旧友は春に帰る (ハヤカワ・ミステリワールド)

著者 :
  • 早川書房
3.56
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本棚登録 : 133
感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (492ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784152090447

作品紹介・あらすじ

「お願い。助けて」。モンローから25年ぶりにかかってきた電話は、俺の眠気を覚ますのに充分なものだった。どうしても事情を話そうとしない彼女を夕張のホテルから助け出し、本州へと逃がした直後から、俺の周りを怪しげな輩がうろつき始める。正体不明のトラブルに巻き込まれ、地元やくざに追われることになった俺は、ひとり調査を開始するが…旧友との再会、そして別れが哀切を誘うシリーズ第10作。

感想・レビュー・書評

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  • 2018.8.4

  • 「お願い。助けて」。
    モンローから25年ぶりにかかってきた電話は、俺の眠気を覚ますのに充分なものだった。
    どうしても事情を話そうとしない彼女を夕張のホテルから助け出し、本州へと逃がした直後から、俺の周りを怪しげな輩がうろつき始める。
    正体不明のトラブルに巻き込まれ、地元やくざに追われることになった俺は、ひとり調査を開始するが…
    (アマゾンより引用)

    ちょっと何となく意味が分からない部分もあったけど、
    まぁ面白かった。

  • ススキノ探偵シリーズ第十作。

  • 北海道モンロー

  • 前作に続いてかなり面白い作品に仕上がっている。前作位からケラー・オオハタの登場も増えて、これぞススキノ探偵シリーズだなという感じになっている。アンジェラの活躍がもっと欲しいが、新たな登場人物の聞潮庵の二人のばば様達と華の交流が微笑ましくていいなあ。
    4億が本当は800万だったのには関係者には笑えない話なんだろうな(笑)

  • このシリーズの最初に出てきたモンローの登場。やたらと、年月を感じさせるせりふが多い。

  • ついにススキノ探偵シリーズも10作目。今回もエンディングは呆気なかった。
    いやしかし、モンローの変化について、その描写は痛ましかった。中年女がやっても美しくないどころか見苦しい媚態の数々。読むだに切ない。華もかなりの美女のようだが、どうしてデブの中年男がこんなに人気なのだ?

  • 読み終わってはじめて表紙をじっと見る。「俺」50台。嫌な事件だけど、お婆ちゃんカップルやラストの沖縄人なんかのどこかほっとする登場人物達とか、俺と相田や気心知れた友人との軽妙なやり取りが救いだな。

  •  東直己『旧友は春に帰る』読了。旧友と言っても相手は女性。それもススキノ時代の一世を風靡した「美麗女(はくいすけ)」。「美女」とか「美人」というより、一癖も二癖もある飛び切りの女に関しては、はくいすけ、と呼ぶのじゃなかったか。その名もモンロー。
     初期長篇のヒロインらしいのだが、あまりよくは覚えていない。初期長篇は回想により書かれているので、70年代頃の話のはずである。そこから一足飛びに40年くらい飛び越えた現在となると、さすがに年齢の残した変化はどうしようもない。それでも旧友だからという理由で便利屋のオレは、彼女を救い出しに行く。

     夕張のスキー場マウントレイスイにあるホテルから北海道外のどこかに連れ出して欲しいという緊急の依頼。しかしオレは車の免許も携帯も持っていない。まさに70年代の自分を見るようなアナクロである。

     夕張には車以外でどうやってゆくのかわからなかったが、この本によって行き方がわかった。夕張の町には何度も行っているので状況はわかる。季節もわかる。

     雪の夕張から札幌へ。そして函館へ南下して、海峡を渡り、モンローを大間に逃がしてやるまでの逃避行は読者であるぼくの側にも土地鑑があり、その上シリーズとしては異色の下りなので面白い。後半は、ススキノにおけるいつものオレの生活の中での聞き込み調査であり、物語にはどんよりと暗雲が垂れ込み始める。

     暴力の匂いをススキので描くとこの作家は突然活き活きとする。そこには容赦ない悪意のようなものがあり、それはディック・フランシスの小説に出てくる悪党ども、つまりは改善の余地なき悪が描き込まれている。妥協なき真摯がそこにあり、それを凝視していると、小説と現実の境界がぼやけてくる気がする。

     探偵シリーズの中では、ひさびさのヒットなのではなかろうか。

     しかしこの軽ハードボイルド・シリーズ、やはりススキノの脇役たちはいつもいいねえ。いつもずっとススキノの変化を彼ら彼女らを中心に描き続けてくれることを、求めてやまない。

     というわけでGWは9連休を札幌で過ごしてきます。何だか、ほっとしそう。

  • ハラハラした。

    このシリーズも今作で10作品目・・らしい。
    あまりそんなに読んだという実感が湧かないのは
    ちょうど度数が高いがキリッと後味良く呑めてしまうお酒の
    ように、読みやすい作品だからだろうか。

    作中に登場するサウダージという酒がピッタリハマる作品。

    関係ないが私はこの作品を読んで、急にBARに行き、サウダージをはじめハワイアン・ラインなどオリジナル作品をバーテンダーさんに作ってもらった(笑)  作中の場面に思いをすり合わせながら、ひと時の時間を過ごせて幸せだった。

    この作品はなるべく続いてほしい。
    次が楽しみ。

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著者プロフィール

一九五六年札幌生まれ。本郷幼稚園中退、本郷小学校卒、東白石中学校卒、札幌東高等学校卒、小樽商科大学中退、北海道大学文学部哲学科中退。
現場作業員、ポスター貼り、調査員、ガードマン、トラック助手、編集者、広告営業、コピーライター、受刑者など諸職を転々。
一九九二年『探偵はバーにいる』(早川書房)で小説家としてデビュー。同作は、一九九三年『怪の会』激賞新人賞受賞。
二〇〇一年『残光』(角川春樹事務所)で日本推理作家協会賞受賞。

「2010年 『北の作家 書下ろしアンソロジーvol.2 utage・宴』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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