ロジー・カルプ

  • 早川書房 (2010年3月19日発売)
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本 ・本 (352ページ) / ISBN・EAN: 9784152089687

感想・レビュー・書評

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  • 途中まで読み進んだところで、これが、最初には想像もしていなかったような物語であることに気がついて、愕然としてしまう。怖るべき小説だ。
    兄と両親のいるカリブ海のリゾート島グアダループに子どもを連れて降り立ったロジー・カルプは、親に愛されず、男に利用されて父親のいない子どもを生み、さらに泥酔の末、父親のわからない子どもを身ごもっている。空港に出迎えたラグランの目に映ったロジーは、まだ若いのにすでにさんざん踏みつけられ、それでもまだ、だらしのない兄を頼って着の身着のまま見知らぬ土地に来てしまう、愚かで青白い顔をした魅力のないフランス女にすぎない。
    ところが第3章でふたたび登場する彼女は別人のように変化していて、ラグランをひきつけてやまない。だがそれは読者が期待するような変化―――ロジーの子どもが熱帯の地で生命力を取り戻し、ばらばらの家族が再生するといった―――ではない。この物語に登場するのは、みな、親に棄てられた子どもたちであり、家族とは、互いの生命を奪い取る闘争の関係にほかならないのだ。
    常に他人に依存し不安定に見えるロジーが、その根底に怖ろしさを感じさせるほどの落ち着きをもっていることが明らかになってくる一方、常に自信と自制を保ち他人を助けていたラグランの底に潜む不安が頭をもたげてくるという対比の中で、物語の主題がしだいにはっきりと浮かび上がってくる構造が見事。不安と緊張に満ちた文章の力で、ぞくりとさせるラストシーンまで連れて行かれる。小野正嗣の訳文もすばらしいが、誤植が多いのがちょっと残念。

  • 自我のないぬめぬめしたこの主人公は何なんだ!無気力で愚かなまま流されていく状況に耐えられず途中離脱。
    植民地県?の諦めきった虚しさと、暴力がたゆうようなねっとりとした湿度はしっかり伝わってきた。

  • 文学

  • ≪県立図書館≫

    途中で挫折。
    めちゃくちゃな話。
    人物・エピソード・思考回路・状況のどれをとっても、理解不能。
    ずっと常軌を逸している。
    というより、そもそも常軌というものがないのか?

    私には、よくわからない話だった。

  • マリー・ンディアイの翻訳。欺瞞と幻惑が絡み合う家族の物語。  

  • 小野正嗣の訳がよい。

  • [ 内容 ]
    カリブ海に浮かぶリゾート島、グアドループに降り立った子連れの妊婦、ロジー・カルプ。
    彼女はフランス本土での暮らしに疲れ、成功を収めている兄ラザールを頼ってこの島に流れ着いたのだ。
    しかし、空港に迎えに来るはずの兄は一向に姿を現さない。
    なぜ身内からさえ、こんな仕打ちを受けなくてはいけないの?
    彼女の苛立ちは募った。
    やがて、息子のティティがぐずり始めた頃、身なりのよい黒人青年ラグランがロジーに声をかける。
    青年は、兄の代理で迎えに来たのだという。
    ロジーとティティは青年の真新しいトヨタのピックアップに乗りこみ、新たな生活への第一歩を踏み出すが…。
    フランス最高峰のフェミナ賞受賞。

    [ 目次 ]


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    [ 参考となる書評 ]

  • 途中からついていけなくなりました・・・(〒_〒)

  • 2010.04.25 日本経済新聞に紹介されました。

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