赤い星 (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房
3.21
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本棚登録 : 89
感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (298ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089502

作品紹介・あらすじ

ネット技術のみがいびつに発達した帝政ロシア支配下の江戸。ハッカーの町娘おきみは、吉原一の花魁・真理奈太夫から奇妙な依頼を受ける。現皇帝ボリスに暗殺されたはずのドミトリー皇子が秋葉原に潜伏している、その情報を収集してほしいと。公方様の落胤を自称する真理奈太夫は、ロシア皇后の座を狙っているらしいのだ。そんなある日、おきみは幕府の付け家老・シュイスキー公爵から、偽ドミトリーには関わらないよう警告を受ける。いったいロシア本土では何が起こっているのか?ペテルブルクで音楽修行中の幼馴染み・龍太郎の身を案じるおきみは、仮想空間ペテルブルクで謎の"赤い星"到来の噂を聞くのだが…異形のロシアを幻視する最新長篇。

感想・レビュー・書評

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  • この感じ、好きだなぁ。
    ボリス・ゴドゥノフの帝政ロシアと花魁や火消やご隠居の居るお江戸のリミックス。織り交ぜられたサブカルチャーネタ。仮想空間と時空転換。幻のようなペテルブルクの街並み。強烈なキャラクタなのに何だか存在の儚さを感じる人たち。それから、ペテルブルクに対する何だかよく分からない指向?愛情?みたいなものを、読みながらずっと共有してました。行きたくなっちゃう。
    ちなみに私は某クイズ番組ネタが解る年代です。毎回家族みんなで見てたな〜

    図書館で二回借りて読んだので、もう手元にあっても良いかなと購入しました^_^
    封印列車の描写が大好き♡

  • 幻想小説。
    帝政ロシアに支配された日本。ネットが異常に発達した社会で、ロシアの皇位継承者と徳川家のご落胤が政府の転覆を狙うが…
    幻想的過ぎて読みにくかった。色々な小ネタは面白いがオチももう少し捻りが欲しかった。

  •  佐藤亜紀『戦争の法』みたいな小説かな?と思って読み始めたら、ぶっとび度はこちらの方がはるかに上だった。奇想天外な設定と小ネタがてんこ盛りで、敷居が高い。

  •  高野氏らしく、なんとも説明しづらい好き嫌いの分かれそうな話だが、豪華絢爛な吉原や随所にでてくる萌えキャラの描写など、実際アニメにしたらおもしろそうである。(音楽は平沢進がピッタリだと思う)

  • ネット技術のみが歪に発達した帝政ロシア支配下の江戸ーーエンジニアの町娘・おきみは、ロシア皇后の座を狙う吉原一の花魁・真里奈太夫から、暗殺されたはずの廃皇子が秋葉原に潜伏しているという噂の情報収集を依頼される…

    電飾と広告用のディスプレイで飾られた吉原。長屋ではラップトップ端末でネットゲームにログインする。江戸の風俗と現代のガジェットが入り混じった世界は、SFまんがやアニメのようで、メインストーリーだけを追っても楽しかったです。一方で、厳冬と時系列が混乱したロシア史の中に現れた幻のペテルブルクの謎解きが、江戸とペテルブルクを行き来しつつ明かされる展開にも引き込まれました。

  • ネット技術のみがいびつに発達した帝政ロシア支配下の江戸。ハッカーの町娘おきみは、吉原一の花魁・真理奈太夫から奇妙な依頼を受ける。現皇帝ボリスに暗殺されたはずのドミトリー皇子が秋葉原に潜伏している、その情報を入手してほしいと。公方さまの落胤を自称する真理奈太夫は、ロシア皇后の座を狙っているらしいのだ。そんなる日、おきみは幕府の付け家老・シェイスキー公爵から、偽ドミトリーには関わらないよう警告を受ける。いったいロシア本土では何が起こっているのか?ペテルブルグで音楽修業中の幼馴染み・龍太郎の身を案じるおきみは、仮想空間ペテルブルグで謎の〈赤い星〉到来の噂を聞くのだが・・・。異形のロシアを幻視する最新長編(本書カバーより)

    数本分の長編プロットをつぎ込み、二年かけて執筆された本作品。
    確かに読み終わった時は「ふー、読んだ読んだ!」と満足感らしきものを感じましたね。
    幻想的な、凍てつくロシアの空気も感じられたし。
    某クイズ番組を堂々とパロった「シベリア横断ウルトラクイズ」が作品内に出てくるのですが(ちなみに合言葉は「ペレストロイカに行きたいかー!」です)、これが後から驚きのしかけとなっているところも面白かったです(あとガンダム小ネタも笑えました)。

    でも後からストーリーを反芻してみると・・・、
    なんだかごちゃっとしていたなぁという感想。
    タイトルにもある〈赤い星〉についても、謎めかせるまま謎めかせておいて・・・。
    その正体(?)に少しがっかりでしたし。
    カバーに書かれたあらすじだけ読むと、なかなか面白そうな感じがしたのにな。
    内容が複雑なのは別にかまわないんだけれど、ちょっと書きこもうとしすぎかな?
    あれもこれもと入れすぎて、かなりこってり風味になっています。
    これは好みが分かれそうな作品ですね。
    好きな人は好きな話ですが、受け入れられない人もいるんじゃないかしら?
    私はね、とにかく真理奈太夫の行きつく先もええ~?だし、龍太郎の行方にもええ~?だったんですよ!(あ、龍太郎の夢云々のラストの書き方は好みでしたが)
    他の各キャラの落ち着き先も、いまいち納得いきませんでした。
    あと大黒屋光太夫やニジンスキー、エカテリーナや安藤広重と、有名人の名前を綺羅の如く使っていましたが、それが効果的に使われていたかどうか疑問でしたね(特にニジンスキーは出てくる意味あったの??)。
    読み易い本を書くという事は、端から作者の念頭にはなかったんでしょうが、読み手を選ぶ作品も、やっぱりどうかと思いましたよ~。

  • あれっ…このまま終わっちゃう?と思いかけるほどの終盤にきての謎明かしに今までの違和感が衝撃にクルッと入れ替わった瞬間の鳥肌感がすさまじかった。そこに至るまでは正直退屈だったんだけど、耐えた甲斐はあった。
    でもやっぱり、設定がでかすぎて話自体が中途半端になっちゃった感はどうしても否めないかな。どうしてあそこまでおきみが龍太郎に執着していたのかの描写ぐらいはせめて欲しかった。グレゴリーがあんなふうにあっけなく終わるなら、序章はおきみと龍太郎の過去を書けばよかったのに。そうしたらもっと入りやすかったような。

  • 『ボリス・ゴドゥノフ』を題材に、電脳世界や江戸吉原、ロシア、革命、色んなものが出てくる歴史改変小説。

    舞台は帝政ロシアと属国日本(徳川幕府)。
    そのなかで、特別な意味合いをもつ幻想都市ペテルブルクと、どこかにあるという「赤い星」。
    登場人物たちはヴァーチャルとリアルを行き来しながら、ペテルブルクを目指し、欲するものを目指していく。

    序章にあるようにこの話には結論みたいなものがない。何が真実なのかも最後まで分からない。なので、読み終わったときは、伏線を探してあちこち読み返しちゃったんですが、そういう小説ではないらしい。
    靄のかかったペテルブルクや、赤い星を乗せた列車と龍太郎が向き合うところは、幻想的な映画のワンシーンを想像するように読みました。
    不思議で切ない夢から覚めたような、心地よさが残る読後感。

  • (r)

  • 江戸+帝政ロシア。この設定だけでご飯3杯おかわりできる。
    (200809)

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著者プロフィール

1966年茨城県生まれ。茨城大学卒業。
お茶の水女子大学人文科学研究科修士課程修了。
1995年、第6回日本ファンタジーノベル大賞最終候補作『ムジカ・マキーナ』でデビュー。著書に『アイオーン』、『赤い星』など。編書に『時間はだれも待ってくれない 21世紀東欧SF・ファンタスチカ傑作集』(東京創元社)がある。2012年、『カラマーゾフの妹』で第58回江戸川乱歩賞を受賞。ほかの著書に『翼竜館の宝石商人』などがある。

「2022年 『大天使はミモザの香り』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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