- Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
- / ISBN・EAN: 9784152088383
作品紹介・あらすじ
西暦2030年、地球に接近する長周期彗星"迩基"へと向かった無人探査機"こめっと"が、「ライト・ビーング-」という謎のメッセージとともに消息を絶った。一方、曽我部臣太、石上香蓮ら日本総合開発機構・宇宙探査局の6名のクルーたちは、翌年の有人月着陸計画に向けて訓練の日々を送っていた。そんなある日、臣太らは、"迩基"の予想進路上にニュートリノ信号を発する謎の物体が存在することを知る。資金難により最初で最後と噂される月計画を捨て、"裏ミッション"の敢行を決意した彼らは、夜な夜なカラオケボックス"イリアス"に集い、無謀ともいえる実行計画を練るのだったが…小松左京賞受賞作家が描く異色のファーストコンタクトSF。
感想・レビュー・書評
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88:国産SF……なんですが、私にはちょいと難しすぎました。登場人物は多かったものの、中盤までには誰が誰か把握できるようにもなりましたし、未知への挑戦、探求というSF的テーマも面白かったと思います。……が、やっぱり何か物足りないというか、没頭できなくて。香蓮のキャラクタが苦手だというのが大きいかも、です。
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あまりに現実離れしていて、それを支える様な緊張感もない様に思え、最初から最後まで波がなく一本道の平らなストーリーに感じられた。
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この話を成立させるためには、クルーの中にほとんど頭がどうかしてしまっている人を入れざるを得ず、それもあってか話の流れが強引で説得力がない。
若者らしい無謀さはありだと思うし、素材としてのアイデアは良かった。 -
あいかわらず「人間の存在意義とは何か」という人類の至上命題に挑む機本伸司さんの作品。本格SFではないからしょうがないのかもしれないけど、全体的に荒削りな印象を受けてしまった。SF小説ってストーリーと同じぐらい設定や背景が重要で、それをきちんと説明しないと中途半端な作品となってしまう一方で、延々と説明が続くと冗長的になるというジレンマを常にかかえている。そのバランスがうまく取れてないというか、きっと作者さんの頭の中ではきちんとした構想が練られていると思うんだけど、残念ながらそれがあまり伝わって来ませんでした。
『神様のパズル』は本当に好きな作品なんだけどなあ。それ以外はあまり振るわない機本作品。 -
―ライト・ビーングー-
無人探査機『こめっと』が、謎のメッセージと共に消息を絶ち、長周期彗星の調査は失敗に終わった。
一方、日本初の、有人月着陸計画のクルーたちは、彗星の進路上に、謎の物体が存在する可能性を知る。『裏ミッション』を決行することに決めた彼らは、カラオケボックス『イリアス』に集い、無謀ともいえる計画を練るのだった。
そして、国民の願いの千羽鶴を乗せて、シャトルは宇宙へと飛び立つ。
3分の2ぐらいは、延々カラオケボックス内での話で。しかも、なんやらよく理解できない・・いかげん飽きてきたところで、ようやく宇宙に飛び立ってくれて、ほっとしたくらいです。
才能がある故の苦しみ、どうしても届かない羨望・・それぞれに悩みを抱えている。その人がいなければ自分が飛べる・・仲間ではあっても、クルーと、バックアップクルーとの間には、とてつもない距離がある。確かに、最大限の努力はしてる。他のことを犠牲にしても。でも最後の最後、才能の差で決まってしまうとしたら・・努力してるだけにやりきれないだろうなと、のほほ~んと日々を送っている私なんかは思うだけで。
流星群のシーンはよかったな。
宇宙には、まだまだ謎がいっぱい!そんな話(いや、違うだろ!) -
有人月着陸計画に携わる若者たちが今日も集う、カラオケボックスに。ところがある日、ある親子がここを訪れたことで、彼らの運命は翻弄される。「ライト・ビーング……」というなぞのメッセージを残して消息を絶った無人彗星探査機が見たものは、果たして?
機本さんの「神様」にかかわるSFシリーズのうちの一冊。他の作品と違って主人公の印象が強い。もちろんみんなでわいわい言い合う前半がおもしろいのですが、本作品では後半で舞台が変わりちょっといつもとは違う感じ。 -
エーミールが大好きな機本さんの小説です。
僕たちの終末に通ずるものがある、本格SFといったところでしょうか。
ダークマター/ノーマルマター変換とかどうしたら思いつけるんだってネタが満載です^^ -
日本初の月面着陸ミッションに任命された宇宙飛行士たちが、ファースト・コンタクトの可能性を目指し、独断でプランを変更する。組織と段取りの壁を理由に。
カラオケボックスでの繰り言と想像の積み重ね、あまりに行き当たりばったりな計画。そういう人間の矛盾を会話体で描いた作品かと、最初は面白く読み進めた。しかし中盤以降、何も作業せずに利己的な空想の積み重ねのみに集中する香蓮のキャラクター設定が非常に苛立たしくなってきた。最後は強引にハッピーエンドへ結び付けるが、あまりにご都合主義さが否めない。人間存在の空しさを会話体で、あえて描いた作品と読むべきだろう。感情移入したら、無責任さへ苛立ちが先に立つ。