そして世界に不確定性がもたらされた: ハイゼンベルクの物理学革命

  • 早川書房
3.56
  • (14)
  • (13)
  • (23)
  • (5)
  • (2)
本棚登録 : 161
感想 : 18
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152088642

作品紹介・あらすじ

1927年、若きドイツ人物理学者のハイゼンベルクは、量子力学の根幹をなす「不確定性原理」の考え方を初めて世に送り出した。すなわち、因果律に従い完璧に予測されるものだと考えられていた世界が、偶然と確率と可能性に支配された不正確なものに代わってしまったのである。これはあまりにも革新的な概念だった。当時すでに著名な科学者であったアインシュタインはこの原理を認めようとせず、また、ハイゼンベルクとその師ボーアとの間にも確執が生まれた。科学界だけではなく、文学や哲学にも大きな波紋をよんだ。だが、量子論と不確定性の考え方は、ある日突然現れたものではない。浮遊した微粒子がランダムに動くブラウン運動など、19世紀には不規則で統計的な現象の存在が明らかになっていた。また、第一次大戦後、敗戦国の屈辱を味わっていたドイツには、科学者の間にも決定論的な運命を認めたくないという向きが強まっていた。あとはただ一人の若き秀才の登場を待つのみだったのである。世界を揺さぶった不確定性の概念と、それをめぐる著名な科学者たちの人間ドラマとをみごとに描き出した、渾身の科学ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 近代物理学黎明期の天才達がとても魅力的で、苦悩に感情移入してしまいました。
    波動関数のバカ野郎!!って思っていましたが、シュレディンガーやハンゼンベルグが苦労して成し遂げた成果を尊敬し、改めて感謝しなければと思いました。

  • ハイゼンベルクやボーア、ディラックのこの時代の量子論の書籍は何冊も出ているので、取り立ててこの本を読む必要はない

  • 量子力学における不確定性原理と、その誕生を語ったお話。学問的な話ではなく、ハイゼンベルクを取り巻く人間関係に焦点が置かれている。



    量子力学と不確定性原理は、その解釈だけが様々な物語や考え方の中で取り上げられる。この本もそんな本。不確定性原理を巡るドラマを描きたかったようだが、内容が浅すぎる上、話がポンポン飛び、何を言いたいのかさっぱり分からなかった。恐らく著者が読者に伝えたいものはなく、知識を羅列するに終始している。新書で書かれるレベルの内容。


    ボーア、ハイゼンベルク、アインシュタインにフォーカスが当たるので、そこだけ読もう。

  • 日常生活について私たちが普通に持っている形式張らない理解と同じように、科学知識も合理的であると同時にたまたま得られた結果であり、確固たるものであると同時に条件によって左右される。京大であっても万能ではない。
    ラプラスの望んでいたように現在を知れば過去と未来を完璧に理解できるという時代はおわった。

    政治的社会的な喧噪からはなれて完璧な美しい世界を描くということを古典科学者はもとめていたらしい。それはほとんどのいまの通常科学でも変わらないな。。。

    ちょっと能力に対する執着など人間ドラマ色が強くてきつかった。

  • ハイゼンベルグのことだけだと思っていたら、ちょっと話がこみいっていて難しかったです…。

  •  量子力学の不確定性原理が発見された時のことを情景豊かに追ったドキュメンタリー。
    当時の科学者と同じ気持ちで
    「なんてことだ・・・」
    とつぶやいてしまう。
    量子の不思議な振る舞いを観察した時、ハイゼンベルグは神様をほんの少し追い抜いていた。

  •  二度目の読了ナウ。よく知られている量子力学に関するハイゼンベルグの「不確定性原理」の物語。不確定性原理そのものは、素人でもなるほどと思うことができる簡単な内容。ところが、ボーアとアインシュタイン達を絡めながら原理が出て来た経緯をたどることで、その奥深い意味がだんだん判ってくるという筋立てになっている。
     アインシュタインの相対性理論は、現実感覚とは隔絶した現象を解き明かす理論であったが、そのアインシュタインでさえ受け入れ難かったのが不確定性原理。常人とは別世界の天才達が考えることを読み説いてくれる本書は、仕事のストレスをしばし忘れさせてくれる。

  • 2010年12月25日読み始め 2010年12月27日読了。
    戯曲「コペンハーゲン」を読もうと思ったら、帯にこの本の宣伝が書いてあって面白そうだなと先にこっちを読みました。
    ハイゼンベルクとボーア、そしてアインシュタインの3人を軸に、量子力学の歴史と人間ドラマを描いてます。
    量子力学やアインシュタインがノーベル賞をとったブラウン運動の理論について、この本ではさほど詳しく説明していないので、全く知らないという人にはちょっと難しいかもしれないです。私はちらっと知ってるだけなので、ついていくのが精一杯といった感じでした。
    が、ドイツの歴史や個性的な科学者の人間くさい一面、師弟関係とライバル心など、人間ドラマとしても面白く読めます。
    数式がいっさい出てこないこと、章立てが短いことは科学に詳しくない私でも取っ付き易いなと思いました。

  • 物理学の英雄たるアインシュタインが悪玉で登場するところが面白。ハイゼンベルクというよりもボーアの本だと、個人的には思いました。

  • 1900年初頭から1930年までの量子力学の確立に苦悩した物理学者たちの物語。量子力学に関わった偉人の物語が紹介されているが、
    やはり主役はハイゼンベルク。アインシュタインとも争った若き物理学者の不確定性原理は、科学界だけでなく、哲学にも大きな波紋をよんだ。
    学生時代に量子力学をかじった人で、20世紀の物理の歴史を振り返って見たい方にはお薦めしたい本。

全18件中 1 - 10件を表示

阪本芳久の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×