恋 (ハヤカワ・ミステリワールド)

  • 早川書房 (1995年10月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (360ページ) / ISBN・EAN: 9784152079633

感想・レビュー・書評

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  • この人の小説はやっぱりこれが一番好き。時代背景はいつも学園闘争の60年代。著者の描く男性はいつもとても魅力的。

  •  作家が伝記を書くために入院している布美子のもとに通う。しかし本人の説明は得られず、死亡した後で詳細が手紙で送られてくる、というスタイルである。
     舞台が軽井沢ということで、群馬の文学紀行で紹介された。物語のクライマックスと楽しい時間を過ごしたのが軽井沢という舞台である。
     

  • 雛子の価値観や行動が理解できなかった。読んでる途中で雛子にイライラした。そんな考え方の人間がいるんだなと言う1つの学びになったという程度。勝也の正論ぶった人を見下した話し方にもイライラした。3人にしか分からない絆があったんだろうな。

  • 「無伴奏」を経て小池女史二冊目。主人公の殺人の罪が明かされているホワイダニット形式であり、クライマックスまで判然としなかった。説明をするのが難しく、他人の(メタ的に見れば読者の)共感を得ようとする動機ではないのに、それまでの、4/5ほどに及ぶ布美子の思想を追っていると、"そう"することに違和感をいだかない。ミステリというよりサスペンスなんだけど、もっというとドキュメンタリーって感じ…。そして最後の最後、思っていることは表に出さないと伝わらないんだな…、としみじみ思った。それがこの物語のメインテーマである気もするし、この"削除していた(=実は存在していた)"展開をオチに持ってきた作者は天才。名手としか言いようがない。面白かった。

  • ▼福岡県立大学附属図書館の所蔵はこちらです
    https://library.fukuoka-pu.ac.jp/opac/volume/62321

  • 学生運動推進派の貧乏学生が、効率の良いバイトを探して出会った大学助教授の夫婦
    これまでと全く違う華やかな世界にすっかりハマって行く布美子
    妻の雛子には夫の信太郎公認の不倫相手が何人も居て、布美子も雛子公認で信太郎と関係を持つ
    皆んなが幸せで穏やかな日々だからなのか、布美子の目線で物語を読んでいるからなのか
    不倫はいけない事なんて考えは浮かんでこないのだが、大久保が現れてからはその存在が邪魔でしかない、、、大久保が嫌なタイプなのもあると思うが、今までの生活が壊れてしまうからなのか、、、

    最後は穏やかな結末で良かったけれど、やっぱり解説文そのまま載せて布美子に見せてあげたかった

    大久保がいなくなって雛子はどんな気持ちだったのか、、、自分をかばって歩けなくなった信太郎と本当に幸せに暮らせているのか、、大久保を殺してしまった布美子を恨んではいないのか、、、
    そんな事を思い本を閉じました

  • とにかく泣いた。
    多少狂気じみた現実味のない関係や癖はあるものの、それでもただ純粋に恋をするってことに打たれたのかも。

  • 片瀬先生と妻の雛子、主人公フミコの倒錯した恋。
    片瀬夫妻の秘密は大いにどんでん返しだったし、
    最後の嬉しい展開もどんでん返しだった。

    ハッピーエンドは予想していなかっただけに、良い終わり方だと感じた。まったく共感できない恋愛模様だが、最後の最後で涙が出た。

  • 2015年7月29日

  • 面白かった。
    ドロドロなのに爽やかで、古臭いのに斬新で、官能的なのに精神的。
    雛子が登場した瞬間から甘ったるい匂いが私のまわりに纏わりついてきて、電器屋が死んだ時から匂わなくなった。
    偽りの愛を痛感したはずなのに、夫婦が事件後も共に暮らしたのは何故なのかな。

  • 面白すぎて一気に読んでしまった。

    殺人を犯した女の独白なのだけれど、話がとても複雑。大学助教授の夫婦との倒錯した関係。別に同性愛とかではないけれど、奔放な奥さんに惹かれていく主人公の心理がとてもよく分かって切なかった。

    そして、冒頭にもあるようにこの夫婦にはある秘密がある。

    正直言うとあまり新鮮な秘密ではなかったのだけれど、俗っぽくならずにまとめた作者は凄いと思う。

    小池真理子さんの作品をもっと読みたくなった。

  • 浅間山荘事件、リアルでTVで見てました。連日のように。
    そんな事件のすぐそばで、こんなことがあったなんて・・・

  • 浅間山荘事件と同時期に女子大生が起こした殺人事件。その真相は?
    女子大生が、アルバイトで大学教授の助手に。教授夫妻は、異母兄弟。その二人をめぐる話。

  • …男と女は奥が深い

  •  直木賞。話はぐいぐいひきつけられていく。倒錯した恋愛や性の世界にあこがれる女子学生というのもわかるきがする。けれど、大久保が出てきたあたりからわからんようになってくる。心情が、大久保と反対側の人間の立場でかいてあるからか?私の経験不足からか?

  • これは・・・っ!
    中世官能小説を現代日本語に訳せばこの本になるであろう、超スーパー独特な世界です。
    簡単に内容を書けば、「学生運動擁援派の貧乏女学生が秘書のバイトとして出会ったイケメン金持ち大学教授と過ごすうちに彼と妻の様な優雅で奔放な生活をするようになって、元お嬢の妻が繰り返す不倫とかも全然普通になっちゃってそこに真剣な恋人ができて、昔の3人の関係が壊れることに焦ってその新恋人を殺す」って言うまぁこれ、話ジャンプしすぎでしょう、いくらなんでもッテいう内容なんですが、それがしっくりくるんですよ~~~
    だから中世官能小説みたいなんですよ。
    あれもかなり傍目から見れば、「イヤイヤ、それはないでしょ、常識的に」というジャンプが多々見受けられますが、読んでるときは引き込まれちゃって「もぅなんでもありぃ~!」~な気分になってきます。
    これも。

    もちろん感あの中世系小説独特の気だるさもついてきます。
    ストーリー・メッセージ性以前で、納得の直木賞作品でした。

  • 小池真理子の中で、今のところこれが一番すき。

  • 第114回直木賞受賞作、ということもあったけれど、70年代が描かれているということで気になって購入した一作。
    購入時にはドキドキしながら読んだものだったが…13年ぶりの再読ではそんなときめきもなく。その手の描写に免疫がついたというか、年をとったというべきか。
    でもやっぱり文庫版を買いなおそうと思う。

  • 幸せな三角関係が崩壊し嫉妬から巻き起こった恐ろしい事件…
    バロック的犯罪サスペンスだそうです。

  • 小説。主人公の主張がとても丁寧に描かれていて、理解しがたいシチュエーションや心理もアリなんだと、何度も読み手を説き伏せ、引き込んでから本題に入っていく感じ。最後のキーパーソンが出て来始めてからのスピード感、閉ざされていた真相を一気に明るみに引っ張り出す展開、さぁどうだと言わんばかりに読者の採点でも待つような著者の決着、そして余韻。主人公の出所後から死に至るまでの間に、もう一度再現されていないから、このタイトルは愛ではなく恋なのかと思ったり。最高の状態はもろく、壊れやすい。悲恋なのに、だから輝く感じが胸に詰まる。

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著者プロフィール

作家

「2023年 『ベスト・エッセイ2023』 で使われていた紹介文から引用しています。」

小池真理子の作品

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