五番目のサリー

制作 : 小尾 芙佐 
  • 早川書房
3.41
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本棚登録 : 369
レビュー : 35
  • Amazon.co.jp ・本 (429ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152034762

作品紹介・あらすじ

茶色の目と髪、いつも地味な服を着ているサリー・ポーターは、ニューヨークで働くごく平凡なウエイトレス。だが、彼女には人に言えない悩みがあった。子供のときから、ときどき記憶喪失におちいるのである。それが原因で仕事も長続きせず、結婚も破局をむかえた。じつはサリーの心のなかには、あと四つの人格がすんでいたのだ-。サリーに起こったことはなんでも知っているブロンドで青い目の楽天家デリー、長い黒髪の教養あふれる画家のノラ、赤毛でいつも厚化粧、歌やダンスが得意で女優志望のベラ、すべての男を憎んでいる乱暴者、黒い服しか着ないジンクス。サリーは自分に耐えられない事件にでくわすと、無意識のうちにこの四つの人格にスイッチしてしまう。それがサリーの記憶喪失の原因だったのだ。ある事件のため、病院に運びこまれたサリーは長年にわたる記憶喪失の悩みをついにうちあけ、精神科医ロジャーの治療を受けるのだが…。ネビュラ賞受賞作『アルジューノンに花束を』であらゆる読者を魅了したキイスが、五重人格のサリー・ポーターの心の軌跡を鮮やかに描く傑作長篇。

感想・レビュー・書評

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  • ビリーミリガンよりもこっちの方を先に読むべきだと思う。小説なので裁判関係の話題がなく頭からケツまで主人公の精神描写にのめりこめる。

  • この作品は、多重人格を主題にしたミステリー小説になっています。

  • 多重人格を扱った話であるが、私はこれを読み、彼女達五人すべてに共感した。それは何故かと鑑みると、人は困難や苦痛に直面したときに誰しもそれを乗り越える為に、違う顔を持つ自分を心のなかで想像し、彼彼女ならどうするかと思考して乗り越えようとするものではないかと思うからである。この後の五番目のサリーの前途が気になる。

  • '97.5読了。

  • 多重人格者の物語を読むのは初めてである。サリーが本当の人格であるが、他の4人の人格に支配され、度々記憶を失う事に恐怖を覚える。

  • 五重人格に悩む女性サリー。
    普段は地味で平凡だが、記憶喪失にたびたびおちいる。

    彼女の知らない間に、性格の異なった4人の女性が、
    勝手に彼女の人生に入り込んでくる。
    その事は、まったくサリーの記憶には残らない。

    楽天家のデリー、教養溢れる画家のノラ、
    歌やダンスが得意なベラ、誰の手にもおえない乱暴者のジンクス。

    結果、精神科医の手で彼女たちは1人ずつ統合されていく。

    まったく知らない間に、自分の体で勝手な事をされるってどういう感じだろう。

    でも、人格が変わるって訳ではないけど、
    人は、自分の中にいろんな感情があるし、
    この4人はその意識があまりにも強く浮き出してしまったのだろうか。

    自分が正常だと思っていても、やっぱりちょっと悪い面もあったりするし、
    こう出来たらいいな~って想像する事だってあるし。
    自分じゃ知らない一面を、他者が感じとってくれたりするし。

    人という存在は、解明出来ない事が沢山あるんだろうな。

  • ダニエル・キイスといえば「アルジャーノンに花束を」が有名だしとてもよい作品だと思っていたので、これもいつか読もうと思っていたもの。この本はD・キイスが書いた初めての多重人格者についての小説だと思う。以前「24人のビリー・ミリガン」を読んでいたので、この小説はその人格がなぜ出てきたのか、という点や、一人ずつ統合と言うのか、融合されていくところが案外と簡単であっさりしていて、あまり多重人格者の苦しみのようなものまでは描ききれていない気もする。むしろ、多重人格というのがどういうものであるのかといったところでは入りやすい作品かもしれない。5人の性格ももう少し細かい描写があってもよかったかな。5番目・・つまり最後に統合されてひとつになったサリーの行く末はわからない。この話では行きつ戻りつと行ったところがないので、充足感があまり得られなかった。この作者のものならやはり、実話が元になっている「24人のビリー・ミリガン」と「ビリー・ミリガンと23の棺」のほうをお薦めする。訳も「ビリー・・・」のほうが読みやすい。

  • 多重人格な女性のお話です。
    「読んだことない」と思ってたけど、読んでいくうちに「あれ?これ読んだことある」って思い出した。すっかり内容忘れるね~。

    『アルジャーノン~~』はね~、私としてはそんなに良いとは思えなかったんだよね。
    これも、読後感がよくなる話ではない。
    多重人格っていう病気は、なんか傍から見てると嘘っぽく見えるんだけど、本当にある話で信じられるよ。でもなんか未知の世界過ぎて、共感するものが少ない。。。。

    一人のある人格が出現してる間、本当の自分の記憶がなくなる。
    ってすごい怖いよね~。
    この4つの人格を一つ一つ、憑き物落としのように融合させていくところは見事。
    で、最後の凶暴な人格を融合させるところが、なんと人間の根源に潜む太古からの人格で。。。
    っていうこの理屈・理論が、なんか「?」って感じなのよ。
    んん~~~。読んでて、ああそうやってそういう人格が出来てたのか。
    と理解は出来るけど、それでそうやって融合されちゃうとこがなんか納得いかない。

    これってノンフィクションなのかな~???
    こんなに上手く結論を結ぶことが出来るか~~?
    って、そこんとこ疑問に思ったわ。

    でも、このダニエル・キイスの作品は面白いものがたくさんあるので、いろいろと読んでみたい。

  • みんないなくなっちゃった


     サリー・ポーターは地味で平凡な娘、らしいです。平凡って書かれてますけど、幼少の頃からたびたび記憶喪失に陥って、仕事も結婚生活も長くは続かなくてあちこち転々としてきたのだから、波乱万丈な人生を送っているような気もしなくもないんですけどね……?
     実は、五重人格! サリー自身としてのキャラが薄いために、記憶をなくしている間に他の人格が表に出ていたとのこと。やっぱり波乱万丈じゃない? それを、精神科医の治療を受けて人格を一つに統合するまでの過程を綴った小説がこちらです。

     人格が入れ替わる現象は何となく想像がつきますが、この小説で不思議なのは容姿までも変えて現れるところでしょう。サリー自身は目も髪も茶色。それが、明るいデリーは青い瞳に金髪、絵描きのノラは豊かで落ち着いた雰囲気の黒髪。ベラは厚化粧に赤毛、ジンクスは黒い服ばかり着る等、人格に応じてカラーが決まっていて、外見も別人になるのです。
     ……なんで? 実は私、まだ飲みこめておりませんが……、分かりやすさを産んでいるのは確かです。各々の人格が織り成すドラマは見た目にも色分けされた上で、しっかりときめ細かに、プロの作家らしい筆致で描きこまれています。

     一見地味なサリーが、たくさんの引き出しを持っていることの証明のようにも受け取れました。
     サリーの心が壊れそうになる時、様々なかたちをとりつつも結局はサポートしてきた、四つの人格。病的な状態からは脱したけれど完璧に消し去られたのではなくて、サリーはまたいつか、デリー的な自分、ベラっぽくふるまう自分に会えるのではないでしょうか。
     そういう風に解釈する方が好きなのですが、おそらくダニエル・キイスが書いたのはそういう話ではないのでしょう。一人、また一人と『そして誰もいなくなった』をしていたようなイメージが……。

    『アルジャーノンに花束を』が有名すぎること、『24人のビリー・ミリガン』の24人という人数(?)が強烈すぎることから、この作家の小説の中では少し地味なポジションにあるのが、サリー・ポーターの性格とシンクロしていますね。でも、キイス著作の中からもし一作選ぶなら、私はこれだなと思ってます。

  • ダニエル・キイス初チャレンジ!多重人格でした。やはり、な。
    当時の時代背景はわからないけれど、現在は日本でも多重人格(解離性障害)は流行っています。ひとつの資料として読めると思います。

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