本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・本 (216ページ) / ISBN・EAN: 9784152087751
感想・レビュー・書評
-
早川書房のミステリ小説(英米ミステリ多め、仏ミステリも)100作の書き出しと書評をまとめた本。ブックガイドとしても楽しめた。著者のプロフィール、書き出し部分の原文つきで親切。読んでみたい作品がたくさん増えました。
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
海外ミステリを書き出しとともに紹介。
名書き出しが並ぶことを期待していたが、わりと平凡な書き出しが多くて拍子抜け。
ウィリアム・アイリッシュ『幻の女』がずば抜けて秀逸すぎる。あとは、ルルー『オペラ座の怪人』、アシモフ『われはロボット』あたりは印象的。
書き出しとは関係なく、クレイグ・ライスとスー・グラフトンは気になる。 -
まあ、読書案内としてはいいんだけどあんまり肝心の書き出しは大したことない。これなら「書き出し」にこだわらず名文に範囲を広げればよかったのに。長いお別れだって書き出しより中のあのセリフの方がさらに好きだし。
-
名書き出しで、おそらく一番インパクトがあるものは
川端康成の
「国境のトンネルを抜けると雪国であった。夜の底が白くなった。」
と、個人的に思う。
この本に書かれているものの中で、これほどインパクトのあるもの
はない。
見出しだけを読んだだけでは、なんでこれが名書き出しなの?
というものが多い。
しかし、解説を読んでみると、大したことのないように思える
書出しが、実は伏線になっていたり、本の最後の文章と
対応して、うまく収まっているとのこと。
そりゃそうだ。この本は、文学の名書き出しではなく、ミステリーの
名書き出しだった。
川端康成みたいに、言葉の響きそのものが名文なのではなく
内容が名文なのである。
しかし、紹介されている本を読んだことがないので、本当に
後になって、感動するかはわからない。
いくつか気になったものがあったので、暇な時にでも
紹介されていた本を探して読んでみようと思う。
書出しは難しいと思うので、こういう企画の本は
非常にいいなと思った。 -
幻の女の出だしが格好よすぎる。
ボヘミア国王の醜聞も好き。 -
海外のミステリの有名どころ、名作のさわりと、選者のエッセー風コメントが非常に面白かった。
その昔、読んでみたいな~と思っていてすっかり忘れていた本が紹介されていて、つい未読だったことを思い出したり。(「あるスパイの墓碑銘」とか「深夜プラス1」とか)
また読みたい本が増えてしまったじゃないか…。 -
印象的な書き出しが100本紹介されている。
簡潔ながら衝撃的なもの、その後が気になって仕方ないもの、詩的なものなどなど、さまざまな種類の書き出しが挙げられていて、読みたくなってくる。 -
古典といわれるものから最近のものまで、ミステリ100本の書き出し(訳と原文)+書評を見開き2ページで集めた本です。本編には仏語のものも数編紹介されていますが、英米ミステリが大半を占めます。
訳者さんの見事なパフォーマンスによって仕上がった作品を手に取り、「原文ってどうなってるの?」と興味をそそられるのは翻訳文学好きにはお約束の心理(だと思う)なのですが、この本はそんな好奇心をとてもお手軽に満たしてくれます(笑)。気になった原文を探して洋書売り場でいたずらに疲れることもなく(笑)、原作者の凝りに凝った、あるいはそっけないほどすっきりとした書き出しなどをたくさん読めます。
そういった意味では、ミステリファンというよりも「英語(or仏語)のペーパーバック、読めるかなぁ?」とおっかなびっくりで手を出しかねているかたに、よりおすすめなのかもしれません。当然のことながら、こういった書き出しは作品のためにあるので、「外国語を書く能力をつけたりする手助けになるのでは?」と思って手に取るとあっさり裏切られます(それは私:笑)。各作家の操る言語を楽しむにとどめておくのが賢明なように思います。
個人的にはジョン・ル・カレ「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」、ドナルド・E・ウェストレイク「踊る黄金像」が好みです。名書き出しとして名高いウィリアム・アイリッシュ「幻の女」などはやはり夢のように美しくて「これってミステリ?」と思ってしまうほどです。
早川書房さんならではの好企画だと思いますし、近ごろミステリから割合距離を置いている私にとっては、面白く読めたというだけでも☆5つなのですが、英米以外のもの(少ないですがドイツものとか)ももう少し加えていただければよかったと思いますので、☆1つ引きます。ごめんなさい。
[2007.2.26にAmazon.co.jpにアップしたレビューをこちらにもアップし、一部書きなおしました]
早川書房編集部の作品





