつの間にか1人ぼっちに・・・
    女性を愛する事も覚えるが、重大な事に気付く。
    「人為的に誘発された知能は、その増大量に比例する速度で低下する」
    あっという間に優秀になった彼は、
    その記憶を忘れたくないと願いながら、
    日々昔の状態に戻っていってしまう。

    最後の数日間の記録は泣けます。

  • あらすじがあまりにしんどそう+実写ドラマのCMからメロドラマの印象がついていたことから今まで読んでいなかったのだけど、ふと気が向いて読んだ。
    甘ったるいお涙ものでは全くなく、感傷に溺れずに書かれた物語だった。
    それだけに、ラスト一行で胸の中で破裂するものが大きい。
    これはもう…!
    読み終わるとタイトルだけで胸が詰まる。
    気が向いて良かったなぁ…読んで良かった。

  •  ダニエル・キイスの最高傑作として名高く、ハヤカワSF文庫のオールタイムベストにもランクインし、映画化もされ、「感動の名作」などというコピーが必ずついてまわるこの作品は、根本的に誤解されていると思う。
     一言で言えば、この作品は完璧な差別小説である。
     その差別があまりにも完璧なので、読者のみならずおそらくは作者もそのことに気づいていない。この作品に涙する読者は、自分が属している差別空間に疑問すら抱いていない。
     差別というのはむろん精神薄弱者に対する差別である。
     キイスはこう言いたいのだろう。人間の幸不幸は頭のよしあしで決まるものではないのだと。読者も「そうだそうだ」とうなずいて涙しているのだろう。しかし「そうだそうだ」とうなずいているのは、うなずくことができるのは、少なくともこの作品を読める程度の知能指数を持っている読者だけである。主役である精神薄弱者たちははじめから客席からは排除されている。
     主人公チャーリィ・ゴードンの手記という形式で進行する本書のクライマックスは、チャーリィの頭脳が再び崩壊し支離滅裂な文章を書き始めるそのエンディングにあるだろう。読者はそれを読んで涙する。おそらくは哀れんで。どうしてそれが差別ではないのか。読者も著者も知性の高みから精神薄弱者の哀れを見下ろし、涙している自分に満足して彼らに背を向ける。それは背筋が冷たくなるほど残酷な光景だが、上にいる者はそのことに気づかず、下にいる者にはその光景が見えない。
     この作品の持つ禍々しさにだれも気づいていないという事実がいちばん禍々しい。被差別者を排除しつつ感動の名作として絶賛され続けている不思議な(そして不気味な)作品である。

  • 約20年ぶりに再読。知的障害あるチャーリイが、科学者たちの手術によって飛躍的に知能を向上させ、天才の域まで達するのだが、思いがけない苦悩が彼を待ち受けていた。チャーリイが綴ったおよそ8ヶ月間の「経過報告」によって全体が構成されている。発表されてから46年が経っているとは思えないほど、新鮮で気持ちが揺り動かされる作品。結末を知っている分、なおさら読み進むのが辛く感じられた。科学って、時に残酷。幸福をもたらすばかりではない。

  • 高校生の時、図書館で3回借りて
    とうとう購入した本。
    初めて、本を読んだ後にしばらく放心状態になりました。あ、この最後の一行のために、長いお話を読んできたのだ、と。

  • 知能が上がれば,人生が幸せになるというわけではない。
    だけど,逆に言い換えると,物語の終盤で,知能が後退してしまったチャーリィは,全てを失ったわけではないと思う。
    ほんのわずかな間だったけれど,普通の人よりも沢山のことを学び,感じ,考え,自分の人生というものを悟った彼の心は,以前のそれとは違う,はるかに素晴らしいものへと成長したに違いない。それは,最後の『経過報告』からも,しっかりと感じとることができた。
    私はこの物語はハッピーエンドだと思う。

    この歳(20代後半)になって,ようやくこの本を開くことができました。本当にすばらしい作品です。

  • 知的障害により32歳になっても子どもの知能しかない主人公が、脳の手術を受けて知能を発達させていき…。主人公の報告書形式で物語が進むので、知能の変化に応じて文章にも変化が現れる。本筋としてはSFなのだが、障害者に対する目や行動など、ノンフィクション的におもえる要素のほうが心に残る。

  • 失っていくことは怖い。
    例えそれが、元の自分に戻ることだとしても。
    知ってしまったら、気づいてしまったら、きっと同じようには生きられない。
    長い人生の中で一生をかけて学ぶことを、急速に吸収したチャーリーの顛末。
    なぜこんなにも切ないのか。
    間違っていたのは誰なのか。
    退行していくことに抗えないもどかしさと、確かな恐怖。
    残された時間はわずかしかないとわかっていながら、受け身にしかなれない身体。
    どんなに愛しても離れていく人。
    それでも変わらないものは何だったのか?


    パン屋の仲間たちの優しさ、大好きな「キニアン先生」、そして、庭に眠る親友のアルジャーノン。

    彼が忘れないことを、祈って。

  • 少しずつ読むつもりが一気に読んでしまった。

    自分の行く末を知ってから最後までの経過報告が辛い。
    結局の所、知識があるかないかは人生にとって問題ではないのではないかと思いつつ、チャーリーにとって人を愛したり、家族の思いを知ることができたのは大きいようにも思う。

    でも、それはあまりにも急すぎた様に感じる…不自然な知能の習得は、本人に大きな苦悩を与える。本当の幸せ、望みとは何だったのかを問わせられる。科学が簡単に人を変えることの怖さを感じずにはいられない。アルジャーノン同様、知能を得たチャーリーは死んだも同然なのではないだろうか…最後の“ついしん”で花束を置いておくことをお願いするところが切なすぎる。

    …そして、私たちは知らないといけない。人が優越感を得るために、人を見下す心を持ってしまっていることを。これは、仕方がないことかもしれない。でも、見下された人間がどれだけ悲しい思いをしているのか知ることで、それは制御できるのじゃないかな。それをこの小説で知ることができると思った。

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