審判 (ハヤカワ・ノヴェルズ)

  • 早川書房
3.71
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (398ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089861

作品紹介・あらすじ

弁護士のジェフリイ・メイスンは、法律事務所に勤務しつつ、休日はレースに出場するアマチュア騎手。ある日、トップ・ジョッキーのバーロウが干草用のピッチフォークで串刺しにされるというショッキングな殺人事件が起き、ライバル騎手のミッチェルが逮捕された。あくまでも濡れ衣を主張するミッチェルだったが、被害者と犬猿の仲であったことは周知の事実で、凶器が本人のものであったこと、被害者の携帯電話に彼の名前で脅迫メールが送られていたことなど不利な状況証拠も揃っていた。騎手仲間であるメイスンは弁護を依頼されるが、その直後から「弁護を引き受けてわざと負けろ」という奇妙な脅迫の電話やメールが届き始める。恐怖と職業倫理の間で揺れ動くメイスン。時同じくして、彼は事務所の前で待ち伏せしていた男にバットで手ひどく殴りつけられる。暴漢はかつての依頼人トレントという男で、有罪になったことを逆恨みしての凶行だった。トレントの報復とバーロウの殺人事件には何らかの関連が?真実を白日の下に晒すため、そして自身の誇りを取り戻すため、満身創痍のメイスンは法廷に立つ。競馬シリーズの興奮にリーガル・サスペンスの醍醐味を盛り込んだ巨匠フランシスの意欲作。

感想・レビュー・書評

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  • 2020/3/20読了。主人公は、法廷弁護士。アマチュア騎手。ジェフリー・メイスン。法廷闘争に勝つものの、最後の自己防衛を考え合わせた殺人。次の自らの陪審員裁判を
    予知してそこに佇む姿に胸が詰まる。息子フェリックス・フランシスの共著とのことだが、なかなか奥行きを感じさせられ意外な結末にグッと来た。じっくりと読み上げた好著だ。ちょっと、読み上げには少々疲れた。

  • 楽しめました。

  • いつもながら期待を裏切らない面白さ

  •  主人公がアマチュア騎手で弁護士。名前はメイスンで、当然のようにあだ名は「ペリイ」である。これは笑った。宣伝文句にあるように、競馬シリーズにガードナー風の法廷ミステリを加えた意欲作。ただし、法廷ミステリとしてのもっていきかたは、やや乱暴な気がする。どちらかというと、日本の1時間ドラマのようだ。

     脅迫され、それと戦う感じは「利腕」に似ている。実は、そっくりのフレーズも出てくる(ラストシーンじゃないけど)。主人公の恐怖はかなり迫ってくるんだけど、それにしては対応が軽い。というか、甘い。僕なら、恋人にこういう対応をされたら、かなり幻滅するような気がする。

     ちょっと話題になってる衝撃のラストだけど、確かに衝撃である。主人公の行動と言うよりも、これをフランシスが書いたことの方に衝撃を感じる。
     主人公の抱えるジレンマは、「配当」とほぼ同じである。あのとき、作者は今回のような結末にしないために、そうとう無理矢理な設定を作ったと思う。しかし、そのおかげで、最後の2行を読んだとき、僕はほっとして胸をなで下ろしたのである。それこそ主人公に感情移入して読んでいただけに。
     あれに比べると、今回はあまりに乱暴だと思う。

     同じように、過去の作品のオマージュのような設定はいくつか出てくる。主人公の家族の不幸は「証拠」を思わせる。騎手としての主人公の感慨ややりとりは、本当に初期の作品や「連闘」あたりを思い出す。しかし、どれもちょっとだけ荒い。

     物語は抜群におもしろいと思う。サスペンスものとしてのテンションは以前よりあがり、重厚さや登場人物に感じる味わいのようなものはぐっと下がったような印象がある。マクリーンで言えば「ナヴァロン」から「荒鷲」のような(ちょっと言い過ぎかな。「黄金のランデブー」くらいにしておこうか)。

     いろいろいったけど、一冊をあっという間に読ませてしまうおもしろさは健在。法廷ミステリ風の味付けも悪くない。個人的には、共同執筆者が(奥さんが)息子さんに変わってからでは一番気に入った作品である。
    2009/1/18

  • 2009年翻訳発行、2008年発表の新作です。
    息子と共同で書いている作品のため、どことなく雰囲気が若い。
    翻訳者も違うので、それがちょうど良いのか?
    アマチュア騎手でもある主人公ジェフリイ・メイスンは、父と同じ弁護士でもあるという設定。
    まだ若いのに7年前に妻を病気で失っていて、哀しみを乗り越えられず、女性と深く付き合ったことはなかったが、ある時運命の出会いが…?
    トップ騎手が刺し殺される事件が起き、ライバルが逮捕される。
    確執があったのは確かだが、証拠は歴然とし過ぎてでっち上げの可能性が。
    ジェフリイは弁護を担当して負けろと脅迫される。
    かっての事件でも脅迫があったらしい。
    主人公に以前のような厳しさは感じられないけれど、いかにもフランシスらしい要素は満載。

  • 内容が若い。そろそろ息子の名前をメインにして良いのでは。特に最後のシーンは、お父さんが書いたのなら無かったと思う。まあ、いい孝行息子だとは思うけど。

  • 復活して三作目。共著名義になって二作目。長い間使われていた辰己四郎氏のデザインが変わりました。新しい表紙が目をひきます。中身は、リーガル・サスペンス+競馬シリーズという感じです。読み応えは十分。ただし、決着のつけ方には、やや疑問を感じなくもないかな。

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