どちらでもいい

  • 早川書房
3.29
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (174ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152087331

感想・レビュー・書評

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  • うろの中を覗き込むようなショートショート。
    斧の話がバランス的に一番読みやすかった。
    何も知らずに読み始めて、
    アイデアの書き付けみたいなテンポに首をひねって、
    編集者が習作の類を集めたものと聞いて腑に落ちた。
    そういうのはその人のファンになったら
    掘り出してでも読むのがいいかなーと思う。
    カバーのスケッチブックの形は習作集の感じを出してるのかな

    ところで本の話をしたこともない知人が
    この本をくれた意味がすごく分からない。

  • 短編集。

    翻訳物だけど、文章がいい。内容は、よく分からないものもあった。

  • ショートショート集。どれも素敵。お気に入りは「北部行きの列車」

  • 外人作家といえば古典くさい人もしくはゼミで扱った戦中の作家のみだったので、軽く新鮮でした。この作家もハンガリー動乱からスイスに亡命してますが・・。

    短編集・・のハズなんだけど、一つ一つが物語・・というより物語形式の詩のようだと思った。短編ってこんな形式もあるんだなー。やはり数をこなさねば。
    さて、内容の自己解釈ですが!殆どの話がやっぱり一見、詩みたいな不思議な雰囲気をもった話です。けどもしかすると、一つ一つの物語が作家を取り巻く極めて自然な環境や生活のことを書いているのでは?と感じられた。一般的な「物語」が大体はオリジナルな創作として描かれているのに対して、日常の風景をあえて作家の視点で神秘的で不思議なものに変えて描いているような。
    ちなみに、自分が特に印象に残った作品は「斧」「北部行き」「先生方」「家」「街路」「運命の輪」「わたしの父」。
    最後の訳者解説の話ですが、タイトルの「どちらでもいい」や随所に出てくるマイナス表現。これは浅からぬニュアンスで「絶望」を表しているという。本文中では「彼女のテクストから、我々はある種の勇気を受け取るのではないか。人生の最後に待っているだけでなく、人生の時間の中に偏在している死を、これほど端的に直視させる文章を書くのは並大抵のことではあるまいからだ」とある。ウーム、深い。逆に勇気を・・。これで実は絶望ばかり見出す作家じゃないんだなあ。
    三部作を読みたくなりましたねー。

  • 短編集と言うよりもショートショートと言うべきか。
    玉石混交の短い話が25話。

    孤独、皮肉、空虚…と何だか寂しい気配が濃厚に漂う話ばかり。
    国内の動乱、国を捨てること、異言語での生活と言った作者の人生の辛さとか苦しみとか…昇華されなかった澱みたいなものが文字になってひっそりと生息しているような感じ。

    『わが妹リーヌ、わが兄ラノエ』の昏い兄妹愛、父を思う『わたしの父』が心に残った。

  • (再読)

  • 【粗筋・概要】
    アゴタ・クリストフの習作や書き付け25編の掌編を収録した短編集。

    【感想】
    『文盲』もそうだけれど、本作もあっという間に読み終わってしまった。物足りない。

    詩的や幻想的、意味不明な掌編などはいまいちであったけれど、皮肉な内容の「田園」「ホームディナー」、悲しい「わたしの父」は好き。

    私のような著者のファン向けの本だな。

  • <収録作品>
    「斧」La hache, 「北部行きの列車」Un train pour le Nord, 「我が家」Chez moi, 「運河」Le canal, 「ある労働者の死」La mort d'un ourvrier, 「もう食べたいと思わない」Je ne mange plus, 「先生方」Les professeurs, 「作家」L'écrivain, 「子供」L'enfant, 「家」La maison, 「わが妹リーヌ、わが兄ラノエ」Ma sœur Line, mon frère Lanoé, 「どちらでもいい」C'est égal, 「郵便受け」La boîte aux lettres, 「間違い電話」Les faux numéros, 「田園」La campagne, 「街路」Les rues, 「運命の輪」La grande roue, 「夜盗」Le cambrioleur, 「母親」La mère, 「ホームディナー」L'invitation, 「復習」La vengeance, 「ある町のこと」D'une ville, 「製品の売れ行き」Le Produit, 「私は思う」Je pense, 「わたしの父」Mon père

    <ひとことコメント>
     25篇の短篇集です。訳者あとがきによれば、「1970年代から1990年代前半頃までの(中略)習作のたぐいを編集者が発掘し、一冊に収録した」そうです。さらにこの訳者あとがきでは、いくつかの短編と今までの作品の関連が指摘されているので、また『悪童日記』から読み返したくなります。
    原題“C'est égal” ※文庫あり

  • 『この常軌を逸した、自然の掟に反する愛から治癒することはないだろう、決してないだろう!』―街路

    間違い電話、田園、街路、運命の輪、ホームディナー
    好きです。

    ショートショートで、あれだけの完成度はすごいです。
    確かに健康な文学ではないかもしれませんが、愛に飢えているからこそ、途方に暮れてるかんじに寄り添いたくなります。

  • ショートショート、といえるほどの短い文章の短編集。統一感や完成度にばらつきはあれど、救いのないくっきりとした言葉たちは、作者の他の作品に通じるエッセンスがちゃんと感じられる。

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著者プロフィール

1935年オーストリアとの国境に近い、ハンガリーの村に生まれる。1956年ハンガリー動乱の折、乳飲み子を抱いて夫と共に祖国を脱出、難民としてスイスに亡命する。スイスのヌーシャテル州(フランス語圏)に定住し、時計工場で働きながらフランス語を習得する。みずから持ち込んだ原稿がパリの大手出版社スイユで歓迎され、1986年『悪童日記』でデビュー。意外性のある独創的な傑作だと一躍脚光を浴び、40以上の言語に訳されて世界的大ベストセラーとなった。つづく『ふたりの証拠』『第三の嘘』で三部作を完結させる。作品は他に『昨日』、戯曲集『怪物』『伝染病』『どちらでもいい』など。2011年没。

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