- Amazon.co.jp ・本 (157ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152035448
感想・レビュー・書評
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読んだあとから、細部を反芻してじわじわっとする話だった。短いながら、ゆっくり読むのがふさわしいような。物語のあらすじよりは、音楽とは何か、何のためにあるのか、をしばしば考えさせられる。答えは小説内で語られ、表現されていても、それはサンド・コロンブ氏の考えであって、ひとつの正解を導き得ることは到底できないだろうが、少なくとも彼の答えから大きく外れては、音楽の恩恵にあずかることはできないだろう、と思われた。感動ではないけれど、じんわりする本だった。
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こちらのバージョンが図書館であったので。
文体も読みやすく、ページ数も少なく苦労なく読む事のできる本。
しかしながら、主人公の音楽への向き合い方等後で考えされられる作品 -
17世紀仏蘭西、ヴィオールを弾く男の物語。サント・コロンブ氏の不器用ながらも音楽に真摯で妻への愛を謳う姿に心を打たれた。キニャールらしい無駄の無い簡潔な文章がまたサント・コロンブ氏の素朴さと相まって良い。ラストは本当に美しいと思った。
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読んだはずなのに登録していなかった。また読もう。
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時の経過や17世紀の生活が、美しく繊細に彩られた物語だった。
読後いまだ脳内にあるのは、静謐な室内で響いているヴィオールの低音(かは聴いたことが無いので知らないが想像)と一人の天才の愛するが故の無念の悲しみ。そしてどういうわけか、常に夜を重ねてしまう。闇の中に浮かぶろうそくの火の揺らめきが、悲しみだったり音だったりを彷彿させるのだと思う。官能的描写も美しいのだが、それはこの小説において昼を思わせる気がする。 -
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