- 本 ・本 (368ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152085771
感想・レビュー・書評
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18世紀半ばに実際にかわされた恋文から、再現したある恋人たちの恋の物語。
ジュスティニアーナの魅力が素敵、なんだけれど、他者から見た視点が少ないので(資料が2人の手紙のみなのであたりまえなんだけど)残念。
創作でもいいので読みたいなぁ、と。
でも相手の男性の魅力がわかりませんw詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
副題は「十八世紀、許されざる恋人たちの物語」
著者の父がご先祖の館で発見した物を含め、残されていた恋文から二人の人生を追ったノンフィクションです。
ヴェネツィアの名門メンモ家のアンドレアとイギリス人の血をひくジュスティニアーナ・ウィン。
カサノヴァの知人でもあったとか。
アンドレアは千年続いた名門の前途有望な青年。
当時は身分違いの結婚などすれば社交界から締め出され、職も失うという厳しさ。貴族も楽じゃないんですね〜。
一方、ジュスティニアーナは下級貴族の庶子。
両家に反対された二人は暗号を交えた熱烈な手紙を交わしながら忍び逢います。結婚前の娘は出歩くのもままならないので、アンドレアは彼女に老人との結婚を勧めるようになります。
彼女はヴェネツィア、パリ、ロンドンと社交界を流れ歩き、スキャンダルの渦中に。ドラマチックな展開は小説のように面白いですが、ジュスティニアーナの苦難の道のりに息詰まる思い。
どこに行っても人に好かれる溌剌とした個性を持った女性で、後には自分のサロンを持ちました。
二人の没後、ナポレオンの侵攻でヴェネツィア共和国はあっけなく終焉してしまう、その最後の光芒を感じさせる時代だったんですね。 -
著者の祖先であるヴェネツィアの旧家の子息アンドレア・メンモとヴェネツィア人とイギリス人の庶出の娘ジュスティニアーナ・ウィンの18世紀に交された現存している書簡の引用しつつ、歴史的背景を浮かび上がらせながらふたりの人生の軌跡を綴ったノンフィクション。
アンドレア・メンモはヴェネツィアの名門貴族の家に生まれ、元首に継ぐサン・マルコ財務官まで上り詰めている。
本書の後半部分は、ジュスティニアーナの手紙しか残っていないため、メンモの人生のディテールは語られないが、若い頃から、自分の家柄と生き方に自覚を持っていた人物だった。
彼が、青年時代、ジュスティニアーナという美しい娘と出会い、恋に落ちるが、身分の差があり結ばれない。
ふたりは、文字をふたりの考え出した秘密の符牒で表し、それを使って書簡の行き来をさせた。
ふたりの気持ちは、結婚が絶望的だとわかってからも通じ合っていたが、やがて友情にかわっていく。
ふたりの共通の知り合いに彼のカサノヴァも含まれており、ジュスティニアーナが、修道院でこっそりと子供を生む手助けなどをしている。
ふたりが生きた時代を経て間もなくヴェネツィア共和国は終焉を向かえた。
桃井緑美子の作品





