犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

  • 早川書房
3.93
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本棚登録 : 566
感想 : 86
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  • Amazon.co.jp ・本 (542ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152085535

作品紹介・あらすじ

オックスフォード大学史学部の学生ネッド・ヘンリーは、第二次大戦中のロンドン大空襲で焼失したコヴェントリー大聖堂の再建計画の資料集めの毎日を送っていた。だが、計画の責任者レイディ・シュラプネルの命令で、20世紀と21世紀を時間旅行で行ったり来たりさせられたネッドは、疲労困憊、ついには過労で倒れてしまった。シュラプネルから、大聖堂にあったはずの「主教の鳥株」という花瓶をぜひとも探し出せと言われていたのだ。二週間の絶対安静を言い渡されたものの、シュラプネルのいる現代にいては、ゆっくり休めるはずもない。史学部のダンワージー教授は、ネッドをのんびりできるにちがいない、19世紀のヴィクトリア朝へ派遣する。ところが、時間旅行ぼけでぼんやりしていたせいで、まさか自分が時空連続体の存亡を賭けた重要な任務をさずかっているとは夢にも思っていなかった…。ジェローム・K・ジェロームのユーモア小説『ボートの三人男』にオマージュをささげつつ、SFと本格ミステリを絶妙に融合させ、ヒューゴー賞・ローカス賞のほか、クルト・ラスヴィッツ賞を受賞したタイムトラベル・ユーモア小説。

感想・レビュー・書評

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  • ずっと読みたい読みたいと思いながら、二段組みでこのページ数ということで読むタイミングを見計らうこと数年……ようやく手に取る決心がついた。結果、面白かった。SF、ミステリー、歴史、恋愛など、いろんな要素がみっしり詰まって、ページ数に見合う読み応えたっぷりな展開に大満足。登場人物(動物含め)もそろって個性的で、一筋縄ではいかない手ごわい彼らなのに、歴史の修復力ってすごいなと思う。主人公のぼやきもいい味を出していて、何度吹いたりにやけたことか。ラストへと向かう流れに乗ったときは快感だった。

  • 読み終わって日が経っても、まだ興奮が冷めない。
    何この面白さーーー!!
    タイトルから思い切り「本歌取り」している「ボートの三人男」をはじめ、様々な古典作品が散りばめてあってニヤッとさせられる。
    タイムトラベルもののSFで、史実も上手く絡めてあって、ちょっとミステリでもあり、そして素敵なロマンス作品でもある。
    これだけ詰め込んでいて結構な長さなのだけど、読後感はとてもすっきり。
    全部の謎がするする解けて繋がり、気持ちいい!
    はーーーーー面白かった!
    これは是非また再読したい。
    でも絶対電車で読んじゃだめ。吹き出す。

  • 933 ウ

    史学生のネッドは、レディ・シュネプラルの命令で大聖堂にあったはずの「主教の鳥株」という花瓶をぜひとも探し出せと言われていた。しかし、「降下(タイムスリップ)」のしすぎで、重度のタイムラグにかかった彼は、ダンワージー教授の計いで、エリザベス朝で休養することになったのだが…。

    風景描写が若干くどく感じるが、結局、「次どうなるんだろう?」と引っ張られて読み終わった。
    タイムトラベル×ミステリー&ラブ・コメディといった盛り沢山なSF。

    タイムトラベルSFはコメディになりうるな、と感心。
    タイムパラドクスを解決するために、腐心するが、結局うまくいかず、ターゲットが間違った相手と恋に落ちたりする。が、それがすべてじつは、タイムパラドックスの解決のための行動だったりする。 

    それから現代では「古典」とされているものが、その時代に人には(当然ながら)新鮮なベストセラーだったり。そのズレも笑えたりする。

    これを読むと「エリザベス朝」時代というのが、現代欧米人にとって一種独特で、憧れのある時代なのかなーと感じる。
    日本で言うところの江戸時代、とか、平安時代みたいな。

    「犬」も可愛いですが(ブルドック)「猫」も出てきます。

  • SFという枠に縛られず、やりたい放題いろいろと詰め込まれてます。
    すごくおもしろい!!そして読みやすい。(ボリュームはあるけど)
    ちりばめられたウィットの多さや、過去のイギリスの著名人(本の中の人物含む)がクスっとさせられる。
    章の始めにあるあらすじを先に読んでるので、大体の流れは予想してるけど、
    思いがけない展開になることが多く、そこがまた面白い。
    読者の想像力をフルに活用させるような章立てになってると思う。
    とにかくおもしろい。1週間かけてじっくり読ませてもらいました。
    この人の本を他にも読みたいなぁ。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      私にとって、コニー・ウィリスは文庫になったら必ず購入する作家(最近出たのは未だ買ってませんが)
      私にとって、コニー・ウィリスは文庫になったら必ず購入する作家(最近出たのは未だ買ってませんが)
      2014/03/14
  • おもしろかった!
    最初は状況を理解するのに苦労したけど後半、特にミスターCの謎について見当ついてからは一気に読めた。
    ジーヴズファンの私にそこの小ネタはかなりツボ。フィンチとべインが出てくるたびにときめいた。べインに河に投げ込まれたい。
    あいにく『ボートの三人男』は読んでいない。『ボート~』も含めもっとたくさん本を読んでからまた読み直したい一作。

  • 最高に面白い!SFに分類されるようですが、どちらかというとレトロな話で、愛らしくばかばかしく、されど感動的な小説でした。最初「主教の鳥株」というのが何か、わからないうちはちょっと読みづらいですが、ビクトリア朝へタイムトリップしてからは本当に面白いです。

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「愛らしくばかばかしく」
      そうですよね!
      コニー・ウィリス な洒落てて好きな作家の一人です(最近出た本は読めてませんが、、、)
      「愛らしくばかばかしく」
      そうですよね!
      コニー・ウィリス な洒落てて好きな作家の一人です(最近出た本は読めてませんが、、、)
      2013/06/19
  • ハードカバーで読んでしまったけど、文庫の表紙のほうが断然可愛い!

    とにかく長い本。しかも冒頭100ページくらいは、主人公が極度のタイムラグを患っているという設定のため「もう読むのやめよう…」と思ったくらい意味が分からない。途中から面白くなるといううわさを聞いて飛ばしながら読み進めた。確かに、ヴェリティが出てきてからは、俄然面白くなった。1度目は設定についていくだけで精一杯だったので、2度目に読んだらもっと楽しめそうだと思った。

    • imuzak12さん
      この本、面白そうだけど確かに長いですねぇ。犬が出てくる本に弱い私、とりあえずはメモらせていただきます。”途中から面白くなる”という情報を頼り...
      この本、面白そうだけど確かに長いですねぇ。犬が出てくる本に弱い私、とりあえずはメモらせていただきます。”途中から面白くなる”という情報を頼りに挑戦してみよう。
      2012/07/10
    • naokoulaさん
      imuzakさん、最初はかなりの忍耐が必要でした。「もう限界!」となって50ページくらい更に耐えると面白くなりました(笑)読まれたらまた感想...
      imuzakさん、最初はかなりの忍耐が必要でした。「もう限界!」となって50ページくらい更に耐えると面白くなりました(笑)読まれたらまた感想をお聞かせください^^
      2012/07/18
  • 最後の方、良く分らなかった

  • SF?SFですとも。
    間違いのないSF作品です。
    まあ、登場人物がしょっちゅうへまをやらかす
    スットコドッコイものですが。

    ある教会のお宝を何としても
    入手しようとする者たちの物語です。
    ある時点まではタイムスリップできるのです。
    だけれども、直接入手できる時系列まではいけない…
    なんというジレンマ。

    ある映画を思い出してしまいました。
    (デロリアンのあいつ)
    だけれどもあの作品との違いは
    時にそのタイムスリップが狂う
    事象を変化させられるというのが違い。

    だから時に思わぬ事態になることも。

    そしてこれ、どうもシリーズもので三部作みたい。
    ま、それ抜きでも楽しめます。

  • 犬は勘定に入れません…あるいは、消えたヴィクトリア朝花瓶の謎

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