趣味の問題 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
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本棚登録 : 111
感想 : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152083142

作品紹介・あらすじ

フリーターのニコラは、ひょんなことから世界的大企業社長フレデリック・ドラモンのパーソナル・テイスターに雇われた。自分の好みを殺して相手の好みを我がものとしたニコラは、食事だけでなく、映画、書物など、あらゆる私的活動に関して味見役を担っていく。だが、次第に過激になっていくフレデリックの要求に応えきれなくなったニコラが彼のもとを去ったとき、恐ろしいことが…。人生の美食を追求する富豪。それを完璧にする試食家。二人がたどる奇妙で危険な関係。サイコティックでセンシュアルなサスペンス。2000年フランスコニャック国際ミステリー映画祭グランプリ/批評家賞受賞作品の原作。

感想・レビュー・書評

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  • フリーターのニコラは、ひょんなことから世界的大企業社長フレデリック・ドラモンのパーソナル・テイスターに雇われた。自分の好みを殺して相手の好みを我がものとしたニコラは、食事だけでなく、映画、書物など、あらゆる私的活動に関して味見役を担っていく。だが、次第に過激になっていくフレデリックの要求に応えきれなくなったニコラが彼のもとを去ったとき、恐ろしいことが……。人生の美食を追求する富豪。それを完璧にする試食家。二人がたどる奇妙で危険な関係。サイコティックでセンシュアルなサスペンス。2000年フランスコニャック国際ミステリー映画祭グランプリ/批評家賞受賞作品の原作。
    原題:Affaires de goût
    (1999年)

  • この本を読んだきっかけは、人から紹介された作中の食事描写が美味しそうだったから(後にこの食事がとても恐ろしい行為とわかるけれど)
    訳が非常に読みやすい。これが翻訳ということを忘れてすらすらと読めてしまう美しい文章。原作の物語を一層魅力的にしてくれていると思う。

    大企業の社長で豪邸に住んでいるフレデリックと、金のないギャルソンのニコラという対照的な二人が「試食」を通して、他人であるはずの二人が依存し合い、最後には破滅してしまう。
    この二人がどう考えても良くない方向に向かっているのに魅力的に見えてしまうのは、二人に向けられる脇役たちの冷淡な目があるからだ。秘書は彼らを軽蔑しているし、ヴァンサンはニコラが次第に入れ込んでいく「試食」について価値を見出さない。ニコラの彼女ベアトリスも、フレデリックの元妻イザベルもフレデリックの異常性を指摘している。ニコラないし読者に示されるはっきりとした異常性は読み手の疑問を代弁し、きちんとした理性を自覚させつつも、フレデリックとニコラのある種の愛情の存在をより引き立たせている。
    訳者あとがきにあったようにこれは一種のラブストーリーだ。しかしこの愛は健全で一般的なものとはかけ離れているし、二人の間だけで通じる閉鎖的なもので、本でなければ悍ましく嫌悪感を催すものだろう。
    端的に言えば二人のこれは倒錯した愛だが、自分と同じ趣味嗜好・背格好をした人間が現れたら私はどう思うだろう。現実で考えればきょうだいがそれに近いのかもしれないが、それにしたって依存する自分に耐えきれなくなる気がする。本書の主人公二人は物語の吸引力も相まって、どこまでも突き抜けて進み、あのラストに昇華するまでに至ったので読むこちらをとても楽しませてくれた。
    他人を支配し作り変える、恐ろしいことをやってのけたフレデリックほどの人物が外界に怯えるという矮小な臆病さを持つ側面と、異常なのは分かっているのに他人(フレデリック)から多大な信頼を寄せられてそこに価値を見出してしまったニコラの依存心は受け入れがたいとはいえ、本書で綴られる細やかな内心にどこか共感してしまうのも事実だ。この二人の強烈で危うい関係は今後もそうそう見ることは無いと思う。

    最初は耽美小説だと思っていたのに、読み進めるうちに二人の分かち難い関係を本の中で築き上げられつつ、恐ろしい展開にハラハラさせられるサスペンス小説だった。はっきり言って異常な人物たちだ。けれどこの本を読めて良かった。

  • おそろしく気持ち悪い作品です。
    依存関係を描いた作品ですが
    ひょんなことから一人の男が
    軽い気持ちで受けることになった「試食係」は
    思わぬ形で狂気に満ち溢れていくのです。

    そして最終的にそれは確殺兵器のごとく
    フレデリックの心、体を蝕んでいくのです。
    その死は何もできなくなったが故の…

    ぞっとする作品です、読書注意。

  • 共依存ブロマンスからのメリーバッドエンド。
    本人たちが幸せならそれでいいと考えるタイプなので、終わり方に納得したし美しいと思った。

  • 狂愛

  •  生活のありとあらゆるものを"試食"させなければ生きられない男と、その男のそばで"試食"しなければ生きられない男の狂気的で濃密な関係がどこまでエスカレートしていくのか、不穏極まりない雰囲気のなか一気に読み進めた。迎えたラストにはゾッとしたようなほっとしたような、何とも言えない気持ちになって好みの読後感。二人は恋愛関係ではないけれど恋愛以上の相手への執着心と依存心があり、どうしたって離れられないのだろうな…と思った。面白かった!

  • 本人に先立って味見をする「試食係」という秀逸な思いつきが、だんだん狂気を帯びてくるのに、その渦中の二人はこの上なく楽しんでいて、どんどん加速していく。眩暈がしそう。真っ当な愛が一瞬試食係を正気に戻しそうになるけれど、自分からすすんで囚われた呪縛は解けない。
    共依存の関係は、悲しいけれど、他人には分からない密やかな幸せもあるのか。

  • この、主人公うらやましい ―と思ってしまった。

    物語の前半で結果はどちらかしかないな、と察したけど、この結末も納得できるものだと感じました。
    こういう愛もありなんだろうな。。。とも

    ただ一人のために尽くすことができる そんな対象に出会えるのは、幸せなことなのかも。とも感じました。
    DVD見ようか、迷いますね。

  • ディテールが魅力的でないのでシナリオを読み進めるように読んだ。
    映画はみてみたい。

  • 心理サスペンスのような、でも変わった話。感覚的な描写がすごく上手いなぁ。原文で読めたらもっとすごいんだろうな。妖しくも魅力的で怖くて奇妙な主従関係。
    映画化されてるそうだから、観てみたい。

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