スクール・デイズ (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房 (2006年12月15日発売)
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本 ・本 (312ページ) / ISBN・EAN: 9784152087805

感想・レビュー・書評

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  • これはストーリーとしてよくできた、ここ最近では出色の出来ではないか。ハッキリ言って酷い話で、事件の関係者に起きた事を思うと救いがないというか、いつもながらスペンサーはユーモアに紛らせながら飄々と語りますが、いや、なかなか。子供にまつわる悲劇はやはり辛いものがある。今回はスペンサーというより、ラストのリタ・フィオーレにずいぶん救われたように思う。

    それにしても中盤くらいに、かつてのスペンサーならスーザンに泣き言言いまくって慰めてもらわないと立ち直れなかったであろうエピソードが起きるけど、物語としてあの処理で良かったの?子供達相手に格好つけるだけ格好つけて、事が起きたら姿も見せなくなるなんて、ちょっとスペンサーとしてはくさいものに蓋しちゃったんじゃないでしょうか。

    #スペンサーシリーズ全部読む

  • スペンサー・シリーズの33作目。

    ホークがいない。
    代わりといっては何だが、
    メイジャー・ジョンスンという黒人ギャングのボスが出てくる。
    誰だっけと思っていたら、
    解説によると「ダブル・デュースの対決」で登場したらしい。
    そういえば、ホークを尊敬しながら対決していた少年ギャングがいたっけ。

    スーザンもいないが、こちらは学会に出かけているとわかった。
    そんなふたりの不在中に、
    スペンサーはふたりの少年による構内銃乱射事件を調べることにする。
    その容疑者の祖母の依頼は、
    スペンサー史上、最も毅然とした、自信に満ちた、有無を言わせないものだった。

    学校内での銃乱射と大人と生徒間の恋愛という現実を色濃く映した今回の事件では、
    学校内の力関係に軋みを生じさせた結果、
    少女が殺され、少年を殺すことになってしまったスペンサー。
    容疑者の少年には、地獄の中でましな場所を与えようとはしていたが、
    救い出すことはできず後味はほろ苦い。

    ちなみにその祖母と交わした会話、
    ”あるものを、ありそうに見えるものの終局にせよ”
    ”唯一の皇帝はアイスクリームの皇帝だ”は
    ウォレス・スティーヴンズというアメリカの詩人の詩らしい。

    訳者が変わって古臭さが抜けたような。
    古っぽい感じはそれはそれで楽しんでいたし、
    今のすっきりとした感じも悪くない。

    ホークは大丈夫なのだろうか。

  •  なぜ銃乱射事件を起こしてしまったかの、本人の心象風景を、あえて第3社からの伝聞で落とし込んでいく、不思議な小説。
     いまいち感情移入ができず…

  •  ひさしぶりにスーザンもホークも登場しない作品。その分、スペンサーのスペンサーらしさがくっきりと出たような気がする。少年の犯罪を扱った作品だけど、同じように精神的に問題を抱えている少年を扱った作品としても、たとえば「初秋」からずいぶん遠くへ来てしまったような感じがする。時代はそんなふうに動いていると言うことだろう。

     何ともやりきれないような、微妙な結末だけど、スペンサーの明るさとキャラクターで何とかバランスをとっている。すっきりしないところが正直でいいと思う。すっきりとしたハッピーエンドなどあり得ないような物語だから。

     別のシリーズを含めた楽屋落ちは楽しい。リタは大好きである。
     「ダブル・デュースの対決」のメイジャーが再登場する。説明無しで突然当然のように出てくるあたりがこのシリーズっぽい。彼がもう30歳を過ぎている。いったいスペンサーは何歳なんだろう。

    2007/12/23

  •  スペンサー・シリーズの第33作目。訳者は逝去した菊池光から加賀山卓朗にバトンタッチ。かなりあっさりした訳文となっている。「心が純粋」といった表現は避けてもらいたいところ。「心が澄んでいる」、あるいは「心が清らか」にすべきだ。でもまあ大過なく仕上がっている。

     <a href="http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20081106/p3" target="_blank">http://d.hatena.ne.jp/sessendo/20081106/p3</a>

  • 私立探偵スペンサーシリーズの33作目、全作読み続けている。第1作目の「ゴッドウルフの行方」が書かれたのが、1973年であるから、30年以上続いている超長寿シリーズだ。このシリーズを最初に読んだのは、もう20年近く前になると思うけど、私はこのスペンサーシリーズを読んで海外ミステリーの面白さを知った。それ以来、一時は、本と言えば、海外ミステリー以外にはほとんど読まない時期もあったくらい、海外ミステリーにはまった。そういう意味では、このシリーズは、私の読書上の恩人ならぬ、恩本(?)なのである。従って、このシリーズの最新作が発売されると、それが面白そうであろうが、今ひとつっぽく思えようが、とにかく買って、読ま「ざるを得ない」のだ。たぶん、ミステリーとしての出来とか、面白さという点だけを捉えれば、このシリーズよりも面白いものは沢山あるのでは、と思う。それでも、私自身が好きなのは、また、このシリーズが、これだけの期間愛され続けているのは、主人公のスペンサー、および、シリーズに登場する他の登場人物の魅力、それと、作中の登場人物たちがかわす、会話の面白さなのではないか、と思う。本作品では、スペンサーの恋人のスーザンは、学会出席(彼女は精神科医なのである)のため不在、友人かつ相棒のホークは全く姿を見せないため、スペンサーと彼らとの当意即妙の会話の面白さを楽しむことは出来ないが、それでも、私自信は、愉しんで読むことが出来た。この作品は、シリーズの中でも、よく出来ている部類にはいるのではないか、というのが私の感覚的評価である。アメリカでは、既に34作目が発表されているそうである。作者のロバート・パーカーは、1932年生まれというから、既に70歳をずいぶんと超えている。失礼な言い方をすれば、あと何年・何作、このシリーズの作品が読めるか分からない。これも、失礼な言い方ではあるが、このシリーズとは、最後までつき合っていこうと思っている。

  • スペンサーシリーズの33作目。
    今回はスーザンもホークも不在の中、一人事件解決に向かうスペンサー。
    高校での銃乱射事件は現実でも起きているのでリアルに想像しながら読み進めた。

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