ドゥームズデイ・ブック (夢の文学館 4)

  • 早川書房 (1995年10月31日発売)
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  • 本 ・本 (624ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152079664

感想・レビュー・書評

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  •  積読本でした。2段組で600頁超で、ヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞のSF3冠受賞の大作

     2054年のオックスフォード大学史学部では、タイムトラベル技術を歴史研究に利用している。女子学生キヴリンは、14世紀のイングランドを調査すべくタイムトラベルするが、キヴリンを現地に送り届けた技術者が未知の病に倒れ、キヴリンが無事現地に到着したか確認できなくなってしまう。キヴリンを直接指導しているわけではないが、ダンワージー教授は彼女の安否を確認すべく奮闘するが、その未知の病がオックスフォードにひろがる。一方、キヴリンは14世紀に到着したものの、こちらも原因不明の病に倒れてしまう。現地の人の看護によって何とか回復した彼女は、元の時代に戻るために出現地点を探すことになるのだ…

     中盤まで中々物語は進まず、読み進めるのに苦労する。特にタイムトラベルが実現している時代設定なのに、携帯端末が存在しておらず、電話(テレビ電話なのだが)が繋がらずに右往左往してるのはじれったく感じる。あと、人の話を聞かない人が多すぎる。日本人だと考えれられない。

     そして終盤以降は、怒涛の展開となる。ただしダークな展開で。ギヴリンは14世紀を襲った黒死病の惨状を目の当たりにする。ほとんどなすすべがないまま、現地の人々が斃れていくのを見守るしかない。彼女が記した「ドゥームズデイ・ブック」(これがタイトルの元になっている)には史実として描写が記録されるのみだ。歴史は変えられない。

  • 2054年タイムトラベルが歴史学研究に活用されている時代。お城とお姫様と騎士に代表される中世に向かう史学部生のキブリン。しかし1320年に向かった直後にタイムトラベルを担当したエンジニアは倒れ、キブリンも到着後高熱を発して意識混濁状態となってしまう。果たして生還できるのか?という米国TVドラマぴったりのお話しなのですが、そんな軽いものではありません。中世は小氷河期、疫病の時代でもあり、その描写のリアルなこと。今このタイミングで読むと恐ろしさ倍増。日本の時代劇もリアリズムを追求して描けないかな?どうも良き時代の演出が過ぎるようなものが多すぎ。
    それにしても5歳のアグネスが愛おしい。泣ける。

  • 第三部までの忍耐は、結末でチャラになる。

    2010年発表の『ブラックアウト』『オール・クリア』を先に読んだので、
    読むコツがわかっていた。
    コニー・ウィリスを読む場合は、
    とにかく人物のキャラを頭に入れて、
    冗長気味なところは、流してもいいような・・・。
    でも、その中にもキーワードが潜んでいるので、
    あれ~??
    と読み返して納得するのも楽しい読み方だと思う。

    しかしながら、14世紀の英国の医療、信仰、生活文化、など、
    とても興味深く読めた。
    黒死病(ペスト)について、もう少し調べてみたい。
    『ドゥームズデイ・ブック』は1992年の作なので、
    感染症対策に関しても、その時代なりの描き方なのだけれども、
    さすがはヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した作品で、読了後の満足感がとても大きい。
    21世紀が感染症の時代であることを予期しているように思える。




    コニー・ウィリスがウイルス感染、パンデミックに焦点を

  • ふむ

  • タイムトラベルは歴史好きの夢だけど、中世はしんどいよねー。

    キヴリンはちゃんと現代に帰ったのかな。ぼやかした終わり方。苦しかったよね。お疲れ様。

    2054年、タイムトラベルが出来る時代設定なのに、スマホは存在してなくて、電話が繋がらず右往左往してるのはちょっと面白かった。SF作家といえどもこんな世界は想像できなかったんだろうなあ……みたいな。

  • 近未来のOxfordから、歴史の実地調査のため1320年へ飛んだ歴史学科の学生が、手違いで1348年(おお!)に飛んでしまい……という時間ものSF。雰囲気もまあまあいいし、人物の描き込みがすごくよかった(特にローシェ神父とキヴリン)。けっこう調べてはあるなという感じはしたけど、何となく中世のOxfordshireの農村という「風景」が見えないのが物足りないというか変だなと思っていたら、アメリカ人だったのね。ま、仕方ないか。
    とても面白かったのだけど、やはりアメリカ的というか……ラストも、あそこにストンとはまってしまうところが、よくも悪くもアメリカ的かなと思う。単純で前向き、問題を残さない。でもほんとに、人物とかとてもよかった。

  • ネビュラ、ヒューゴー、ローカス賞のトリプル受賞作品。
    この作家にとっては、珍しくない。
    それくらい、面白い。
    すごく長いけど、無駄がない。
    シリアスもユーモアもたっぷり。
    史学部シリーズはかなり堪能した。
    最後の中編、味わいにいこうか。

  • 長い!でも面白かった。
    目当ては「犬は勘定に入れません」なのだ。

  • 航時史学生シリーズを読み始めるなら今作から(または短編「見張り」から)をおすすめする。続作に比べて、ネットのしくみ等が比較的丁寧になされているので。
    他シリーズよりも読後感や一作としてのまとまりが良い気がする。前半は未来パートが気になってしょうがないが、後半は一転して過去パートが加速し、いずれにしてもページを繰る手が止まらない。一度読み終えた後は、冗長に思えた全編が輝きを放つようになる。再読必至。

  • 途中むずかしかったりもしたけどそれでもおもしろすぎるしすごすぎる。

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