奇跡のエコ集落 ガビオタス

  • 早川書房
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  • Amazon.co.jp ・本 (315ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089892

作品紹介・あらすじ

ベストセラー『人類が消えた世界』の著者が見つけた現代の理想郷!それは、世界を救う環境技術の数々を編み出し、不毛な平原を森に変えながら、新たな産業をも生み出している町。その知られざる歴史と大きな可能性を描いた傑作ノンフィクション。

感想・レビュー・書評

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  • (後で書きます)

  •  50年代からスタートした南米コロンビアにおけるエコ集落の試み。その実態と経緯を解説していく。
     端的に読みにくいという感想だ。
     もちろん個人的に、①コロンビアに関する地歴、人物名に馴染みなく、②同国のステレオタイプイメージは、コカインなどの薬物汚染の元凶、メデジンカルテルに代表される闇の勢力の跳梁跋扈、極右と共産ゲリラなどの内戦、コーヒーのプランテーション栽培しかなく、例えば、アマゾン川に関係する生態系の多様性は世界有数、豊富な鉱物資源の存在という知識も個人的に欠如している。
     一方で、本書自体は、政治から、水とエネルギー確保など多様な記述が混在。
     具体的には、現地に根差した風力発電の開発、原材料の現地調達を旨とした太陽光発電システムの構築、安全清潔な水の確保に関する懸命の分析と実行、変遷する政治権力との関わり合い、熱帯性植物資源を利用した薬品開発、米国など「北」からの提供情報の問題(適切かつ有益な情報提供とは限らない。例えば、使い古しの技術のみの開陳とシステム・必要部材売却の底意のみの甘言など)というように、注目すべき情報はある。
     しかし、読みにくさがその価値を減じさせ、残念なところ。

     2008年刊行。

  • ガビオタス(水鳥)と名付けられた村の歴史は、パオロ・ルガーリ
    という20代の青年活動家が1960年代の後半に入植したことから始ま
    ります。当時は全くの不毛の大地。しかし、ルガーリは、この広大
    な大地を人の住める環境にすることができれば、政情不安定で麻薬
    とゲリラが跋扈するコロンビアに希望を生み出すことができるので
    はないかと考えます。そこで、技術者や学生、芸術家達に呼びかけ、
    真に自立的でサステナブルな集落をつくる実験を始めるのです。

    本書(原書)が発表されたのはガビオタスが生まれてから30年後の
    1998年のことです。その頃には、ガビオタスは、地下水ポンプや風
    車、太陽熱利用などの画期的な技術を自ら発明し、エネルギーの自
    給自足とゼロエミッションを達成。その活動成果は、第三世界を筆
    頭に世界中から注目され、国連にも認められます。また、草原であ
    った不毛の大地には熱帯の森が蘇り、そこから採取される松脂が集
    落の経済を支えるなど、新しいビジネスモデルも生み出しました。

    過去と現在を自由に行き来しながら、本書は、そんなガビオタスの
    歴史をひもといていきます。技術者達が嬉々として次々に新しい発
    明を生み出していくさまには、技術やもの作りの幸せなあり方につ
    いて考えさせられますし、幾度か存続の危機にさらされながらも、
    ガビオタスという奇跡の村が不毛の大地に力強く花開いていく過程
    には、共同体が共同体であり続けるための条件を教えらます。

    しかし、何よりも興味深いのは、パオロ・ルガーリという人間の生
    き様でしょう。ルガーリは、何の専門家でもありません。必ずしも
    具体的なアイデアがあったわけでもありません。ただ、彼には、人
    を巻き込む力がありました。自分にはない能力を持った人々を連れ
    てきて、その気にさせ、あとは彼・彼女等がやりたいことをできる
    場を整えた。それだけと言っても過言でないかもしれませんが、そ
    れこそが本当の意味でのリーダーの役割だと思うのです。何か新し
    いコトを立ち上げたいと思っている人は、ルガーリの生き様からき
    っと多くを学ぶことでしょう。

    邦題には「エコ集落」とありますが、原題は「世界を創りかえる村」
    です。ガビオタスのやろうとしていることは、単なるエコではなく、
    もっと本質的で射程の広いものです。だからこそ、希望を感じるの
    です。是非、読んでみてください。

    =====================================================

    ▽ 心に残った文章達(本書からの引用文)

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    社会的な実験をおこなうとき、だれもが、いちばん楽な、もっとも
    肥沃な土地を選ぶ。われわれはいちばん大変な土地を選んだ。もし
    ここで可能なら、ほかのどこでも可能だと思ったからだ

    多くのことを理解しようとすればするだけ、可能性が広がる

    第三世界による、第三世界のためのなにか。あなたならわかるはず
    だ。アメリカ合衆国やヨーロッパから解決策を輸入したら、彼らの
    問題まで輸入してしまう。

    ガビオタスを現実にしたいんだ。完璧だが、存在するのはページの
    なかだけ、という場所について読むのはもう飽きたよ。一度でいい
    から、人間の空想が実現するところを見てみたい。

    草、太陽、水から文明の未来をつくる方法を見つければいい

    間違いを恐れるな。51パーセント正しければいいんだ

    技術とは発明者もろとも押しつぶす蒸気ローラーのようなものでな
    く、人間の生活を豊かにするものなのだ。

    人間の価値を重んじることで、たんなる職業がより高次元になると
    学ばせてくれたのも、ガビオタスだった。

    太陽の光は万人のものだ。いつか、世界は太陽をたよるようになる

    ガビオタスでは、その人にとっていちばんふさわしいと思える仕事
    に引き合わせてもらえる。あるいは、自分で仕事をつくり出すこと
    ができる。

    ソーラーコレクターだろうと木だろうと、ぼくらの未来は太陽光を
    エネルギーに変えることにかかっている

    どうしたら技術が人びとを支配するのではなく人びとを自由にする
    のか、どうしたら人類は地球から借用しているものを返せるのかを
    提案する

    美しいが長びく悲劇に苦しむ国のどまんなかにガビオタスが存続し
    ていることは、ほとんど奇跡だった

    ほかの人びとが問題と考えることを、われわれは解決だと考えなけ
    れば。

    ガビオタスのような場所は、一見乗りこえることが不可能な状況で
    も、われわれには正しいおこないをする力があるということを証明
    してくれる

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    ●[2]編集後記

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    東京ではすっかり陽射しが強くなり、今朝は、日傘をさしている女
    性の姿が目立ちました。でも、日がかげると意外と風は冷たかった
    りするので、体調維持が大変です。実際、土曜日に娘の子守りで、
    一日公園にいたら、くしゃみが止まらなくなってしまいました。も
    う花粉症は終わっているのにおかしいなと思っていたら、喉までお
    かしくなってきました。完全に風邪です。おかげで昨日の日曜日は
    大半を朦朧と過ごしてしまいました。

    冬の原義は「ふゆ」。つまり、「ふえる」です。春は「はる」。文
    字通り「張る」で、冬の間むくむくと増えてきたエネルギーがパー
    ンと張り裂けるのが春です。木の芽がだんだんふくらんできて、張
    り裂ける感じです。昔の人は本当に鋭敏な感覚をもって言葉を編み
    出してきたのだなと感心します。

    なので春は心身ともに張りのある季節のはずですが、どうも体調を
    壊しやすい時期でもあります。人の身体に限っては、「張る」とい
    うよりも、冬にこわばっていたものが「ゆるむ」という感じでしょ
    うか。ゆるむから、色々とガタが来たり、病原菌につけこまれたり
    するのです。大好きな季節なのに、毎年何かしら調子が悪くなるの
    はそのためだと思います。

    もっとも、それは肉体の絶頂期を過ぎた年齢になったからかもしれ
    ません。娘を見ていると、春の訪れと共に、明らかにハイテンショ
    ンになっており、張り裂けるばかりのエネルギーで、そこら中を走
    り回っています。伸びゆく生命には、春は文字通り「はる」ですが、
    老いゆく生命には、その勢いに負けないよう、ゆるゆると調整して
    いく時期なのでしょう。これも現実なので致し方ありませんが、せ
    めて気分だけでも張りのある毎日を送りたいものです。

  • 南米コロンビアの奇跡のエココミュニティー。人たらしの天才とも取れるリーダーとそこに集まった理想に燃えるメンバー。創造性を発揮して様々なアイデアを試し、画期的な製品や設備、環境を創り上げていく。ゆるぎない理念とリーダーシップと一人ひとりの能力が発揮できる環境が大切。会社組織と同じ。

  • 本の雑誌の書評を見て読みました思っていたよりずっと古い本でしたシーソーで水くみをするとか松ヤニのために松を植え松の間に他の木を植え。。とかなんか 素敵な話だとは思うけど他の地域で作った井戸は使えなくなっていたりなかなか 難しいと思いましたあたりまえだけどね

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