虐殺器官 (ハヤカワSFシリーズ・Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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本棚登録 : 811
レビュー : 162
  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152088314

感想・レビュー・書評

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  • 文章が端整で、頭の中に自然に場景が湧いてくるのがとても好ましく感じた。作者の他のを読みたい

  • 一気呵成に書き上げられた、新しい時代のデビュー作として申し分なく堪能できた。間違いなく労作。
    ただし、そういった作品についありがちな、使い古された「文学的」な比喩の挿入は少々大げさで鼻についたのが玉にキズ。でもそれを差し引けば、無駄でだらだらした描写は少なく、要領よく構成されて読みやすいのは、読者、それも海外で翻訳されることをも意識されているのか、そんな印象さえ受ける。

    端折った感もある。
    やや詰め込みすぎかと思えるくらい、21世紀の幕を開けた人類文明が直面している倫理と科学の問題を展開させている。

    それにしても、SFは滅多に読まないので詳しくないが、こういう内容が、これまでの日本SFでは書かれなかったのって本当だろうか?それが正直な驚き。
    読んでみて、たしかに着想がいいし、そうやすやすと真似できない創作エネルギーに感心するのだけど、本作をもって21世紀日本SFの代表作、とまで世間に持ち上げられるのは言い過ぎだと思う。

    むしろ、新しい日本文学、いや世界文学の夜明けを告げる、若いエネルギーに満ちた、記念碑的作品ではないだろうか。

    なにせ、心理描写・比喩・構成など、伝統的な文学としての面で見れば、もっと完成度の高い名作は、他に山のようにごろごろあるのだし。

    ・・・と、つい偉そうに拙い筆を走らせてしまうのは、あまりに本作が注目されすぎ、著者の夭折も相まって(?)、なにやら揺ぎ無い古典のように祭り上げられてる印象が否めないから。でも、話題になっていろんな議論を生じさせるぐらいがちょうどいいのかもしれない。

    あと個人的には、本編最後から二つ目のパラグラフにおける主人公の「幻想」が気に入っている。「大げさな幻想」は、ここの文脈に一番ふさわしいと思った。(2013/11/9、編集)

  • サピア・ウォーフ仮説やらチョムスキーやら見たことのある単語が並ぶSF?
    発想は面白いが、ちょい冗長に思えるような。
    ピザが食べたくなる。

  • 上映前に読んでおこうと思ってやっと。

    読み終わり沈痛な面持ちのワイ。
    いや、面白かったです。

    「虐殺器官」のぼんやりとした設定が明かされて、主人公たち軍人が作戦前に施される感情調整および痛覚マスキングの詳細な説明を聞いてるうちに「あれ…?これは…」て思った。思うよね。思うよ。

    だからその先があるんだと思ったのよ。
    ジョン・ポールが虐殺の文法を用いて大量虐殺を生産し続ける理由にものすごく期待するじゃない?


    そこいらのカタルシスがちょっと期待外れというか、もっとこう、あらゆるピースがハマっておおお!みたいな快感があるかなぁと思ったんだけども…インドの悪夢みたいなドンパチがクライマックスになってしまった印象。
    あの辺りの描写はとても惹き込まれる。

    というか、ジョン・ポールさんが心中を語らんでも、主人公が母ちゃんの愛を確認できなくとも、物語として語られるべきことは語られているはずなんだけど、あえてその理由を理由として語ろうとしている部分が蛇足に感じられてしまうのがとてももったいない。
    物語の核になる部分が作者の意図していない部分に発現してる感じ。狙ったとこじゃないとこに顔を出してるというか。
    それの最たるものがルツィアさんかなぁ…キーマンなはずなのに、大事なところで(この人邪魔だわぁ)ってなる。


    近未来テクノロジーの描写は10年前とは思えなくて、ああ確かにこんな感じになっていくんだろうなぁと思ったし、軍事関係の諸々のテクノロジーは攻殻感あって正直ちょっとワクワクしちゃうし、それはそうと9.11後そう間もない時期にこういうお話を作れるのはすごいことだなぁと思う。

    あと結構大事なことなので2回言いました的に同じ表現、同じ文章がよく出てくるけど、これはとても映像的でなかなか好きです。強度が増して、印象が深まる。
    コメディの基本は繰り返しだ、ってのも2回言ってて、それ自体はその通りだけど、この話の内容を鑑みると色々考えちゃって、それはそれでなかなか面白い。

  • 短編で良いようなアイディアストーリー。そこに沢山情報を盛り込んでまとめ上げた作者の力はたいへんなものだと思うが、多くの人が褒めちぎっているような名作とも思えなかった。

  • 勝手に分類すると、近未来文学的戦争SF。
    様々な技術が進歩しているようで、面白い道具やら乗り物が多数登場し、ワクワクする場面もあるものの、基調は暗い。自由、選択と罪が隠れたテーマなのかな。また、残忍、残酷な描写が多く、暗い気持ちにさせられる。
    基本的に話はテンポ良く進むが、文学的、思索的な部分はナカナカ読み難く、眠くなってしまった。
    SF好きにオススメです。

  • 重い。世界を守るためにというお題目も、見る側が変わるだけで如何様にもとれる。
    紡がれる言葉に圧倒される。
    映像になると凹みそうだなぁ。

  • 2007年7月15日再販、並、カバスレ、帯付
    2014 年6月3日白子BF

  • 簡単に言うと、女に甘えたかった男が、結局それが適わなかったので偉そうな建前言いつつ「こんな世界、自分以外みんな死んじゃえ~っ☆」てなったお話でした。

  • よくできたアクション映画のような読後感。ものすごく視覚的。

著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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