- Amazon.co.jp ・本 (460ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152086129
作品紹介・あらすじ
ガリレオの指さす方向へ進んだ科学が到達した高み。そこから見渡される10の主要な科学理論をセレクトし解説する、『エントロピーと秩序』の名匠アトキンス渾身の1冊。
感想・レビュー・書評
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え、あのアトキンス?? そう、本書は、化学系の多くの方が大学時代お世話になった教科書『アトキンス物理化学』の著者が書いた本だ。教科書のような専門書だけでなく、このような一般向けの書籍も出しているとは知らなかった。
本書では、科学研究が新しい方向へ進み出した転機となるような10の「深遠なアイデア」について解説した本だ。進化、DNA、エネルギー、エントロピー、原子、対称性、量子、宇宙論、時空、算術、これら10のトピックについて、そのアイデアの持つ意味、世界に与えた影響、歴史などについてそれぞれ40ページ程度で解説している。少ない文量にもかかわらず、重要はきっちり書かれており、わかりやすい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
進化、DNA、エネルギー、エントロピー、原子、対称性、量子、宇宙論、時空、算術。このように“10大理論”のタイトルだけ並べても何だかよくわからないが、読み進めると引き込まれる。学問的な説明だけでなく科学者達の人間ドラマも織り交ぜて語られるため飽きることなく読めるのだ。筆者の構成力の高さに脱帽する。
前半は比較的普通の人にも感覚的にわかる話で、理系であればたいていの人が勉強したことのあるテーマだ。しかし後半に入ると、私たちの日常感覚から遠く離れた世界に放り込まれる。複雑性の歴史と対称性の美、極微から極大の世界を旅して、最終章では「理性の限界」が暴れる。
「事実は小説より奇なり」と言うが、「科学は空想より奇なり」と言い換えても良いだろう。ガリレオが提唱した科学的手法による実験観察の結果は、人間が素朴に考えていた世界観を根底から覆しつつある。それはもちろん、無視できるほど小さな敗北であり、誇るべき大きな前進だ。
私が脳科学に関する本のレビューで、科学が哲学を追い越したと書いたのはそういうことでもある。時空は連続ではなく、事象は決定論的にはふるまわない。しかも算術は不完全なのだ。
大部な本なので読み始めるのに覚悟がいるが、読み始めたら一気だ。 -
秀逸なタイトル。本を開いてすぐの「指」の写真とその解説に惹かれた。
購入からもう2年経つのに未だに読み終わらない。 -
サイエンス
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460ページを超える厚い本だけど、科学を網羅的、統合的に分かりやすく解説してある。科学というと分野別に書いてあることがほとんどだが、科学の横軸を通すような視点で理解が深まる。特に4章エントロピーから7章量子論まで今まで読んだことないほど楽しめた。難しいことを分かりやすくとはこのことだ。こんな先生に教わることができる人は幸せだ。
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1 進化―複雑さの出現
2 DNA―生物学の合理化
*2017/11/16ここまで
3 エネルギー―収支勘定の通貨
4 エントロピー―変化の原動力
5 原子―物質の還元
6 対称性―美の定量化
7 量子―理解の単純化
8 宇宙論―広がりゆく現実
9 時空―活動の場
10 算術―理性の限界 -
かなり難解であった。副題にある通り、現代科学の基礎となる10個の理論についての解説で、いわば大人のための本格的な教科書である。進化とは、エネルギーやエントロピーとは、原子、宇宙、時空、数学とは・・・。すべてを理解できるわけではないが要所でなるほどと思わせることがあり、ひとまずそれで十分かと。しかし、これだけ幅広い分野の専門的な内容について著者の解説はどれもかなり深く鋭く、サイエンス・コミュニケーターというのはかくあるべきかと思う。
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大崎Lib
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2014/06/04
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