歴史の方程式―科学は大事件を予知できるか

  • 早川書房
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レビュー : 13
  • Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152085283

作品紹介・あらすじ

たいていの研究者によれば、歴史上の重要な出来事は「起こるべくして起こった」のだという。また「歴史は繰り返す」、「100年に1度起こる」という周期論を繰り広げる者もいる。だが本当に歴史に必然性があるなら、物理科学的な手法を用いて、歴史の大変動をより正確に予測することは可能だろうか?歴史の方程式を探す鍵は、自然界に遍在する「冪乗則」にあった。事象の規模と頻度の関係がフラクタル構造をもつというこの不思議な規則性は、地震の発生や山火事の延焼などの多くの自然現象に見られるだけでなく、なぜ恐竜は滅んだのかといった問いにも大きなヒントを与えてくれる。また、冪乗則は、景気循環や都市の発展など、人間の意志が介在する事象のなかにも観察することができる。これを戦争の勃発、科学上の大発見など、もっと複雑な状況に応用するとき、私たちはこの世界の構造について深い洞察を得ることができるのだ。複雑系科学の方法で、歴史という人為の集積を読み解く-読者とともにそんな知的探求を楽しみながら、その過程にある科学的な考え方をわかりやすく解説するポピュラー・サイエンス。

感想・レビュー・書評

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  • 1300円購入2006-05-20

  • 集団の中の一要素に起こった変化が近隣の要素に伝播するシステムでは、全体に影響を及ぼす規模の大きさを予測不可能であることが原理的に成立する。しかしながら、このようなシステムでは全体の変化の規模がある特定の法則に従う(べき乗則:両対数グラフにすると直線になる)ということから、対象を歴史にまで広げて考察を進めたもの。

    第13章までは迫力があったのですが、肝心の第14章歴史のところに来ると「序説その一」のような感じでほのめかし程度で終わっているのが残念です。邦訳の書名が少しやりすぎなのかもしれませんが。原題の「Ubiquity, the science of history or why the world is simpler than we think」ってのが巨匠の映画の題名に似ていてとっても良いです。

  • 第1章 第一の原因
    第2章 地震ゲーム
    第3章 滑稽な論理
    第4章 歴史の偶然
    第5章 運命の分かれ道
    第6章 磁石論
    第7章 臨界的思考
    第8章 殺戮の時
    第9章 生命のネットワーク
    第10章 ワイルド・アット・ハート
    第11章 意思に逆らう
    第12章 学問の地震
    第13章 数の問題
    第14章 歴史の問題
    第15章 非科学的なあとがき

  • ブラックスワンを裏付ける書物。地震、山火事、資産額、人口、株価、戦争等の事例をだし分かり易い。またこれらがフラクタルになることを説明し、起こることがランダムであることを主張している。読んでいながら、自然科学のみならず、社会科学分野、特に人間の行動においてどのような現象があるのか、そしてそれに対してどの様に対処すれば良いのか、考えさせられた良書。結局、この世の事象とは、人間が後付で理由を作っているに等しく、ロングテール事象での事前対応には限界があり、それよりは、事後の対応の仕方をどうするのかを考えたほうが結果的に得策である、という点に行き着く。

  •  地震や山火事といった災害、相場変動や恐慌といった経済現象、文化や流行などの社会現象、進化や感染といった生物現象。これらの問題は構成要素が多岐にわたり、複雑に相互作用するため予測が不可能とされる。
     しかし、それらの問題から法則性を導き出して予測を成功させるべく、複雑系理論、非平衡統計学、歴史物理学など、耳慣れない学問を駆使して追及していく内容。
     研究によれば全ての複雑な問題は、構成要素を拡大すると全体の文脈に一致するフラクタル構造をなしており、その規模と頻度は冪乗則にしたがうという。(地震を例にとれば、マグニチュードが2倍になると回数が1/4になる、というふうに)
     で、法則性をはじき出したから予測できるかといえば、それはまた別の話らしい。すでに発生した事象については説明が可能だが、予測は不可能という当たり前すぎる結論。なんか、出来ない言い訳を延々と読まされているようで、ちょっとつらくなった。まあ、カオスやフラクタル、自己組織臨界などの概念を理解するにはいいかもしれない。でも、だったら「複雑系入門」的なポピュラーサイエンスのほうが分かりやすいしなあ・・・。

  • 歴史は複雑系科学で説明されるものであり、叙述や線形で予測できるものではないとする。例えば、戦争の死者数はベキ乗則に支配されており、予測は不可能。日本に紹介された一般向け書籍としてはかなり早い段階でベキ乗則で社会科学を説明する画期的な本だった。

  • 未来を科学的に予測できるかの質問に対してはNOを示す本。
    べき乗則になってしまう限り、事象はランダムに発生してしまう。これは経済でも生物の大量絶滅についても例外がないらしい。
    予測不可なものが科学的にあると考えるのがいいかもしれない。

  • やっと「歴史の方程式」に着手。妥当性の低い相関関係や正規分布に基づいたくだらない社会科学に終止符をw

  • 原題は「Ubiquity - the science of history or why the world is simpler than we think」

    邦訳は「歴史の方程式ー科学は大事件を予知できるか」

    人間の歴史をもっと単純な物理現象に還元し,そこから得られた知見を再び歴史に当てはめてみる,というアプローチ.

    予知ができないという点で類似している地震を最初のテーマとして取り上げ,近年の研究から予測はかなり難しいということがわかってきた.
    しかし,地震の性質についてはよくわかってきている.例えば,震度と頻度をプロットすると,ある分布ーべき分布ーに従っているようだ,とか.
    そして,このべき分布は自然ひいては社会にも普遍的に存在する性質(Ubiquity)らしい.

    人間をアトム的に見ると,単純な法則が見いだしづらいが集合としてみれば,ある程度予測は可能かもしれない・・・

    タイトルは異なれ,最近はこの手の本つまり自然界はべき法則を好む,という事実を紹介した本があるので,そっちでもいいかなぁ・・・
    例えば,金融系なら「禁断の市場 フラクタルでみるリスクとリターン」
    そのままズバリの「歴史は「べき乗則」で動く」とか,最近の「ブラックスワン」とか.
    こうやってみると,最近べき分布関連の本が多いな・・・

  • 装丁はなんかダサいし、前半は砂山モデルやら磁石論やら、僕には難しい話。しかし「大事件」や「大災害」も特別なきっかけがあるわけではなく、すべては「冪乗則」の範疇で理解しうる、という主張はわかった。「大事件」や「大災害」が起こることに、「小事件」や「小災害」と異なる理由などないのだ、という思い切った主張である。

    そして、終盤にさしかかってくるともうひとつの結論が見えてくる。それは要するに、「我々はその答えを知らない。我々が知っているのは、人々がすべてある団結へと向かうことによって、それらは起こるということだけだ。それが人間の性質であり、それが法則なのだ」(p293)ということなのだと思う。

    とはいえ次のようにもブキャナンは述べている。

    「残念ながら歴史学者の語る物語は、表面的な出来事の連鎖を大雑把に語っているにすぎず、その裏に隠されたより深遠な歴史的過程には触れていない」

    あるいは「歴史学者は、何が起こっただけではなく、この一般的な特徴をもつ出来事がなぜ起こらなければならないのか、そしてなぜ間違いなく再び起こるのかといった、歴史に対するより深遠な理解を得る」(p229)必要があるとするくだりも印象的だった。

    しかし「深遠な理解」を得るために引かれるのは、やっぱりE・H・カーなのである。あとトーマス・クーン。結局一読した感想は、この2人の偉大さが改めて印象に残ったということである。

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