観光 (ハヤカワepiブック・プラネット)

制作 : 古屋 美登里 
  • 早川書房
3.92
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本棚登録 : 158
レビュー : 30
  • Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152087966

作品紹介・あらすじ

闘鶏に負けつづけ、家庭を崩壊に追い込む父を見守る娘の心の揺れを鮮烈に描く「闘鶏師」。11歳の少年が、いかがわしい酒場で大人への苦い一歩を経験する「カフェ・ラブリーで」。息子の住むタイで晩年を過ごすことになった老アメリカ人の孤独が胸に迫る「こんなところで死にたくない」。美しい海辺のリゾートへ旅行にでかけた失明間近の母とその息子の心の交流を描いた表題作「観光」ほか、人生の哀しい断片を瑞々しい感性で彩った全7篇を収録。英米の有力紙がこぞって絶賛し、タイ系アメリカ人の著者を一躍文学界のホープに押し上げた話題のベストセラー。

感想・レビュー・書評

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  • アメリカ生まれバンコク育ちの同い年タイ人の短編集。
    仕事で何回もいったけど、やっぱり表面からは何もわからない。
    本を読む、読めることって凄いよな〜…って
    しみじみ思う。
    言葉ではあらわせない読後感だった。

  • タイの若手作家による短編集。行ったことはないけど、タイの空気感や情景、人々の生き様がよく伝わる作品でした。

  • 帯状疱疹で自宅に軟禁状態なので、せめて読書だけでもと書棚から手に取ったのが、そう、「観光」。
    世間的にはほとんど無名の外国人作家ですが、私、この本を確か新聞の書評欄で知って興味がわいたので購入(2007年のことです)。
    読了後、「おーい、見つけたぞーっ」って街中を叫んで走りたい衝動に駆られましたよ、ほんとに。
    以来、何度も手に取って読んでいます。
    たいてい、今みたいに行き詰まっている時に。
    著者はタイ系アメリカ人で、短篇集であるところの本書の小説の舞台もタイ。
    タイの雰囲気が全篇から伝わってきます。
    行ったことないけど。
    以下、裏表紙から。
    □□□
    闘鶏に負けつづけ、家庭を崩壊に追い込む父を見守る娘の心の揺れを鮮烈に描く「闘鶏師」、11歳の少年が、いかがわしい酒場で大人への苦い一歩を経験する「カフェ・ラブリーで」、息子の住むタイで晩年を過ごすことになった老アメリカ人の孤独が胸に迫る「こんなところで死にたくない」、美しい海辺のリゾートへ旅行にでかけた失明間近の母とその息子の心の交流を描いた表題作「観光」ほか、人生の哀しい断片を瑞々しい感性で彩った全7篇を収録
    □□□
    状況は違えど似たような心の葛藤は恐らく誰もが一度は(たぶん青春時代に)経験しているはず。
    その一瞬を鮮やかに掬い取って簡易平明な表現で描写して読ませます。
    キュンとなるんだよなぁ、40歳のおっさんになった今でもキュンとなるんだって今回分かって、自分でもびっくりですよ。
    有名な作家だと、村上春樹さんが近いかも。
    ただ、仄聞したところによると、26歳(!)の時に本書で鮮烈なデビューを飾った著者はその後、長篇を執筆中に行方知れずになって現在に至るのだとか。
    真偽は不明なので、もしご存じの方は教えてください。
    どの短篇も外れナシの傑作、はっきり言って打ちのめされます、恍惚となります。
    帯状疱疹の激しい痛みもしばし忘れ…ることはできませんでしたが。

  • 短編集。

    おもしろかった。タイかー。

  • タイの暑い空気と甘い匂いが目の前に広がる短編集。

  • 忘れもしない独特の読後感。著者の出身地が芳醇な価値観を生んだのか、先天的なものなのか。
    小さい命が放つ、儚くも強い光が、眩しすぎて

  • あらすじ
    若きタイ系アメリカ人の著者の,タイに住む市井の人々の哀しい断片を切り取った処女短篇集。

    観光でタイを訪れるガイジンの少女に恋をするタイ人の少年を描く「ガイジン」,兄の後ろを追いかけてばかりいた少年とその兄との交流と苦い経験を描く「カフェ・ラブリーで」,徴兵抽選会での,貧しい親友と裕福な「ぼく」の対照的な結果と別れを描く「徴兵の日」,数日後には失明する母のために,天国と呼ばれる観光地に向かう母と息子の姿を描く「観光」,すべての歯に金をはめ込んだカンボジアの難民の少女と少年たちの出会いと別れを描いた「プリシラ」,タイに住む息子のところで世話になることになったアメリカ人の老父と,息子家族との衝突を描く「こんなところで死にたくない」,過去の因縁によって破滅していく闘鶏師の父を15歳の娘の目を通して描く「闘鶏師」の7編を収録。

    感想
    素晴らしい短篇集に出会うことができました。折にふれて読み返したいと思いました。

    クリント・イーストウッドという名の豚,総金歯のカンボジアの少女などところどころにユーモラスなところがあるものの,全体的には物悲しい物語ばかりでした。しかし,各短編で描かれている人々は,哀しみを背負いつつも逞しく生きていくのであろうと感じさせる結末が多かったように思います。

    7つのなかで一番好きなのは「こんなところで死にたくない」。老父が,アメリカ人の息子の無理解を悲しみつつも受け入れているところや,混血児と言い,その名前もまともに発音できない孫たちとの触れ合いと楽しんでいるところが悲しくも微笑ましかったです。

    「観光」を読んで,母をどこか素敵なところに連れて行きたいと思いました。

  • わたしが今後タイに行くことがあっても、永遠にわたしは「ガイジン」だからな。非英語圏(特にアジア)に観光に行ったときの日本語や英語でしゃべるときの後ろめたい罪悪感はあるのだけど、でもきれいな景色やおいしい食べ物、かわいい雑貨に惹かれて、いや負けて、行ってしまうんだろうな。それで勝つのは天国のような観光地?とにかくタイが舞台の短編集。
    ペットの名前がクリント・イーストウッドっていうだけでたまらない。どうしようもないこと、やるせないこと、胸がいっぱいになる。

  •  ラッタウット25才の処女作ということですが、文才ってこういうことなんだなあ、とドキドキしました。小説家ってすごいや。
    『闘鶏師』 『こんなところで死にたくない』が個人的ツー・トップです。とくに『闘鶏師』は表現といいラストといい衝撃的でした。『こんなところで~』もタイに移住したアメリカ老人が息子の嫁から幼児のように扱われてしまい、母国アメリカを懐かしんで絶望するシーンの描写など光景が目に浮かぶようでした。
     〈どんなに気に入らない人生でも、人生は前へ転がっていく〉というようなことがラッタウットの主要なテーマのような気がします。年をとったらどんな小説を書いてくれるんだろう、と今から楽しみにしてしまう。

  • どの話も明るく楽しい内容では無いけれど、人や家族の繋がりを感じさせられた。
    結構えぐかったり際どかったりする内容も嫌悪感を抱かずに読ませる作者(翻訳者?)はすごいと思う。

    表題の話と『こんなところで死にたくない』が温かくて好き。『闘鶏師』は色々な意味で凄まじかった…。

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