ウロボロスの波動 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 66
感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (293ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152084309

作品紹介・あらすじ

西暦2100年、1機のX線観測衛星が発見したブラックホール・カーリー-それがすべての始まりだった。カーリーの軌道を改変、その周囲に巨大な人工降着円盤を建設することで、太陽系全域を網羅するエネルギー転送システムを確立する-この1世紀におよぶ巨大プロジェクトのためAADDが創設されたが、その社会構造と価値観の相違は地球との間に深刻な対立を生み、人類は激動の時代を迎えようとしていた…。火星、エウロパ、チタニア-変貌する太陽系社会を背景に、星ぼしと人間たちのドラマを活写する連作短篇集。

感想・レビュー・書評

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  • 宇宙を舞台にするSFのワクワク感を堪能できる良書。こういう本を読めば、理系離れも少しは減るのじゃないかなぁと思う。単にSF好きの戯言からもしれないが。技術開発をしていこうと、改めてやる気が出る、良い本であった。

  • 古書購入
    SFからしばらく離れていたゼロ年代作品

  • 89:ブラックホール「カーリー」と、それを利用して太陽系全域にエネルギーをもたらすべく、人工降着円盤を作り出して……という硬派かつ正統派のSF。そもそも「人工降着円盤」て何ですか、というレベルの私ですが、突き詰めていくと人と人との物語になるせいか、前に読んだ「スペースプローブ」より楽しめました。連作形式だったのもよかったのかも知れません。もう少し私に知識があればと、残念に思います。

  • SF。連作短編集。
    ハードな本格SF。言葉は難しいけど、ギリギリ想像できる範囲内。
    全体的にミステリ調のストーリー展開で意外と読みやすい。
    気に入ったのは以下3作。

    「ウロボロスの波動」起こるはずのない事故。AIの反乱?長編にできそうなほど濃密。テンポも良い。
    「ヒドラ氷穴」サスペンス調。スリリング。良作。
    「エウロパの龍」衛星での生命探査。こういう冒険もの、とても好みです。

    最終話は次作へと繋がりそうな雰囲気。
    続きはファーストコンタクトの要素が強くなりそう。

  • 西暦2100年に発見された超小型のブラックホール、カーリー。この軌道を改変して、周囲に人口降着円盤を建設、太陽系全域を網羅するエネルギー転送システムを創るという壮大な物語にまつわる連作短編集。
    「対消滅」、「降着円盤」、「コヒーレンス性」、「CAT天体」なんて文系にはとっつきにくい言葉が一杯出てくるが、描かれているのは人身事故の謎解き(ウロボロスの波動)、暗殺者と保安部隊の攻防(ヒドラ氷穴)、謎の巨大生物の調査(エウロパの龍)であったりと、題材としては読み易い。ただ、各物語は短く盛り上がる前に終わってしまう印象。

  • 火星大の極小ブラックホールが太陽系に接近した。太陽系惑星に進出を果たしていた人類は、ブラックホールのエネルギーを利用するため降着円盤を建設する。そうした開発の過程で、宇宙移民と地球人類の間にギャップが生まれ、争いが起こる。争いの最中にも、人類は惑星探索から恒星間探索へと開発の道を探る。
    SF短編作品集。機械やシステムの描写はそれほど細かくはないが、科学的素養が無ければイメージしづらい表現はいくつかある。人々の思惑や感情については、深い描写ではなくサラッとした描写。想像力をかき立てるというよりは、淡々とした描写。食い足りない感じもするが、知らない世界の紹介文という意味では面白いとも感じる。

  •  再読である。今度こそ乗り切ろうと思って、新書版を借りた。

     「ウロボロスの波動」から再読する。やっぱりイマイチくどい。諦めずに「小惑星ラプシヌプルクルの謎」を読むが、こっちも乗り切れない。

     ようやく「ヒドラ氷穴」から面白くなってくる。登場人物像が見え始めたということか。「エウロパの竜」になるとさらに面白くなる。エウロパの氷を溶かしてみるとその海には知的生命体が・・・。面白いではないか。

     乗ってきたまま「エインガナの声」を読む。AADD(=新人類)と旧人類の対立が宇宙船内で起こるが、そのオチがなかなか素晴らしい。ガーディアンたちも活躍してくるところがよくわかるのが、読みなれてきた証拠かな。そして、最後の「キャリバンの翼」では天才アリスも登場し、どっぷりとはまる感じかな。

     最初の2題さえクリアすれば、とってもハードなSFで、読み手は選ぶものの、すばらしい作品だということが良く分かった。次のストリンガーがとても楽しみだ。

  • 読んでも読んでも身にはいらなくて、またしても自分の読解力のなさ故と、諦めながら残り2ページ位のところまで惰性で読んだ。意地になって読んでいた私が馬鹿だった。残り2ページで読むのをやめた、ある意味記録的本。途中だけど「読み終わった」にしちゃった。

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著者プロフィール

林 譲治(はやし・じょうじ)
1962年、北海道生まれ。ナイキミサイル基地訴訟で揺れ、千歳基地が隣接するという環境で育ったため、
幼い頃より軍事や防衛問題に関心を抱く。戦略シミュレーションの原案などで活躍後、作家デビュー。
確かな歴史観に裏打ちされた作品で人気を集める。
著書は『戦艦大和航空隊』『異邦戦艦、鋼鉄の凱歌』『新生八八機動部隊』(以上小社刊)、
『帝国電撃航空隊』『超武装戦闘機隊』(電波社)、『星系出雲の兵站』(早川書房)など多数。

「2020年 『技術要塞戦艦大和 (3) 珊瑚海海戦!』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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