ハーモニー (ハヤカワSFシリーズ Jコレクション)

著者 :
  • 早川書房
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レビュー : 254
  • Amazon.co.jp ・本 (354ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152089922

感想・レビュー・書評

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  • 『虐殺器官』よりやや取っ付き難かった。
    2作品の世界観はまるで別だが、セット読みの方がベター。
    http://blogs.yahoo.co.jp/rrqnn187/13687163.html

  • なんにしても、度を超すのはやっぱりよくないんじゃないか。

    感想を一言で言うと、こうかな。

    健康も平和も友愛も、それが欠けてるからほしいのかな。手に入れたら
    こわしたくなるのかな。

    虐殺器官に似て、終盤の意識喪失云々のくだりがどうも具体的にイメージ
    できないところが消化不良。意識のない人間ってロボットとか人造人間とか
    と並ぶ存在になるってことか?

    最近の臓器移植法案のニュースを見ていて、この作品中の「リソース」と言葉が
    浮かぶ。「君の臓器で人が助かるというのに提供を拒否するなんて…」と
    顰蹙を買うような世界は案外すぐちかくにあるような気がする。

  • 「持久力という点では本が一番頑丈よ」
    「持久力、って何の」
    「孤独の持久力」
    本好きなら共感できる言葉。肉体的にも精神的にも健康であることを義務付けられる社会も息苦しいが、紙の本がデッドメディアになった世界って、最悪のディストピア。
    TVの健康番組とか観ると病気になることは罪悪のように思えて、ここに描かれた社会は決してあり得なくはないのかも。
    〈社会にフィットできることのできない魂〉〈病を求め、傷を求め、苦痛を求める子供のたましい〉
    2008年に出された本の言葉が、2020年控えてこんなに響くとは。

  • ほとんどの病気が克服された医療社会,それに反発し自殺を試みる少女たちと生き延びて13年後チェチェンの停戦監視団に女戦士となった主人公.最後の方死んだはずのミャハが出てくるのがもう一つピンとこない.

  • 最後の未読長編だったから大事に読もうと思ったのに、途中で止められなくて一気読み。etml の存在理由を理解して虚無感に襲われるのと同時に、これがバッドエンドだって簡単に断ぜられなくて心がざわざわする。紡がれたかもしれないこの先の物語を思うと悲しい。

  • ・「虐殺器官」の後日譚。平和になった世界。そこはハーモニーが取れたように見える世界。「自分を律することの大半は、いまや外注に出されているのだ」。そんな世界に馴染めない女子高生の視点から語られる世界の異常性。物語はそこから始まる。日本SF大賞だけでなく、アメリカでP.K.ディック賞まで取った作品。

    ・一見ユートピアに見えるディストピアということで、ウォルター・テヴィスの「モッキンバード」というSF作品を思い出させる箇所も散見される。だが、「モッキンバード」のような暖かく血の通った人間復権が描かれることはない。「虐殺器官」が救いのない物語だったのに対して、本作は、救いを求めてたどり着いたところが、とんでもなく救いのない世界(と言うか「救い」という概念を必要としない世界)だったという物語。何とも言えぬ後味の悪い読後感。これ、中学ぐらいで読んでたらトラウマになってたかも知れない。

    ・秘密を知り、トリガーを引き得る存在となった主人公が、そのトリガーを引く必然性がイマイチ伝わってこない。実はそのことが、「虐殺器官」と「ハーモニー」で自分が最も戦慄した部分かも知れない。「何で、君は世界を破滅させると分かってるトリガーを引いちゃってるの?」という感じ。

    ・本書は、初めて電子書籍で読んでみた(iPad版のKindle)。ページを繰る感覚や、以前のページに戻ってちょっと確認する、というのがやりづらい。あまり気にせずにマーカーをつけたり、挿入したコメントを後から一覧的に見ることができるのは便利。

    2013/02/21(木)追記
     「救い」を求めて行き着いたのが「救い」が意味を持たない場所。これはもしかしたら、作者が自らの死と対峙せざるを得ない状況の中で、その苦しみや恐怖をじっと見つめたからこそ出てきた想念だったのかも知れないということに気付いた。ちなみに、本作は作者が34歳という若さで亡くなった2009年の翌年、発表された。

  •  おそらく『虐殺器官』後の世界ー。
    つながっているな、と思った。


     優しさは、対価としての優しさを要求する。

     教師の、親の、周囲すべての気遣いが、わたしを静かに窒息させている。


     という文が、物語の最初の方にあった。
    今の時代少なくとも日本の風潮としては、似た閉塞感が既にあると思った。
    その先の、もっと先の果てにあるものー。
    自由と引き換えに得る、倫理に縛られ優しさを強要される、一見争いのない平和な世界。
    不気味すぎて、怖ろしすぎる。

     超高度医療により病はほぼ消滅し、健康を維持するために身体に害となるものがほとんど禁止され、システムに身体を監視される世界。自らのものではない、社会のために存在する身体。そんな世界で、何を目指して楽しみとして生きていけばいいのだろう。

     ストーリーは起伏が少なく、シンプルだった。
    身体と精神性、世界が向かうとある方向性の究極の形。
    読ませるなぁ。世界観は嫌いじゃない。
    この哲学書のような本をもとに、よく映像化できたなと思った。

  • 2017.2再読

  • 政治体制が政府から医療と福祉を第一とする“生府”となった世界。
    病気は基本的に撲滅され、他人への思いやりが最高潮となり、現存する“国”や“政府”の間で戦火が燻っています。
    おそらくは著者の前作「虐殺器官」の後の世界であり、読み進めているうちに関連性を感じました。

  • システムにより、病気にならない世界になった世界の物語。
    発想や設定が面白いと感じました。読んでいて、何のために生きるのか、そもそも生きているとは何なのかを少し考えさせられました。
    近未来的なSFを読みたい時は良い気がします。

著者プロフィール

1974年東京都生れ。武蔵野美術大学卒。2007年、『虐殺器官』でデビュー。『ハーモニー』発表直後の09年、34歳の若さで死去。没後、同作で日本SF大賞、フィリップ・K・ディック記念賞特別賞を受賞。

「2014年 『屍者の帝国』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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