なぜアガサ・クリスティーは失踪したのか? 七十年後に明かされた真実

  • 早川書房 (1999年11月19日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (320ページ) / ISBN・EAN: 9784152082480

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  • なぜ失踪したのか? この疑問を解くべく、現地調査と関係者の聞き取りを基に著者なりの仮説を説く。中心は失踪時の時系列の詳しい記述だが、幼少時からアーチボルトとの結婚までの経緯、結婚生活、著作活動、を臨場感をまぜて書かれ、ちぐはぐになっていた結婚生活が浮かび上がる。さらにマローワンとの結婚生活にも触れ没年までが書かれている。

    読み終わると改めてクリスティの偉大な仕事に敬服した。夫には2回とも裏切られた。しかしこの感情を実際に殺人をするかわりに小説に昇華し続けたんだなあと思った。

    アガサの生涯の親友だったアガサの姉の夫の妹ナンの娘ジュディス・ガードナー夫婦に直接話を聞いている。金曜日に失踪してその夜はナンの家に泊まっており、アーチボルトの弟に「週末はヨークシャーの保養地に行く」という手紙を土曜日に投函したので、すぐに見つけてくれる、という予測をもっていたのでは?と書いている。アーチボルトをちょっと困らせようという程度だったのが、すぐには発見されず新聞ネタになり、大スキャンダルになってしまったとみる。アーチボルトのゴルフ熱からくるゴルフウィドウ的生活のせいもあるが、アガサが小説での収入があり、そこらへんの意識のずれがあったのではと著者は書いている。失踪した朝はアーチーとはでな口論をしたとある。頭が真っ白になって自分が何をしているのかわからなかったのでは?と思う。しかしけんかして激情して真っ白になりつつも運転はできるし案外ある部分は冷静でいられるのではないか、と思う。


    短編「崖っぷち」は失踪直前に書きあげ、「道化師の小径」「海から来た男」、この3点はアーチーとの結婚の混沌とした側面を明らかにしているとある。
    「洋裁店の人形」「重荷」「評決」はマックスの愛人、バーバラに対するアガサの複雑な心境が見え、マックスとの関係を理性的に見据えようとしたとある。

    クリスティの死後22年経ち書くことができた部分もあるのかという気がする。訳者の中村妙子氏のあとがきで、マックスの再婚者バーバラとのいきさつについては、今回はじめて知ったとあった。本文中では1947年以後マックスとの関係において暗い影がさしたとある。


    著者:ジャレッド・ケイド 1962オーストラリア生まれ現在ロンドン在住。7年前(1992頃?)クリスティの66の長編についてのクイズに全問正解して6400ポンドの賞金を得る。この本の調査研究には6年を費やす。英国推理作家協会会員。



    1998原著
    1999.11.30日本発行 図書館

  • かつてアガサ・クリスティーの失踪を扱った映画があり、その背景などを知りたくて。この事件が人気作家になる最後の後押しをしてる事、この本を読む事はどんなにきれいに繕ってもプライバシーの覗き見をしてる自分にもにょりながら読む手は止まらない。

  • ミステリーの女王と呼ばれたアガサ・クリスティ
    ーが11日間失踪したことはご存知だろうか。その当時、新聞は一面に取り上げ、警察は大金を使って大規模な捜索をし、人々はあらゆる憶測をした。その後保養地のホテルで見つかった彼女は、11日間のことを一切覚えていないと言った。真相はどうだったのかを探る。

  • 【選書者コメント】クリスティー失踪という今日でも謎とされている問題を解き明かす良書
    [請求記号]9300:1762

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著者プロフィール

1923年、東京に生まれる。東京大学西洋史学科卒業。翻訳家。『シェルシーカーズ」上・下『九月に』上・下(朔北社)『懐かしいラブ・ストーリーズ』(平凡社)、ハヤカワ文庫のクリスティー文庫(早川書房)、『子どものための美しい国』(晶文社)など児童書から推理小説まで幅広いジャンルの本を多数翻訳している。

「2022年 『ロザムンドおばさんの花束』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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