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本 ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784152083562
感想・レビュー・書評
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「最後の晩餐には何を召し上がりますか?」すでに、新鮮味を失いつつある質問ではある。それでも、今にも息絶えようとしているこの男が。美食の限りを尽くしてきたこの男が。薄れゆく記憶を総動員して取り組む、この質問には、わたしもすっかり夢中になってしまった。男には時間がない。体裁を整えている余裕もない。その息遣いが伝わってくる。男が選び出そうとしている「生涯最高の味」は?最後の食事に選ぶ味は?
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入り込めず読むのをやめた。
しかしどうして日本料理屋が
オシリなのか… -
臨終の時を迎える美食家と、彼を巡る人々の独白。
心にもないことを言うことで誰もが羨む地位を手に入れた自分に対する自己嫌悪のせいで、周囲の人々を嫌い抜いて、自分を本当に愛してくれる人たちを地獄に住まわせた。その臨終の時、彼の死を惜しむ人は誰もいない。
という人生をしくじった男の話の軸に、その男の食べ物にまつわる記憶の蔦を優雅に絡ませた、とってもおいしそうな小説。
ワインを飲んでみたくなった。お酒飲めないけど。
白ワインはカルボナーラに合うんだって。ちょっと試してみたい。
一口目のブランデーを口の中にずっと含んでいると、どんな香りがするんだろう?
二口目は一気にあおる。すると食道が焼けるように熱い。……これは試さないでおこう。やったら絶対にむせちゃう。
パンの描写もおいしそうだったな。ただのパンなのに。
同じような材料で、様々なパンが作られているのは、考えてみると不思議だ。 -
最近、料理が出てくる本が好きであることにあらためて気がつき、何冊か読んでいる。至高の料理評論家が、臨終の床で至福の味を追い求めるというストーリーなのだが、全体的に単調。章ごとに主人公の一人称ナレーションと周辺人物(部屋の石膏像やネコも含む)の一人称ナレーションが入れ替わるという構成も、しかし、この単調さを救うほどには効いていない。
主人公が気に行っていたレストランの女性シェフ、マルケの章と、ラストは面白かった。 -
世界で最も著名な美食家である彼は、人生最後の時を迎えるにあたって、自分が最後に食べたいものの名前が思い出せずにいる。そして彼が今まで食べてきた数々の料理が、語られていく。世界の美食を食べてきた彼が、最後に思い出した人生の最後に食べたいものとは・・・。日本の料理も紹介されています。
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著名な料理評論家であるわたしは、主治医に余命48時間と宣告される。最後の晩餐に彼が求めている味は何か?自分のこれまでを思い起こしながら、求めている味を思い出そうとする。その味とは?
わたしと、彼を囲む様々な人、ペット、置物(!)の交互に進められていく。
最後の晩餐に食べたいもの、こんなものなのだろう。 -
フォアグラのようなじいさんの物語である。
フォアグラは美味しいが、必要以上に罪深い(ような気がする)。シーシェパードはフォアグラやさんをおそうべきだ(陸地では無力なのか)。
いんごうじじいの話であるが、じじいの内面のつぶやきをきいているとけっこうかわいい。素朴で不器用で自分勝手で。まるきり子供である ーー作者が女の人だからだろうか?
が、家族にはしたくないなあ・・
いんごうじじいの「話」であるが、話・・ストーリ展開ではなく、1頁1頁をゆっくり咀嚼するべきタイプの作品だと思う。
そしてじじいの話ではあるが、主役は食べ物である。パンを食べるシーンが特に好きだ。皮を食べ、皮と身の間を食べ、内側を食べる。時はめいいっぱい泳いだ後、場所は自宅の涼しい食堂である。
貴君も共感できるシーンだと思う。 -
死の床に伏せる美食家が人生で最高に素晴らしかった味をまさしく必死になって思い出す物語。
子供の頃に食べた祖母の料理、もぎたてのトマトの味等々…食と風景の描写が目に浮かぶように素敵でした。
美食家の記憶と交互に語られるのは周囲の人々(一部、動物や置物もありますが)が語る彼の姿。それはとても傲岸不遜。
蔑ろにされた家族の思いはいかばかりか。
最後に和解して…と感動的なことも想像しましたが結局そのまま、美食家が身勝手なままに終わってしまいました。
最後に思い出した食べたかったものは可愛らしくてくすり、としましたが妻子の思いは宙にぶら下がったままで何だか中途半端な感じです。