恥 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房 (1989年9月27日発売)
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本 ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784152076694

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  • パキスタンの現代史を彩るスキャンダラスな権力闘争に枠組みを借りた小説(訳者あとがきより)。文化も風習も繰り広げられる凄惨な出来事も登場人物も、全てに馴染みがないし、感情も共感できることが極端に少ないのに引き込まれてしまった。女性が恨みと怒りを人生の中心に据えて生き抜く姿は痛ましくて逞しい。『恥ーシェイム』を持たない人は一人も出てこないのに、個性的すぎる恥の持ち主しか出てこないところが共感を遠ざけてくれて小説として楽しめた。中東の歴史や価値観を知った上で読むと違う感想になりそう。

  • なんともスケールのでかいおとぎ話のような、でもパキスタンの政治形態を風刺したような作品でした。三人の魔女と呼ばれた不気味な三姉妹の息子として生まれたオマル・カイヤーム、恥を感じた時におびただしい熱を発するスーフィア・ゼノビアなどどこか異国のおとぎ話に出てきそうなキャラクターが出てくるその他方で実在の人物毛沢東が出てきたりパキスタンがインドから独立するなどの史実があったり……フィクションとノンフィクションが入り交じっているのだけれどそれが不自然じゃないのがすごい。広大なお話なのだけど語り手である作者がガイドしながら物語の中に連れて行ってくれるような構造となっておりそれがすごく読みやすい。だから大河ドラマなので最初から最後までだらだら話が続くのじゃなくタイムシフトの技巧でもって急に未来の描写になったりするので「なんでこういう風になったん?」と因果関係を気にしながら読めるのが良いのです。

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