- Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152084309
作品紹介・あらすじ
西暦2100年、1機のX線観測衛星が発見したブラックホール・カーリー-それがすべての始まりだった。カーリーの軌道を改変、その周囲に巨大な人工降着円盤を建設することで、太陽系全域を網羅するエネルギー転送システムを確立する-この1世紀におよぶ巨大プロジェクトのためAADDが創設されたが、その社会構造と価値観の相違は地球との間に深刻な対立を生み、人類は激動の時代を迎えようとしていた…。火星、エウロパ、チタニア-変貌する太陽系社会を背景に、星ぼしと人間たちのドラマを活写する連作短篇集。
感想・レビュー・書評
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宇宙を舞台にするSFのワクワク感を堪能できる良書。こういう本を読めば、理系離れも少しは減るのじゃないかなぁと思う。単にSF好きの戯言からもしれないが。技術開発をしていこうと、改めてやる気が出る、良い本であった。
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古書購入
SFからしばらく離れていたゼロ年代作品 -
89:ブラックホール「カーリー」と、それを利用して太陽系全域にエネルギーをもたらすべく、人工降着円盤を作り出して……という硬派かつ正統派のSF。そもそも「人工降着円盤」て何ですか、というレベルの私ですが、突き詰めていくと人と人との物語になるせいか、前に読んだ「スペースプローブ」より楽しめました。連作形式だったのもよかったのかも知れません。もう少し私に知識があればと、残念に思います。
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SF。連作短編集。
ハードな本格SF。言葉は難しいけど、ギリギリ想像できる範囲内。
全体的にミステリ調のストーリー展開で意外と読みやすい。
気に入ったのは以下3作。
「ウロボロスの波動」起こるはずのない事故。AIの反乱?長編にできそうなほど濃密。テンポも良い。
「ヒドラ氷穴」サスペンス調。スリリング。良作。
「エウロパの龍」衛星での生命探査。こういう冒険もの、とても好みです。
最終話は次作へと繋がりそうな雰囲気。
続きはファーストコンタクトの要素が強くなりそう。 -
火星大の極小ブラックホールが太陽系に接近した。太陽系惑星に進出を果たしていた人類は、ブラックホールのエネルギーを利用するため降着円盤を建設する。そうした開発の過程で、宇宙移民と地球人類の間にギャップが生まれ、争いが起こる。争いの最中にも、人類は惑星探索から恒星間探索へと開発の道を探る。
SF短編作品集。機械やシステムの描写はそれほど細かくはないが、科学的素養が無ければイメージしづらい表現はいくつかある。人々の思惑や感情については、深い描写ではなくサラッとした描写。想像力をかき立てるというよりは、淡々とした描写。食い足りない感じもするが、知らない世界の紹介文という意味では面白いとも感じる。 -
再読である。今度こそ乗り切ろうと思って、新書版を借りた。
「ウロボロスの波動」から再読する。やっぱりイマイチくどい。諦めずに「小惑星ラプシヌプルクルの謎」を読むが、こっちも乗り切れない。
ようやく「ヒドラ氷穴」から面白くなってくる。登場人物像が見え始めたということか。「エウロパの竜」になるとさらに面白くなる。エウロパの氷を溶かしてみるとその海には知的生命体が・・・。面白いではないか。
乗ってきたまま「エインガナの声」を読む。AADD(=新人類)と旧人類の対立が宇宙船内で起こるが、そのオチがなかなか素晴らしい。ガーディアンたちも活躍してくるところがよくわかるのが、読みなれてきた証拠かな。そして、最後の「キャリバンの翼」では天才アリスも登場し、どっぷりとはまる感じかな。
最初の2題さえクリアすれば、とってもハードなSFで、読み手は選ぶものの、すばらしい作品だということが良く分かった。次のストリンガーがとても楽しみだ。 -
読んでも読んでも身にはいらなくて、またしても自分の読解力のなさ故と、諦めながら残り2ページ位のところまで惰性で読んだ。意地になって読んでいた私が馬鹿だった。残り2ページで読むのをやめた、ある意味記録的本。途中だけど「読み終わった」にしちゃった。