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Amazon.co.jp ・本 (280ページ) / ISBN・EAN: 9784152081490
感想・レビュー・書評
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愛しい人が死んでも愛したままでいられるか。彼女だけを愛していられるのか。
その答えを出した老人。それを見て我々他人は何を思うのか。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
結局生前のエレナはコーゼルのことをどう思っていたのだろうか。屍姦の有無はそんなに重要か?どちらにせよコーゼルがエレナを愛していたのは事実だろうと思っていたが、生前のエレナとコーゼルの関係が曖昧だから争点になったのか。もし仮に「黒い結婚式」のカップルのように明らかに愛し合った末に片方が死んでいたら、大した問題にもならなかったのではないか。
コーゼル逮捕-裁判&エレナ公開のくだりはブラックコメディのようで不謹慎な笑いが止まらなかった。街の人々がコーゼルに概して好意的だったのは驚いた。
エレナにしてみれば(コーゼル1人が見る分にはともかく)7年経った生前と別物の姿を公衆の面前で晒されるのはイヤだっただろうな。彼女には大変申し訳ないが、実際の写真を見て吹き出してしまった。気持ち悪さは全く感じなかったが、言葉は悪いけどマヌケ面だなぁと思ってしまった(ほんとにごめんねエレナ)
巻末のロマン主義を絡めた論は興味深かった。 -
二十歳そこそこの病める美女を「運命の人」と信じ、彼女が死んだ後は遺骸を盗み出し、独自の防腐処置を施して一緒に暮らしていたという(おそらくは作者が指摘するようにロマン主義にどっぷり浸かり、その脳裏には「アナベル・リー」がリフレインしていたに違いない)老医師の実話。
この老医師”フォン・コーゼル”の述べていることがどこまで本当でどこまで妄想かわからない・・・という点を押さえながらも、この本の作者の目線はコーゼルに好意的です。たしかに・・・勝手な妄想男の暴走、と一言でくくるのはもったいない話です。
こういう題材なのに陰惨さやグロテスクな印象がわりあい薄いのは、コーゼルの感傷的な表現力や、死の瞬間まで彼なりに本気でエレナを愛していたらしいという事実、さらには舞台となった温暖なキー・ウエストの描写のおかげだと思います。あとコーゼルが本気で信じてやっていることが時に笑ってしまうぐらい滑稽だ、と感じている作者のスタンスですね。嵐の夜の描写などは、ドタバタ的なおかしさすら漂います。
それにしてもエレナ、鼻と口は生前の面影があるのに、目元はからっきしです(汗)。
肝心な部分なのにこれほど似ない、コーゼルの目にはやっぱり相当の妄想フィルターがかかっていたに違いありません。
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愛する死んだ人を美しく保存してそばに置いておきたい。
ネクロフィリアとは少し違います。
延原泰子の作品
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