- Amazon.co.jp ・本 (541ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152081421
作品紹介・あらすじ
病院のベッドで、もう何日も眠り続けているキャロル・クレイ。31歳になる彼女は、幼いころから「眠り姫」と呼ばれていた。それは彼女が、いつ、どこで、何をしていても突然眠ってしまう原因不明の奇病、睡眠障害にかかっていたからである。その発作によって、彼女はいま深い眠りの底にいた。キャロルが眠っているあいだに、彼女のまわりでは恐ろしい事件が起きていた。娘のエレナが、ボーイフレンドとともに死体で発見されたのだ。その数日後、キャロルは突然、眠ったまま驚くべき物語を語りはじめる。「二人を殺したのは夫のロジャーだ」と。だが、優秀な精神科医アイリーンは、キャロルの言葉に疑いをもつ。精神療法家としての技術を駆使して、アイリーンはキャロルの心に隠された真実を探りはじめたが…。やがて明らかになる、想像を絶する真相とは。
感想・レビュー・書評
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病院のベッドで、もう何日も眠り続けているキャロル・クレイ。31歳になる彼女は、幼いころから「眠り姫」と呼ばれていた。それは彼女が、いつ、どこで、何をしていても突然眠ってしまう原因不明の奇病、睡眠障害にかかっていたからである。その発作によって、彼女はいま深い眠りの底にいた。キャロルが眠っているあいだに、彼女のまわりでは恐ろしい事件が起きていた。娘のエレナが、ボーイフレンドとともに死体で発見されたのだ。その数日後、キャロルは突然、眠ったまま驚くべき物語を語りはじめる。「二人を殺したのは夫のロジャーだ」と。だが、優秀な精神科医アイリーンは、キャロルの言葉に疑いをもつ。精神療法家としての技術を駆使して、アイリーンはキャロルの心に隠された真実を探りはじめたが…。やがて明らかになる、想像を絶する真相とは。
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200円購入2012-10-24
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寓話をモチーフとした世界観の中で物語が展開されている。ページ数500を超す長編だが時間ごとにセクションが設けられており、読み進めやすい。
「催眠療法」「精神病下にある犯罪者」「前世療法」「死刑制度の是非」等、考えさせられる点が多かった。作中の雰囲気は基本的に重いため、それを緩和する意図で寓話をモチーフとしたのではないかと感じる。 -
久しぶりのキース
読み応えあり
最後は余りの一気 -
睡眠障害という奇病のため「眠り姫」のニックネームを持つキャロル。その娘「エレナ」と恋人の「ブーマー」が遺体で発見された。そして夫のロジャーが犯人として逮捕される。キャロルを救う為に死刑を受け入れるロジャー、ロジャーとキャロルの治療に誠意を尽くす精神科医「アイリーン」。キャロルを15歳のころから診察していた睡眠障害専門の精神科医「コーラー」。ロジャーの逮捕に疑問を持ち始める刑事「ストーン」。それぞれの思惑が二転三転し、最後には想像を超えた事実が・・・。登場人物を覚えるのが大変でしたが(笑)、とても面白かったです。人間の精神世界は奥深く、本当の自分とは何なのか、人の生死が眼前にあるときにできることは何なのか。結末に胸を締め付けられて、読み終えた脱力感に浸れる作品でした。睡眠障害という病気は最近増え続けているのだそうです。ストレスのひとことで片付けられることではないかもしれません
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こちらもまたブックオフで2,415円→105円になってたのを買って、最初夢中で読み、我慢しきれず禁忌をおかし、パラパラと先を読んでしまい、わかった気になって長らく放置していた一冊です。
最初から最後までちゃんと通して読んだら、ちょっと思い込んでいた内容と違いました!
ネタバレせずに書くのは難しい、心理サスペンスでしょうか。ううむ…サスペンスなのかな?刑事もの?心理学もの?医療もの?
この前に読んだのがコージーミステリーと呼ばれるジャンルのものだったので、今回はどっしりきましたね!
月並みな言い方ですが、非常に考えさせられる一冊でした。
日本での初版が'98年なので、現在はまた更に法律、医療等進んでいるかと思いますが、それを入れても現代にも通ずるテーマと問題を投げ掛けていると思いますね。
犯罪
医療
法律
死刑制度
冤罪
愛
死
心理学
トラウマ
宗教
etc.
不滅のテーマをギュギュっと詰め込んだ、多民族国家アメリカならではの一冊なのかも。
読みながら移入し過ぎてしまって、鬱々とした気分になったりも…。やるせない気分と言うのかな。
構成と人物描写が素晴らしい。引き込まれます。心理描写より、言動から人物を描き出すって言うのかな。
そして明確に映像が浮かびます。
専門用語なども沢山出て来ますが、私でも問題無く読めたので!
救われないラストにするか、ハッピーエンドにするかでまた効果も違ってきますが、それは皆さんで確認していただくとして。
個人的にエリカとストーンの関係は不要だったのでは…なんて気もしないではありません。 -
ハードかつダーク
どう読むべきか?
この作品は難解だ。筋はきわめて単純。しかし、精神医学や心理学を用いたファンタジーとみれば奥が深い。SFではなく、MF(医学フィクション?)か。
久しぶりのハードカバーだったが、残念ながら精神医学や心理学の素養がない私には難解としかいいようがなかった。
睡眠障害の美女(主人公)がいる。彼女の娘とそのボーイフレンドが射殺される。ボーイフレンドの母は彼女のクラスメイトで、軽い精神傷害。彼女の催眠中の証言により、容疑者は彼女の夫であるということになり、彼の死刑が確定する。
そもそも、精神科医が主人公の催眠治療で「彼女自身が娘とボーイフレンドを殺した」ことを告げるところから物語は始まる。従って、推理小説としての謎解きの要素は「なぜ殺したか」に絞られることになる。
しかし、精神科医が黙して語らず、主人公の夫の死刑が確定するあたりから、真犯人が精神科医であることがわかる。自身が心の病である精神科医は、主人公と殺されたボーイフレンドの母と強制関係があり、殺された二人の子供は実は精神科医のDNAを持っている。そしてその発覚をおそれたために催眠術を用いて主人公に殺人を実行させたというオチになる。あわれ、主人公の夫は愛する妻を守るために罪をかぶるという構図だ。
ところが、この作品が描いているのはこの部分ではない。真相をあばくアル中精神科女医、刑事、判事、死刑囚である夫、死刑を止めようとする弁護士さらに真犯人である精神科医など、登場人物すべての心がテーマだ。
それぞれに過去があり、感情があり、理性があり、心がある。そのそれぞれにスポットライトをあてて読んでみると、射殺事件というのが単なるサイドストーリーであることに気づくはずだ。
本書の真の主人公は精神科女医だ。その父の死に関する過去、フィアンセに関する過去、人間として揺れる感情、精神科女医のかかりつけ精神科医など、彼女にスポットライトをあててみるとより物語が単純化され、読みやすい。
「精神病だからという理由で死刑を免れている囚人を治療することは、死刑を促進することになる(病気が治った瞬間に死刑が執行される)」「自分の患者に感情移入してしまう」など、精神科のジレンマみたいなところが克明に描かれていて、すべてが理解できないまでも考えてしまうできになっている。
とはいえ、結論は読んでいて後味がいいとはいえない作品だ。次に期待しよう。