永遠の森: 博物館惑星

著者 :
  • 早川書房
3.69
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  • Amazon.co.jp ・本 (329ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152082916

作品紹介・あらすじ

地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大博物館-"アフロディーテ"。そこには、全世界のありとあらゆる美術品、動植物が収められている。音楽・舞台・文芸担当の"ミューズ"、絵画・工芸担当の"アテナ"、そして、動・植物担当の"デメテル"-女神の名を冠した各専門部署では、データベース・コンピュータに頭脳を直接接続させた学芸員たちが、収蔵品の分析鑑定・分類保存をとおして、"美"の追究に勤しんでいた。そんな部門間の調停をつかさどるのが、総合管轄部署の"アポロン"。日々搬入されてくる物品にからむ、さまざまな問題に対処するなかで、学芸員の田代孝弘は、芸術にかかわる人びとの想いに触れていく…。至高の美とはなにか。美しさを感じる人間の感情とは。-星雲賞受賞の俊英が叙情性ゆたかに描く、美をめぐる九つの物語。

感想・レビュー・書評

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  •  凄かった。よくもここまで創りこめたものだ。
     まず、世界観の作りこみがさすが物語の描き手という感じ。地球の衛星軌道上に浮かぶ巨大な博物館。全体像はSFでファンタジーだけど些細なリアルを丁寧に積み重ねているからディティールがすごく魅力的で、本当に存在するんじゃないかと思えてくる。登場人物たちも、どういう人なのか、何を考えてこの場所でそういう生き方をしているのか、どう変わってゆくのか、きちんと描かれている。キャラクター1人1人が自分の人生を生きているのが鮮やかにわかる。
     美術とSFという全く別のフィールドのものをしっかり縒り合せて描いてある。それにミステリの要素もあるし、人間の感情の機微もプラスのベクトルとマイナスのベクトルが過不足なく表現してあると思う。
     図書館から借りた資料なので、文庫を手元において読み返したい。

  • ものすごく抽象的に見えて、その実ストレートな恋愛モノ。
    感情や記憶、人の心と想い。
    それがすべて保存でき、いつでも引き出せるとしたら?
    美術品とそれに対する人々の想いがやさしい物語でした。

  • ムネーモシュネーシステム(だったかな)に憧れる(でも手術はなあ……)。

  • 宇宙に浮かんだ博物館の惑星で、多忙を極める学芸員の活躍を描いた9つの物語。「美とは何か」を追求する芸術論に、ラブストーリーがオーバーラップしている。何度読み返してもとても美しい一冊。最近、文庫版も出たようですね。

  • ★分析は要らない。ただ、僕は感じている。(p.329)
    3つの魅力(1)宇宙空間に浮かぶ博物館なんて、それだけでわくわくします。(2)脳とデータベースを直接接続し網羅的かつ曖昧なデータ収集と分析ができてしまう学芸員たちってのはむしろ「美」の本質とやらをとらえる阻害にもなりそうやけどその辺をどう描いてくれるか。(3)持ち込まれてくるさまざまな芸術作品とその謎、そして人びとの短編連作は読みやすいですし、それぞれのお話がいい感じです。

    ■簡単なメモ
    【一行目】だいたい、それでなくても「愛と美の女神」をローマ神話で解釈してここが金星(ヴィーナス)にあると思っている連中がいるというのに。

    【Ⅰ 天上の調べ聞きうる者】なぜそのチープな絵には脳神経科の患者たちが群がり「天上の調べ」を聞くことができるのか。
    【Ⅱ この子はだあれ】ひねくれた表情の人形の名前を見つけていい表情の人形にできるか。
    【Ⅲ 夏衣の雪】雅楽の笛方兄弟で名跡襲名に選ばれたのはまだまだ未熟な弟だった。
    【Ⅳ 享ける形の手】三十路になって衰えた奉納舞の名手の鬱屈と求めていた踊りは。
    【Ⅴ 抱擁】古いバージョンのインターフェイスしか持たない元職員の求めているものは。学芸員と美。
    【Ⅵ 永遠の森】粘菌が人形を動かす仕掛け時計の盗作騒動と隠されていた真意。
    【Ⅶ 嘘つきな人魚】人魚に謝らなければいけないと言う少年と、その人魚像を作ったハンドメイド派の芸術家。
    【Ⅷ きらきら星】小惑星で見つかった植物の種子のようなものと、タイル片のようなものの解析。そんなさなか、頼りの綱のデータベースが停止してしまった。
    【Ⅸ ラヴ・ソング】ピアノの名器「九十七鍵の黒天使」の演奏会が近づく。ピアニストがつけた不可解な条件はなぜ? そして、データベースの大幅バージョンアップが予定されており孝弘の妻、美和子がそのテストメンバーとなっていた。

    【アーネスト】木工担当。
    【アテナ/知恵と技術の女神】絵画・工芸部門。〈エウプロシュネー/喜び〉というデータベースを持つ。
    【アフロディーテ】既知宇宙一の博物館苑。ラグランジュ3にある。小惑星帯から拉致されてきたほぼオーストラリアと同面積を持つ岩石をテラフォーミングしている。大気は「MB方式(マイクロ・ブラックホール方式)」で繋ぎ止められている。
    【アポロン/総合管轄部署】田村孝弘が所属する総合管轄部署。メンバーは美術・社会常識・雑学なんでもござれ。〈ムネーモシュネー/記憶の女神〉というデータベースを持つ。各種もめごとを日々持ち込まれる調停役だが地位だけは高い。本来は超カテゴリ的な案件を扱う部署だと思われる。県警に対する警視庁のようなものか。金色の目立つカートで荷を運ぶ。
    【アラン・ルルー】サックス記念病院脳神経科医師。
    【アレクセイ・トラスク】〈デメテル〉の非接続型学芸員。児童を対象にした博物館ツアーに否定的。
    【イダルゴ】小惑星。植物の種子のようなものと彩色タイルの破片のようなものが見つかってしまい、〈アフロディーテ〉が解析することになったせいで世界を巻き込んだ大騒ぎの中心になってしまった。
    【イダルゴの蓮】イダルゴから見つかった種子はどうやら蓮タイプの植物のようだ。
    【エイブラハム・コリンズ】〈アフロディーテ〉最高責任者。愛称「エイブ」だが学芸員たちからは「案山子」とか呼ばれている。たぶん何も考えていないように思えるからだろう。いつも田代孝弘に無理難題を命じてくる上司。金銭欲と名誉欲が強い。田代の妻ミワコは元々エイブの第一秘書だった。
    【エルゴスフィア】マイクロ・ブラックホールがエネルギーを取り出す領域。〈アフロディーテ〉はそのエネルギーでまかなわれているが余剰分を売っているらしい。
    【おさな子への調べ】無名の作曲家コーイェン・リーの描いたなんの計算もされていないタイプの、要するにデタラメに色を塗っただけの、美的価値があるとは思えない抽象画。絵画療法の結果だった。が、なぜか脳神経科の患者たちが群がってきて皆が落ち着くという効果を持つ。辛辣な批評で嫌われていたブリジッド・ハイアラスが「世界最高の傑作だ」とすら絶賛した。なんでも「天上の調べ」を感じ「この絵さえあれば世の中のどんなものも惜しくない」そうだ。田村孝弘のミッションはこの絵画が着ているかもしれない透明な衣服を見いだすこと。もし見つけることができたら究極美、美の核心が見えてくるかも。しかし孝弘は当初ただのグチャグチャなゴミだと考えた。
    【小田倉】広告代理店社員。関西弁。襲名予定の十五代目鳳舎霓生の兄、霓伯(げいはく)との間にはなんらかのわだかまりがある。どうやら跡継ぎの座を奪われた兄が弟を憎んでいると思っているようだ。
    【カール・オッフェンバッハ】〈アテナ〉の科学分析室室長。田村孝弘のことを「おちびさん」と呼ぶ。孝弘の方はカールのことを「のっぽくん」と呼ぶ。ちなみに孝弘は東洋人としては背が高い方だがカールは身長二メートル以上ある。
    【ガイア】情動記録に特化した汎地球的システム。
    【案山子】→エイブラハム・コリンズ
    【カミロ・モンテシノス】恐竜学者。人類学者のルイーズの夫。〈デメテル〉が協力を仰いで招聘している。妻とともに「無名」の人形の名前を探している。
    【カリテス】〈アフロディーテ〉のデータベースシステムと思われる。
    【九十七鍵の黒天使】ピアノ。本名は「ベーゼンドルファー・インペリアルグランド」。部署間の綱引きでいまだ梱包も解かれていない。最初に出てきたままなかなか主人公にならない。オーナーは世界的ピアニストのナスターシャ・ジノビエフ。キルケ柿落し公演で演奏される予定。
    【キルケ】〈デメテル〉に建設中の円形海上ホール。海洋学者たちが苦労して育て上げてきた「テュレーノス・ビーチ」を陳腐な客寄せスポットに貶めると学芸員たちからは不評。
    【空隙】ラインハルト《空隙を空隙として満ち足りて自覚できるのは、幸せなことですね》p.277。田村孝弘《彫刻の中には、彫刻そのものの存在を主張するのではなく、周囲の空間、つまり虚を表わすために制作されたものがあるのだそうです。無いことを知るにはまず在らねばならない。在ることを知るには虚無の淵を覗かねばならない。そういうことだと思います。これこそが神の高みの視点ですね。》p.278
    【クローディア・メルカトラス】〈アテナ〉の科学分析室の学芸員。陶磁器専門。
    【ケイト】〈デメテル〉学芸員。
    【コールド・アイソスタティック・プレス/CIP】セラミックや金属などの粉体を水圧を使って成型する技術。全方向から均等に圧力をかけられるので精密な加工ができたが手間がかかるので今はあまり使われていない。彫刻家ラリーサ・ゴズベックはこの技術で人魚像を作成する。
    【コルネル】演出家。
    【サイモ・ダウニー】ロブの助手。
    【サニー・R・オベイ】ナイジェリア生まれのリキッド・アーチスト(液体を使ってなにやら表現するらしい)。《うまく説明できないからこそ、芸術なんだ。》p.147。本職は精神療法士。
    【サリー】セイラ・バンクハースト。資料室詰めのベテラン学芸員。美和子の知人。「直接接続」はしていない。人嫌いで有名らしい。
    【シーター・サダウィ】インド生まれのダンサー。神秘的な奉納舞で名を馳せたがすでに三十路。次の〈アフロディーテ〉でのイベントが引退公演になるかもしれない。口癖は「バカにしてるわ」。《彼女にとって観客は傍観者にしかすぎない。》p.126。《自分がステップを捧げているのは、自分の中の満足の神へ、だ。》p.130
    【質問】《とっつきにくい相手にはまず質問をしてみる、というのが孝弘の信条だった。》p.96。ああ、ぼくもそうしてます。
    【私情】《あなたの私情は、殺すんじゃなくて、モンテシノス夫妻の私情に歩み寄らなきゃいけないのよ。》p.50
    【情動記録データ】最新のデータベースインターフェイスでは個人の情動(感動など)まで記録できる。それはどうやらドラッグとしても使えるようだ。
    【セイラ・バンクハースト】→サリー
    【タイムマシン・バイオテック/加速型進化分子工学】生物の成長を加速する技術。
    【孝弘】→田村孝弘
    【滝村フサエ】日本の服飾及び生活工芸品を担当する学芸員。
    【掌/たなごころ】〈アポロン〉庁舎ロビーに置かれている、仰向けた掌を目の前で宙に伸べている女性の像。ビジネスを除けてそこに美を乗せようという戒めのようなものらしい。
    【タニア・マニング】バイオ・クロック盗作裁判の一方の側、マニング家の者。ロザリンドは彼女の大叔母。
    【田村孝弘】語り手。〈アポロン〉に属する学芸員。権限「A」を持つ。
    【知識】《現実感の喪失とは知識の欠損のことなんだ》p.270
    【直接接続】学芸員たちは脳から直接データベースにアクセスでき、あいまいなイメージだけでもデータを検索可能。《僕らは脳に機械を繋げた分析屋だけれど……》p.38。進化を続けるシステムとインターフェイスのバージョンアップには取り残されている接続者の存在もある。最新バージョンのインターフェイスでは個人の情動まで記録できるが旧世代はそこまで(他者の感動まで)考慮に入れるのには問題があるのではなかろうかとも思っている。
    【デメテル/農業の女神】動・植物の部署。〈タレイア/開花〉というデータベースを持つ。〈アフロディーテ〉の約七十三パーセントの面積を抱える。シーター《植物の一番いい時季だけがパッチワークしてあるのね――人工的に》p.131
    【テュレーノス・ビーチ】〈デメテル〉に作られた人工的な海。隠れた名所だがそれ以上に〈アフロディーテ〉に酸素と水を供給しているという価値が高い。自浄能力が弱く維持には多大な苦労が必要。
    【トーマス・ワン】〈アテナ〉の学芸員。人形も手がける。
    【鈍感】《ある時期、私たちは二人とも、鈍感になってしまった自分を悲しんだのです。》p.65
    【ナスターシャ・ジノビエフ】世界的名ピアニスト。七十二歳。「九十七鍵の黒天使」のオーナー。気難しいようだ。
    【ニコ・エステバン】十歳前後の少年。海に沈んでいる人魚像に会いにきた。
    【ネネ・サンダース】〈アテナ〉のベテラン学芸員。孝弘とは仲がいい。中年の黒人女性。いつも男物のオール・イン・ワンを着ている。動きはきびきびしており黒豹を思わせる。
    【バイオ・クロック】二十年ほど前に流行った、いわばミニチュアの自然を封じ込めたカプセル内の植物の状態により時間を知る時計。急増する宇宙居住者たちが愛でた。アダム・ラクロとロザリンド・マニングの雑談から生まれたそうだが、両者の(遺族の)間で盗作裁判が行われた。ラクロ社のバイオ・クロック「エターニティ」はバイオ・ハザード指定になっている。
    【橋詰瑛】襲名予定の十五代目鳳舎霓生の兄。霓伯(げいはく)という名で笛を吹くが弟の方が巧いらしい。今はマネジメント業に徹している。見世物的な企画には賛同できず小田倉との仲はかんばしくないようだ。
    【韓月玉/はん・うぉるおく】〈デメテル〉学芸員。
    【ハンドメイド派】《なるべく機械や工具に頼らず直接自分の手から美を産み出すことを目指すグループ》p.226。《指先は魂と直結しており、手から直接産み出された唯一無比の実体こそが本物である、本物のみが力強い産声で美を表明できるのだ》p.230
    【美】オベイ《マサンバは学芸員らしいことも教えてくれたよ。美を享けるのは五感からだけじゃないんだってな。学芸員としての経験を積んで培った、肌触りみたいなもの、勘みたいなものが、一番大事なんだそうだ。でないと、分析機器とデータベースだけでえ美術のすべてが判ってしまうことになる。》p.171。美は惜しみなく万人に与えられるという考え方と、希求する者だけに与えられるという考え方があり、学芸員たちは後者を信じている。そして、《ひとつは、芸術が人に力を与えるとするもの。人は美によって癒やされ、美によって力づけられる。芸術こそが人を生かしているのだ。》《もうひとつは、人が芸術に力を与えているとするもの。具現化する美は、その作り手の裸の魂の表れに他ならない。究極の美というものがあるのなら、それが放つ眩い光とは人間の真実そのものではあるまいか。》p.245
    【ヒト・コンピュータ直接接続】→直接接続
    【ピラミッド解析】〈ムネーモシュネー〉を利用した、田村孝弘独自の解析方法。一度拡散しておいて次に絞り込んでいく。
    【ヘルベルト・木村】〈ミューズ〉の学芸員。たぶついた頬。
    【鳳舎霓亀/ほうしゃげいき】十四代目鳳舎霓生が身体を痛め隠居名である三代目霓亀を名乗ることになった。
    【鳳舎霓生/ほうしゃげいしょう】邦楽の笛方の家元を今度襲名する予定の十六歳の少年。田代孝弘がリサイタルのプロデューサーをすることになった。「回雪/かいせつ」という名のホログラフ入り着物に対して家元が「勁雪/けいせつ」という名の笛を吹くと雪のホログラフが出る予定なのだが、なぜかうまくいかない。《霓伯は確かにすごいけど、あの乾いた音はフルートみたいだ。その点、霓生は技巧はともかく音だけはちゃんと竹の音がする》p.110
    【マイク・レイモンド】サックス記念病院の患者。見ないうちから「おさな子への調べ」を取り追いかけてきた。
    【マイクロ・ブラックホール】〈アフロディーテ〉は中心にマイクロ・ブラックホールを封じていて、それによってエネルギーや重力を得ている。
    【マサンバ・オジャカンガス】〈アフロディーテ〉元職員で直接接続者だった。地球在住だが〈アフロディーテ〉訪問時に昏倒した。七十四歳。
    【マシュー・キンバリー】〈アポロン〉の新人学芸員。データ至上主義で実物を見ないタイプ。というより、いわゆる審美眼という学芸員にもっとも重要なものが欠けている。自分の直接接続インターフェイスのバージョンが新しいのだけが自慢。いずれ自分のインターフェイスが旧式になったときどうなるのだろう? 研修のために他部署を回っている間に五十件以上の苦情が寄せられてきた。
    【マヌエラ・デ・ラ・バルカ】〈ミューズ〉の調律師。
    【ミハイル・ファーニナル】〈キルケ〉の支配人に内定している。
    【ミューズ/詩と音楽の神々】音楽・舞台・文芸部門。〈アグライア/輝き〉というデータベースを持つ。
    【美和子】田村孝弘の新婚の妻。元はエイブの第一秘書だった。なかなか登場してくれないが《中背で、おかっぱで。》と孝弘が語っている。無邪気ではしゃぎ好き。後に直接接続の学芸員となる。そのインターフェイスは10.00。「00」はテストケースのナンバー。権限はユリウスに次ぐ「AA」。
    【ムネーモシュネー/記憶の女神】直接接続型対応データベース・コンピュータ。〈カリテス〉システムの上位に位置する。
    【ユリウス・マンシッカ】直接接続システムを実用化したプロジェクトの基幹となる人物のひとり。自分自身は非接続者。《この壮年の男に目を向けられると、孝弘は決まって、視線ではなく威圧的な「フィンランディア」の演奏を浴びせかけられているような気がする。》p.290
    【ラインハルト・ビシュコフ】マシューが招聘した図形学者。地上の図形科学データベース〈マーク〉との直接接続者。広範な知識を有しているが強いて専門を挙げれば数理学。が、なぜかマシュー同様迷惑な存在となり果てている。外見はずんぐりもっさりしているが穏やかな雰囲気の男。
    【ラリーサ・ゴズベック】人魚の像ばかり作る彫刻家。〈デメテル〉が彼女に発注した像は一〇三八点ある。ゆっくり海に溶けていく特殊な鉄で作られていた。制作中の事故により身体の多くの部分が人工物になっており、特に顔面神経の再現は難しく、ほんとど表情を変えられなくなったのであまり人と会わない。
    【リンダ・マクロード】ラリーサ・ゴズベックのスポンサーとなった医療機関メディ・C・コーポレーションから派遣された。
    【ルイーザ・モンテシノス】ベテランの人類学者。恐竜学者のカミロの妻。
    【ロールコール/点呼】最大の人物データベースとされる。
    【ロブ・ロンサール】〈デメテル〉学芸員。専門は植物。シーターの大ファンで接待役をおおせつかるが自分の好きなシーターに戻ってきてもらうために遠慮なくものを言う。

  • 再読。
    未来の宇宙のロマンチックなSF。
    芸術や生命の神秘と、コンピューターに頭脳を直接アクセスさせて生きる人々。
    子供っぽいというか、情緒は未来でも成長あまりしてないとこもなんだか面白い。

  • 2000.01.01

  • 2019/6/24(月曜日)

  • SFファンタジー。
    惑星そのものを博物館としている世界でデータベースネットワークに直接頭脳を繋げている学芸員で調停管理職を主人公とした連作短編集。
    美しいとは何か、からくる難問は様々でそれを解決するために奔走する話。

    個人的には超当たりで好きな世界観。

  • ほっこり系の話の連なり。たまにはこういう話で和むのもいいね。
    「美」はそこにずっとあるけど、見つけ出すのは人の「心」なんだなあと思う。

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著者プロフィール

1963年生まれ。SF作家。2015年、『放課後のプレアデス みなとの宇宙』のノベライズを上梓。他の著作に『おまかせハウスの人々』『プリズムの瞳』など。本作がはじめてのビジュアルブックとなる。

「2016年 『GEAR [ギア] Another Day 五色の輪舞』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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