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本 ・本 (100ページ) / ISBN・EAN: 9784152086518
感想・レビュー・書評
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古き良き時代のアンソロジー
表題作「火星ノンストップ(ジャック・ウィリアムスン)」はハチャメチャだけど、明るいハッピーエンドが決まるいい作品。
二番手「時の脇道(マレイ・ラインスター)」はイマイチかなぁ。平行宇宙が地球上にってのは、クラーク&バクスター作品の前駆体かな。
堀晃作品『蜜の壷(?)』を思い出した「シャンブロウ(C・L・ムーア)」はなかなかに艶かしい。人類の崩壊はこういったことが主要因になりそうだ。レイチェル・カールソンじゃないけど。
アバターのイメージが交錯する「わが名はジョー(ポール・アンダースン)」は、木星描写に乗れればOK。しかし、地球上のどこかのむしろ戦争物語と思ったほうが良いかも。
良かったなぁと思うのが「野獣の地下牢(A・E・ヴァン・ヴォクト)」。エイリアン目線は新鮮だし、エイリアン側の親玉が登場してからは、けっこう派手などんでん返しがある。しかもそのうえ小エイリアンのオチがすばらしい。これ一番良かった。
ラスト一行のためにあるような冒険心くすぐる「焦熱面横断(アラン・E・ナース)」も傑作。横断の描写はイマイチだが、どんでん返しが泣ける。
ハートウォーミングなオチが光るものの、タウ空間がわかりにくい「ラムダ・1(コリン・キャップ)」がラストを飾る。
まぁまぁ楽しいクラシックSF短編集かな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
どの作品もアイデアの突飛さに驚きつつ、とても楽しめたし、
元気が出るパワーに満ち溢れた短編集。
特に「火星ノンストップ」、「シャンブロウ」が好き。
『SFは絵だぜ』という故・野田昌弘先生の言葉に共感できる人にはおススメ。 -
面白かった!ト学会会長の山本弘選による海外古典SFアンソロジー第1弾で「胸躍る冒険篇」ですよ。 アンソロジーに収録された作品は30〜60年代に執筆されたもので、現在の天文学知識からみるとめちゃくちゃだったり、古臭くて時代遅れだったりするのだけど、でも、センス・オブ・ワンダーに満ち満ちていて、ストレートゆえにどの作品も力強い。迸るイマジネーションの世界に、激しく心揺さぶられるのだ。 どの作品も荒唐無稽で馬鹿馬鹿しいほどに愛しいのだけど、特に気に入ったのはプロペラ機で火星まで行っちゃう(!!)「火星ノンストップ」、古い水星の灼熱面の描写がリアルで暑苦しい「焦熱面横断」、それにあの念願叶った野田昌宏訳による「シャンブロウ」でしょうか。くぅ。なぜ「シャンブロウ」が絶版なのか、不思議でしょうがない。 21世紀の今読んでも十分面白いのに、埋もれたままの古典SFがまだまだたくさんあるんでしょうね。企画では今後5巻、予定されているとか。期待して待ちたい。(2006.9.14読了)
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ヴィンテージSFセレクションの第1巻。冒険編。
売れれば(笑)、続刊するとか。
恥ずかしながら、昔の(最近のもだけど)SFは全然読んだことがないんで、
こういう風なアンソロジーが出てくれるのは、非常に歓迎。
収録作品
・『火星ノンストップ』……ジャック・ウィリアムスン
地球全土で、異常気象が続発していた。
それは火星から、地球の大気が奪われている為に起こっていた!
時代遅れの飛行機に乗った冒険家のリーは、
単身、力場チューブの中を通り、火星まで飛び立つ!
・『時の脇道』……マレイ・ラインスター
突如、世界中でヴァイキングや恐竜が現れる。
それは、この世界と並行して存在している無数の現在が、あちこちに現れていたのだ。
南軍が買ったアメリカ、中国人がアメリカを発見した世界、
ルイ王制がいまだに続くフランス……
その現象を予見していたミノット教授は、今だ文明の発達していない世界を見つけ、
そこの支配者になろうと目論んでいた!
・『シャンブロウ』……C・L・ムーア
ノースウェスト・スミスは、狂ったような人々に追われている女性を助けた。
人々は彼女をシャンブロウと呼び、こちらに渡せと迫るが……
・『わが名はジョー』……ポール・アンダースン
木星開発のために創り出された人造生命体、ジョー。
アングルシーはジョーに自分の精神を投射し、自分の体のように操っていた。
しかし、最近、機械の故障が増える。
地球からやって来たコーネリアスはその原因を調べるが……
・『野獣の地下牢』……A・E・ヴァン・ヴォクト
あらゆる姿に変身できる、液体のようなアンドロイド。
それは地球にやってきて、最高の数学者を見つけるのが目的だった。
その理由は?
・『焦熱面横断』……アラン・E・ナース
太陽系で最も暑い場所、近日点にある水星の昼側。
バロンはその焦熱面を横断することを計画し、
そこからの唯一の生還者、クレイニーの話を聞く。
・『ラムダ・1』……コリン・キャップ
あらゆる場所を直線で結ぶタウ空間航行。
しかし、一隻の船が、その異空間内で遭難してしまう。
しかも救出方法はなく、エネルギーが切れたとき、膨大な破壊力を生み出す。
ポーターと友人の心理学者プレヴィスは、ごくわずかな可能性があるのは、
唯一、実験機ラムダ・1しかないことを思いつき、出発する。
何十年も昔の作品だから、素数の桁数とか水星の公転とか、
今から見れば科学知識が時代遅れの部分が多々あるけど、
それを補ってあまりあるヴィジュアルの素晴らしさ!
お気に入りは、『火星ノンストップ』『シャンブロウ』『焦熱面横断』『ラムダ・1』。
プロペラ機で火星まで飛んでいくカッコ良さ。
官能的なシャンブロウ。
硫黄が沸騰し、銅が川となる焼けた荒野。
人間の脳が処理しきれない異空間の描写。
「昔のSFなんて……」という読まず嫌いの方がいたなら、是非一読。
ヴィンテージものならではの発見や楽しみがあります。
ところで、あとがきにSF入門者向けって書いてあったけど、
この値段じゃ、SFヲタクしか買わないよ。文庫で出して欲しいよなぁ。
蛇足だけど、カバー剥がすと、アメリカのペーパーバック風でイイ感じ。
アンソロジーの作品





