悪童日記 (Hayakawa Novels)

制作 : Agota Kristof  堀 茂樹 
  • 早川書房 (1991年1月発売)
3.95
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  • レビュー :225
  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152077042

作品紹介

双子の天才少年がみた非情の現実、戦火のなかで彼らはしたたかに生き抜いた。女性亡命作家、衝撃のデビュー作。東欧からの新しい風。

悪童日記 (Hayakawa Novels)の感想・レビュー・書評

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  • 初めましての作家さん。
    第二次大戦下、魔女と呼ばれる祖母の元に疎開した双子。
    子供が子供の理解力と自分たちが作り上げた基準の中で
    祖母の意地悪に耐え、ひもじさに耐え、学び、知恵を身に着け
    理不尽を受け入れ、愛情をそぎ落とし、冷静に観察し
    自らを鍛え上げ麻痺させ非情に生き抜く様を
    余計な感情をそぎ落として淡々と綴られる。
    これ3部作とのことですが、絶対に続編を読みたくなるよね?
    絶対に全部読んでやる!!

  • 「髪に受けた愛撫だけは、捨てることができない。」

    二人の子供は何もかも捨ててしまう。はじめは殴られた痛みを感じる体の弱さを。そして優しい言葉を感じる心の弱さを。
    訓練された軍人のように何も感じず、冷酷に思考し、行動する。心を表現する言葉も「曖昧なもの」を切り捨て、事実だけを記録し、伝達する手段として使用する。
    ...戦時下で生きるために。

    乞食の訓練で受けた施しを二人は捨ててしまうが、「何も与えるものがないから」といって髪を撫でてもらった「事実」と、それを捨てることはできないという「事実」を記録する。そのことをどう思ったかは記録しない。

    どう思ったのだろうか。素直に嬉しかったのか、それとも「心を動かされた」ことを疎ましく感じたのか。何も感じなければ書き残す必要もない一文があることで、読み手の想像力がかきたてられる。

    ...「感情のない双子」から連想される作品として、Monsterのヨハンとアンナや、ブラックラグーンのヘンゼルとグレーテルがあげられていたが、自分はベルセルクのセルピコ(とファルネーゼ。双子ではないが)が浮かんだ。

  • 10年振りくらいの再読。5日間くらいで3冊よんだー。
    この三部作も何年かおきに読みたくなって、そのたびに読んだカンジが変わっていく本。

    舞台は多分第二次大戦中のハンガリー。
    戦争によって逆境におかれた双子の少年達の物語……なんだけど、ちょっとまって、評価と感想は3冊読んでからにして! と強く申し上げます。
    『悪童日記』『ふたりの証拠』『第三の嘘』。どうぞよろしく。

  • 戦争下の日々を生き延びるために、双子は世界との距離をとる。性は二人の目を通すと淡々として暴力性を帯びて見えた。あと二作の続編も読まないとちゃんとした世界は分からない感じだ。

  • 再読。なにげに本棚から手にとってぱらぱらページを開いたら知らず知らずのうち没入。一気に読み切ってしまった。冷たい鋭利なナイフの切先ような空気感にぞくぞく鳥肌が。もうこうなったら二部三部と読み進めるしかないぞよ。

  • ≪内容覚書≫
    戦争中。
    生活が苦しくなった母は、祖母の家に双子を預ける。
    けちな祖母との暮らしの中で、
    双子が村人や平地と関わりながら、
    たくましく生き抜いて行く様子を、
    彼らの日記形式で描いた小説。

    続編有り。


    ≪感想≫
    「悪童」となっているが、
    双子には「悪」の概念がないと感じた。
    というより、善もない。
    双子は目の前で起きたことに対して、
    倫理的な感情は持っていない。
    自分たちがどう感じ、どう対処していくか。
    善悪を気にすることなく、
    実に正直に、彼らの日記として、
    平易な文章で語られていく。
    その文面が面白くもあるが、それ以上に怖くもある。

    これが「戦争」か、と思ってしまった。
    人殺しは「悪」。してはいけないこと。
    でも、戦時中は、平気で殺す。
    してはいけないことの「悪」の概念が消える。
    そうすれば対極にある必然的に「善」も消える。
    戦時中に生まれ、育っていくこどもだからこその視点。
    善悪を教えられた大人の視点では、こうはならない。

    加えて、善なのか悪なのか、はっきりしない個性のせいで、
    感情が書かれていたとしても、
    演技なのか真実なのか見抜きにくい。
    行間を読む楽しさのある小説になっていると思った。
    どういう意図で発言したんだろう、と、
    いくらでも深読みしていける。
    そういう、いわば妄想を楽しめる人にとっては、
    大変いい素材となる小説だと思う。

    続編もいずれ読みたいと思えた。

  • はるか昔、若かりし頃に面白いよ!と友人に勧められて漸く読んだ。
    うん。面白い。面白かったんだけど。
    何ていうか、これは面白い本。じゃないね。
    泣ける本。だね。
    これは私が年を取ったから?

  • 病みきった世界を『純粋な子供』の視点で述べてあって興味深かった。

    子供にはどうすることもできない過酷な状況の中、
    驚くべき方法で『残酷さ』と言う生きる術を実践していく、
    一個体のように書かれている双子のタフさ…。

    痛みに耐える鍛錬の章で、少しときめいてしまった。
    私がMでショタコンな所為なのか(笑) 共感もできたしね?

    特に『兎っ子』の結末は衝撃的だった。

    幸せな人なんて存在しないように見えて、
    でも心に愛を持つ人がたくさんいて、
    それでもみんな死んでいく様は、
    読んでる私もが空虚な気持ちになった。

    続編も読みたいです。探さなければ…!

  • これは、すごい。
    感傷を排した文章で語られる物語の現実に圧倒される。とても客観的な文体なのに、あまりに苦しく重くてやりきれない。

  • 贅肉をそぎ落としたような淡々とした文章で、壮絶なことを語り、ぞくりとさせてくれるような作品はもはや珍しいものではないと思うけど、これに比べたらそういうものの多くの底の浅さが見えてしまうほど、まさに「極限に乾いた筆致で読者の胸をえぐる文学」というジャンルでもあればその頂点に君臨してしまうのではないかと思われるアゴタ・クリストフ女史の、一文字たりとも無駄のない小説。「悪童日記」だけでも十分すごいのに、三部作をすべて読み終えてからまたこの一作目を読み返してみると、埋もれていた真実の前に、途方もない孤独を感じさせられてさらに驚愕。
    これが十分な教育を受けた事もないままに異国に亡命してきた作者が、母国語ではない言葉で生み出したものだとは…。

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