鷲は舞い降りた完全版 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (363ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152077547

感想・レビュー・書評

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  •  第二次世界大戦の末期に、ドイツの特殊部隊が敵地に落下傘で降り立って敵国の首相をさらいだそうと計画する物語。その話の概略からは、アクションシーンが主な物語なのかと思っていたが、そこに至るまでの綿密な計画や段取りを進めてゆくところが話の大半で、予想よりも地味な展開だった。ずいぶんと昔の古い物語だが、心配したほど読みづらいものではなかった。

  • NHKの青春アドベンチャーという番組で俳優の東幹久氏を声優に抜擢?したラジオドラマで面白かったので読書。第2次世界大戦中にドイツの落下傘部隊が大英帝国のチャーチル首相をイギリスの片田舎、スタドリコンスタブルでなんとこっそり誘拐してしまおうという物語を、イギリスの作家ジャックヒギンズが、スタドリコンスタブルのお墓にひっそりたたずむ碑文から額に汗して取材した、史実50%の書下ろし小説。アンネの日記に続いて今度はドイツ軍の物語。
     主人公クルトシュタイナー中佐とその部下たちはドイツ軍の精鋭落下傘部隊で数々の戦闘で武功を上げたのだが、ロシア従軍の帰りにユダヤ人少女を助けたことで人間魚雷で戦死を待つ身と落とされた。しかし、敗色濃厚なナチスの起死回生策としてチャーチル誘拐の計画が持ち上がり、シュタイナーは意に反してヒトラー暗殺の疑いで拷問を受けている父親を助けるためにその作戦に身を投じることになった。結局は作戦は失敗に終わるのだが、、、
     この小説の面白いところは登場人物全員のキャラがものすごくたっているところ。シュタイナーは、歴戦の戦士であり曲がったことが大嫌い、たとえSS長官ヒムラーにさえたてつくが、しかし父親の拷問に利用され、それをわかりつつも不器用にしか生きられない男、IRAのデブリンは、数多の死地を潜り抜けながらどんなに窮地でも
    ユーモアを愛し、若い娘と恋に落ちるところ、ボーア戦争の生き残りでイギリス人からリスペクトの対象でありながら、イギリスに対して並々ならぬ憎悪の執念を燃やす
    ジョアナグレイ、そしてシュタイナーに付き従う落下傘部隊の男たち、どうしてナチスドイツ政権、この時代にで生まれてしまったんだろう。
    決してナチスを肯定するわけではないがこやつらに生きてほしかったと思わせる。史実50%というが、どこまで真実なのか、全部ノンフィクションなのか、フィクションなのか。それでもこの悲しい戦士たちの物語を読んで、事実であってほしいと思わせる作品。結末は涙かもしれない。このコロナの騒動の中、読んでみては。

  • 冒険小説の白眉と称されるこの本。
    完全版でないほうが完成度が高いとい評判もありますが
    とりあえず完全版が図書館にあったのでこっちを読みました。
    それまでナチは徹底的な悪者と描かれることがおおかったのにドイツ側の人間にも人間味をもたせ、戦争という場にあってどのような価値基準で人は動くのかを描き切った名作です。
    愛国者、組織に属する人、まっとうな人間、人から愛される人、さまざまな人の群像劇であり、恋愛あり、冒険あり、歴史あり、文化あり、もりだくさんの小説で最後まで飽きさせません。本当におなかいっっぱいになる小説でした。読書の快楽を満喫できます。

  • 本書が、名著たる所以はノンフィクションでも通じる事実の積み上げの上にフィクションを構成した手法にある。第二次世界大戦の史実から抹殺されたドイツ落下傘部隊によるイギリス本土におけるチャーチル誘拐作戦。俄かには信じがたい作戦を膨大な取材によりリアリティー溢れるストーリーへと昇華させている。イギリスの作家らしく、ナチス対イギリスという単純な人物描写は一切しない。豊富な取材は、登場人物ひとり一人に細い性格付けを可能にし、物語の深みを形作って作品の魅力をたしかなものとしている。さて、ストーリーは、ドイツのスパイがもたらした一によって実行にの情報からチャーチル誘拐がナチスドイツ情報士官のラードルによって立案される。大戦の帰趨もほぼ決した時点で闇に葬りさられる案であったが、SS長官ヒムラーが目を付けた。蘇った誘拐プランが、非常に卓越した軍人としての倫理感を有する歴戦の勇者シュタイナー中佐とその部下によって実行に移される。

  • ヒトラー率いるナチスの恐怖時代も終わりにさしかかるころの
    イギリス首相、ウィンストン・チャーチル誘拐作戦のお話。

    内容の少なくとも半分は歴史的事実とのことで、登場人物も…

    ドイツ兵クルト・シュタイナ中佐というのが主人公だが
    人間的にすばらしい人として描かれていてほれぼれする。
    理不尽な状況下でも最善を尽くす、それは悲しいけどかっこいいのです。
    リーアム・デヴリンも性格は好きになれないけど、最後なかなか良かったです。

    登場人物はかなり多くて途中で迷子にはなるが、
    人物それぞれに明確な性格が描かれていてそこも面白い。

    ただ古い小説だからか、私にはテンポがもどかしく、
    説明的でちょっと読むのにしんどい小説でした。
    また翻訳本のためでしょうか 
    時に読み返さないと誰の話か分からなくなる、それが困りものです。


    このなかで「夜と霧命令」というのが出てきて、
    私はフランクルの「夜と霧」というナチスのアウシュビッツの事実を書いている
    本の名前だと思っていたけれど、これは実際の命令の名前だそうで
    勉強になりました。

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