さよなら、愛しい人

制作 : 村上春樹 
  • 早川書房
3.82
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本棚登録 : 497
レビュー : 53
  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090232

作品紹介・あらすじ

刑務所から出所したばかりの大男、へら鹿(ムース)マロイは、八年前に別れた恋人ヴェルマを探しに黒人街の酒場にやってきた。しかし、そこで激情に駆られ殺人を犯してしまう。偶然、現場に居合わせた私立探偵フィリップ・マーロウは、行方をくらましたマロイと女を探して紫煙たちこめる夜の酒場をさまよう。狂おしいほど一途な愛を待ち受ける哀しい結末とは?読書界に旋風を巻き起こした『ロング・グッドバイ』につづき、チャンドラーの代表作『さらば愛しき女よ』を村上春樹が新訳した話題作。

感想・レビュー・書評

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  • 関係のないような出来事が、人物が、結末に繋がっていく。

    赤毛の恋人、ヴェルマを探す大男のマロイ。
    不可解な用心棒の依頼をするマリオット。
    そして、事件現場に現れた好奇心旺盛な美女アン。

    推理をする描写がないもんだから、一体なにを根拠に無茶をしているのかわからずハラハラ。
    怪しげな心霊相談の館に招かれたり。麻薬を打たれたり。賭博船に乗り込んだり。

    いついかなるときもタフでスマートなマーロウにしびれます。(あ、ベッドの角に足をぶつける場面には思わず笑ったなぁ)

    それから、相棒(と言っていいのか)たちとのやりとりも愉快でした。
    小綺麗で、真面目くさっているランドール警部補しかり。ベイ・シティーのヘミングウェイしかり。忘れちゃいけない、親切な元警官のレッドも!

    ハードボイルドってこういうことなんだろうな!

  • ロング・グッドバイでしっかりとマーロウに
    心を掴まれたのでさよなら,愛しい人も
    楽しく読んだ。
    偶然から殺人事件の現場に居合わせた事で
    今回も二つの事件が関係ない様に見えて
    深く関わり悲劇をもたらす。
    最愛の人と7年間という長い期間再会の
    時を待ちわびるほどの気持ちがあった故に
    起きた悲しい最後。

    ロング・グッドバイでは、タフガイのマーロウを
    感じる時が多かったが今回は、マーロウ自身が
    何歳か若い為にタフでは無いマーロウは新鮮でもあった。
    リオーダン嬢の分かりやすい求愛に、さり気なく
    交わす姿はやっぱりクール!

  • 「長いお別れ」とか「百年の孤独」とかと同じく、初めて読んだときの状態に戻って読んでみたいと思う作品のひとつです。とはいいつつ、「長いお別れ(ロング・グッドバイ)」と中身がいつもごっちゃ混ぜになってしまっている作品でもあります。

    この小説が心に残るのは、単にミステリー小説ということではなく主人公マーロウのシニカルさ、ひいてはシニカルにならざるをえないチャンドラー自身の身持ちのありようにあると思います。

    さて、いつもマーロウを思い描いて読むとき、マーロウのイメージを誰にして読むべきか?!それを考えるのですが、今回、やっとその回答を得たような気がします。どうも最近の俳優だといい男すぎるのが多い、かつ、いい人っぽく見える人ばっかり。そうなるとマーロウだってやってられねえやと投げ出したくなるんじゃないか?そう思うと、いちばんしっくりくるのはジョン・グッドマン!「なんか文句あるか?」そう凄まれたら、いいえと答えるしかありません。というわけで今回、私の頭の中ではマーロウはずーっとジョン・グッドマンで再生されてました。

  • レイモンド・チャンドラーの名作、“さらば愛しき女よ”の村上春樹訳です。

    村上春樹の文章の原点がここにあると思います。
    文章のリズム、フィリップ・マーロウの皮肉な言い回し。
    ありのままにタフに立ち回るマーロウの生き方。

    読者はマーロウの魅力に引き込まれていくけれど、ストーリーの最後には、本当の主人公はマーロウでも、マーロウが追い続けた“殺人犯”マロイでも、マロイが探し求めた“愛しい女”でもなく、小説を通してずっとひっそりと存在し続けた、(実際にはほんの少ししか記述されていない)一人の男である…のかも知れない、その不思議な余韻が読後に残ります。

  • 小粋な会話と洒落た表現。チャンドラーが良いのか、村上が上手いのか。恐らくその両方なのだろう…。村上は翻訳だけしてくれたら…。

  • 面白かった、面白かったけど、あまりに話の展開が見えなくて、たくさんの登場人物の誰を覚えておいてたくさん起こる事件の何を覚えておくべきか分からないので、低脳には大変でした‥‥これだからミステリが苦手だったorz
    だけど本当に文を読むこと自体が楽し過ぎる読書で、読み出せばすぐに夢中になりました。
    こんな色彩豊かな文はなかなかお目にかかれません。楽しかった。

  • 一つ一つの台詞。一つ一つの情景描写。
    全てが完璧だ。
    探偵小説の名作中の名作。

    清水俊二訳こそ、オンリーワンだと思っていたが。
    村上訳だって、なかなかじゃないか。
    本物というのは、間違いなくこういう作品のことを言うのだろう。

    学生時代に初めて読んだと時から、フィリップ・マーロウに憧れた。
    彼のような男になりたいと思った。
    いい大人になった今、少しでも彼に近づけたのだろうか??
    金がなくても粋がっているところくらいか。汗

  •  全体的に淡々としていながらも、その情景はあふれるような美しい表現の連続。そして登場して来る人物達の姿もくっきりと浮かび上がるような描写、読んでいると色を感じ、音も聞こえ、匂いさえ嗅げるような気がします。
     そしてフィリップ・マーロウは予想に反してやっつけられる(?)事が多く、はじめは「あれ?」なんて思ってしまったけど、彼は決してひるんでいないかった。倒されても立ちあがってはまた倒されるが、絶対に諦めない。でも意思が強いようで弱い自分と戦っていることも多くて、そこも意外でした。

     しかしその中に渋さを感じないと思っていたら、訳をした村上さん自身が、この作品では30代くらいの彼をイメージしたらしく、あとがきを読んで納得でした。
     人物描写もこれだけ細かく描かれていながら、当前だけど全てが彼目線なので、マーロウ自身がどんな容姿なのかは、ぼんやりとしか伝わってこないところもいい。おかげで彼の容姿についても、かなり想像力をかき立てられました。
     そして、私にはもちろんな事ですが、事件も最後までどうなるのかわからなかった。
     名作とはいっても、約70年前に出版された本なので、楽しめるかどうか、とても心配だったけれど村上春樹訳だったからでしょうか、とても読み易くて楽しめました。

  • ハードボイルドかと思いきや、切ない

  • 題名が、なんで『さらば愛しき~』じゃなくて『さよなら、愛しい人』になったのか、最後まで読んでわかった。
    マーロウがかっこいいとは思わないけど、終わりのほうに出てくるレッドはいい!主役より脇役の人物造形がおもしろい。

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