ふたりの証拠 (Hayakawa Novels)

制作 : 堀 茂樹 
  • 早川書房
3.83
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本棚登録 : 433
レビュー : 56
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152077295

感想・レビュー・書評

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  • 悪童日記続編。おばあちゃんの家に残った方のお話。リュカという名前で登場。他の人物も名前ありで登場。全然悪童日記と違う感じ。いつ出てくるかとわくわくしてた、片割れのクラウスは最後の方にちょこっと出てくる。つーか、これを第3作目の「第三の嘘」を読んだ後で書いてるから、全然思い出せないというかリアル感がない。あー、その都度感想書いてれば良かった。

  • 衝撃的な前作の文章と終わり方から、読まずにはいられなかった今作。
    悪童日記より温度が感じられ、双子の名前も明かされる。
    しかし相変わらず過激だ。
    戦争の陰に囚われたままの人々の生活は薄暗い秘密が多い。
    愛のありかた、捉え方、かたちについて考えさせられた。
    そしてまたも最後に「え!?」となり次回作も読まずにいられない。

  • アゴタ・クリストフ追悼読書の1。悪童日記の​続編。

    表裏一体だった双子が別れ別れになって、一人の人間として認識され、固有名で呼ばれる。一人になったからなのか、生活に余裕ができたからなのか、他者のための行為もちらほら見えるけど、それが本当に他人のためか、それとも自分のためか、どちらなのかはっきりしない。人間らしい感情も。

    だから、7章まではいろいろな自分なりの納得が積み重なってきたのに、最後の最後でとんでもない謎の中に投げ込まれてしまった。。気になる。めちゃめちゃ気になる。「大きな帳面」が彼らの存在の「証拠」ではないとしたら、そこに隠れている「嘘」ってなに・・・?

    更に​続編「第三の嘘」に続く。

  • 「悪童日記」の続編。
    おばあちゃんの家に戻ったリュカのお話。

    戦争によるいろんな哀しみとか、
    戦争が無くても日常的にある膿んだ感情とか、
    人間関係における愛憎の書き方が、

    なんだかすごいなと思った。

    そして、衝撃的なことを、
    淡々とすっと書かれてしまうので、
    その瞬間に感じる戦慄にびっくりした。

    これを記すことで、作者が何を伝えたいのか、
    あたしにはまだおぼろげにしかわからないので、
    三作目も読んでみます。

  • <あらすじ>
     国境の小さな町に暮らすリュカ少年。彼は双子の兄弟クラウスが帰って来るのを待っていた。リュカの物語が途切れたところから30年ほど後、クラウスが町にやって来る。

    <ひとことコメント>
     三部作の第2弾です。「悪童日記」のラストシーンからそのまま引き続いて物語が展開されていきます(もちろん、まったく別の物語としてこれだけ単独で読むことも可能)。
    原題“La Preuve” ※文庫有り

  • 悪童日記の続編。

  • 「これでもう彼女も灰の山でしかないね」

  • 『悪童日記』の双子の片割れリュカの話。
    最後あたりは、えーーー!!て。


    リュカのアイデンティティの拡散は、当時の中欧のアイデンティティ拡散そのものであり、
    リュカの行き場のない孤独は、当時の中欧の孤独そのものなのかもしれない。

  • 「恩赦とか、奇蹟とかを彼が期待していたかどうか、それは私にはわからない。彼が遺言を書き、署名した日、あの日彼がすでに現実を直視していたことは間違いない。最後の夜、彼は私にこう言ったよ。"私は、自分がもうすぐ死ぬと知ってはいるよ、ぺテール、だけど理解できないんだよ。一つの死体、姉の死体だけですむところに、二つ目の死体、私の死体が出るわけだよね。でもいったい誰が、二つ目の死体を必要としているんだい? 神かとは思ってはみるけれど、そんなはずはない。"」

    三部作の一作目と、これ程違う手触りでありながら、背後で鳴りつづけている音が共通する。それは低い低い音の連なりであることが解る。いやむしろ、その低い調べがなかったとしたら、いくら二つの本の間に物語としての継続があったとしても、到底この二冊を「正-続」という関係では捉えきれなかったかも知れない。それ程に、まるで別人が書いたかと思えるほどに二つの本の手触りは異なっている。

    あれ程徹底して伏せられていた双子の名前は、あっけなく明かされる。その二つの名前、LucasとClausというアナグラムは、二人の人物の肉体が実は一つなのではないかという疑念を、当然のように突きつける。言ってみれば、この続編は、一冊目で生まれ燻ぶり続けていたその疑念をどこまでも追いつづける本であると言ってもよい。

    細切れの断片からなっていた一冊目とは対照的に、驚くほど物語らしさを得た双子の話は、だがしかし、一つ一つの文章のかたまりは長くなったもの、どこかしら前後の断ち切られた断片めいたところが、やはりある。それはエピソードを繋ぐべき感情の起伏の欠落がこの二冊目でも相変わらず意図的に埋められていないからだろう。

    喪失もやはり次々と起こる。だが、出会いそして残るものも多くある。形あるものが主人公の回りに堆積し、彼の身の回りは徐々にしっかりとした手応えのあるもので固められてゆく。にもかかわらず主人公はその固い殻からするりと抜け落ち、彷徨いつづける。決して一つ所にはとどまれない定めの下に生まれついているかのように。

    物語性が表に出てきたところで(そもそも文体からして一人称の語りから三人称に変更されている)、逆に一冊目にはしばしば見られたような、シニカルだがしっかりと社会を人生を見つめて、ある種の正義として掴みとったような警句はめっきりと少なくなる。しかし、所々にその欠けらは転がっている。その欠けらの鋭い欠け口に伸ばした指先がざっくりと切りつけられる。

    そもそも一冊目では戦争ということが全体に塗されていたので勘違いしていたのだ、ということに、徐々に思いが至る。警句の発信が戦争の被害者からのものであると盲目的に思っていたのだが、終戦後にもつづくその視線の冷たさは、差別、ということに対するそれなのだということに気付かされるのだ。人種、出生、身体、様々なことに差別はまつわり付いてくる。それに対する警句が、なんの警告もなしに藁の中に隠されたガラスの破片のように仕込まれている。何気なく藁を掴もうとする手にも容赦なくその鋭さは突き刺さる。

    それこそがまさに一冊目から終始低い音で鳴りつづけていたテーマなのでは? それに気付いてみると、死は常に差別されるものの側にのみ与えられていることにも気付く。であるとすれば、主人公(たち)に下される裁きもまたその定めに従ったのものなのか? しかし、だとしたら、それは誰によって下される裁きであり、誰によって決定された定めなのか?

  • …すごい!

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著者プロフィール

1935年オーストリアとの国境に近い、ハンガリーの村に生まれる。1956年ハンガリー動乱の折、乳飲み子を抱いて夫と共に祖国を脱出、難民としてスイスに亡命する。スイスのヌーシャテル州(フランス語圏)に定住し、時計工場で働きながらフランス語を習得する。みずから持ち込んだ原稿がパリの大手出版社スイユで歓迎され、1986年『悪童日記』でデビュー。意外性のある独創的な傑作だと一躍脚光を浴び、40以上の言語に訳されて世界的大ベストセラーとなった。つづく『ふたりの証拠』『第三の嘘』で三部作を完結させる。作品は他に『昨日』、戯曲集『怪物』『伝染病』『どちらでもいい』など。2011年没。

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